石尊稜

山行名 石尊稜
メンバー L:O村 I野 
期日 2009/3/14〜3/15
山域・ルート 八ケ岳西面 石尊稜
山行形態 積雪期岩登り

「大同心雲稜にいきませんか?」とO村さんから誘っていただいた。12月頃から今シーズンか来シーズンに目標であった雲稜へ行きたいと思っていたので、「行きます!」とすぐに返答した。ただ、日程がなかなか定まらず、O村さんにはご心配をおかけしました。(すいません。)大同心の前に、今シーズ行く予定にしていた阿弥陀北西稜へ行き、自信をつけておきたかったのだ。何故なら、阿弥陀北西稜もA1ピッチがある。大同心雲稜は鐙のかけかえがでてくるルートだったので、積雪期の登攀で鐙を使ったことがなかった私にとって、いきなり大同心へ行くのには不安があった。O村さんと、駒形で鐙の練習し、不動でアイゼントレをして本ちゃんの日を迎えた。1週間前から毎日毎日、大同心のことでいっぱいだった。登攀成功のイメトレを何度もした。

3月13日 移動

京都22:00→駒ケ岳SA仮眠

週末にかけて天気が悪くなるのはわかっていたが、きっちり確認はしてなかった。出発直前にインターネットで調べると、八ケ岳土曜は雨雪のち曇、日曜晴れという予報だった。しかも気温がかなり低かった。雨の中、高速を走る。土曜はアプローチだけなので気分はのんびり。眠くなったところで仮眠。

3月14日

起床5:30→美濃戸山荘9:15→行者小屋手前 泊地→偵察12:50→露岩→テント場14:30→就寝18:30

8時半予定どおりに起きた。雨はやみそうになかった。9時過ぎ諏訪SAで朝食をとって、諏訪南ICで降りた。雨があがる昼頃から出発したかったので、まだ時間もあるしどうしようかと悩む。とりあえず富士見駅の待合室でパッキングすることにした。パッキングしながら外を眺めると雨から雪に変わり吹雪いていた。雪ならなんとか歩いていけるかということでとりあえず美濃戸口へむかった。車の中でのんびり着替えて美濃戸口の小屋へ。少しずつ前進。小屋でしばらく雑誌をみたりして12時半ようやく重い腰をあげて出発。けっこうな雪なので、ザックカバーをして傘をさしながら歩くことにした。
3時間の林道歩きは辛い。2週間前に北西稜に入ったとき時とまったく違った。3月半ばだし、雪もすくなく快適だとおもっていた。鉱泉に着く頃には雪はあがり青空が広がっていたが、風はとてもきつく、テントをたてるのに少し苦労した。京都に戻ってから天気図を確認すると西高東低のバリバリ冬型の気圧配置だった。しばらくするとお天気は穏やかになり、八ケ岳の真っ白な山々が綺麗に見えた。もちろん明日登攀予定の大同心も真っ白だった。あれを登るの?あのコンディションか・・・私には登れないかも、自信がないなぁと思った。O村さんと早めの夕食をとりながら、明日の打合せをした。もし、大同心を登らない判断をした場合、西面でいったことがなく気になっていた石尊稜へ行くことにした。もちろん、気持ちはまだ大同心を諦めてはなかったが、あの雪の着いた大同心を登れる自信はなかった。

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3月15日

起床3:00→出発4:30→大同心沢取付→赤岳鉱泉5:00→再出発5:30→石尊稜へ沢取付6:00→1ピッチ目取付8:10→登攀開始9:00→上部岩稜12:50→稜線14:05→地蔵尾根出合15:00→赤岳鉱泉16:00→美濃戸口18:10→京都0:30

予定どおり3時に起きて4時半に出発した。外は真っ暗で我々が一番だった。一晩で少しでも雪がとれてるだろうと期待したがまったく変わってなかった。雪がべっとり付いてるのが薄暗い中ででも確認することが出来た。同じ敗退でも取付きまでいって大同心雲稜ルートを確認しようと思っていた。O村さんの気持ちは「1ピッチだけでも登れたら」という想いだった。私は1ピッチも登れる自信がなかった。素直にO村さんに伝えた。「1ピッチも登れないかもしれないけどいいですか?」と聞いた。そして、大同心沢の取付きに着くと、トレースは無くかなりの雪がつもっていて辛いラッセルになりそうだった。O村さんから「この厳しいラッセルをして、登攀する自信が無いので石尊稜へ転進しましょう」と言葉が返ってきた。そして取付きまでみにいくことなく雲稜を敗退し石尊稜へいくことにした。
鉱泉にいったん戻って地図で確認をした。何も資料をもってきてなかったので判らない。エアリアをたよりにいくことになった。O村さんは7,8年前にいったことがあるらしいが、あまり記憶に残ってない様だった。谷に入る分岐点を確認しながら行者小屋に向かう道を進んだ。立ち止まって分岐点を確認してると、後ろから北西稜に向かうO田さんがやってきた。大同心を諦めて石尊稜へいくことを伝えると、正しい分岐点を教えてくださった。我々が立ち止まっていた所は行き過ぎていたらしい。少し鉱泉のほうへ戻り、橋のところから谷に入っていく。トレースはまったくなかった。膝から足の付け根ぐらいの深さのラッセルがしばらく続き、交代しながら進んだ。何度か谷の分岐があるので、地図と地形を見比べながら石尊稜を確認した。三叉峰が綺麗に見え、鉾立ルンゼと中山尾根を確認し、石尊稜がどれかハッキリわかった。下部取付きへは左側の支尾根を使ってもいいが、我々は正面の雪面を登っていくことにした。
最初は柔らかい雪だが、だんだん固くバイルと前爪をきかせてのぼっていく。朝一ということもあり、O村さんにザイルをたらしてもらった。2時間ほどで下部岩壁の取付きに着いた。後ろを振り返ると我々がつけたトレースが綺麗に見えた。登攀の準備をしてると我々がつけたトレースを使って3.4パーティがやってくるのが見えた。

1ピッチ目 O村 45メートル

草付き岩壁に雪がべっとり。バイルのききは甘く、アイゼンの前爪もきっちりきまらない。だましだまし体重を載せて進む。リードをさせていただこうと思って何度かチャレンジするが1ピン目まで遠く、もし落ちたらと考えると自信が無くて敗退。O村さんに代わってもらうことにした。そんなことをしてる間に右から川崎の方に先こされ、取付きに人がいっぱいになってしまった。うわー渋滞を起こしてしまった。けっきょく2番手になって開始。かなり緊張したピッチだった。阿弥陀北西稜でも体験したが、苦手な登攀だった。

2ピッチ目〜7ピッチ目 雪稜ピッチ

ザイルを片付けるのがめんどくさかったのでそのままツルベで進む。ザイル50mいっぱいいっぱい出しながら。川崎の方とラッセル交代しながら進んだ。

8ピッチ目 I野 40メートル

フリーで登ることができて気持ちが良い。

9ピッチ目 O村 45メートル

このピッチも気持ちがよくて、アイゼンを決めて進む。ホールドも豊富で快適。

10ピッチ目 I野 40メートル

稜線まで登りきって終了。

長い登攀が終った。ラッセル、雪壁・草付き、岩稜・雪稜と多彩なルートで面白かった。このルートは八ケ岳西面で入門ルートとされているが、入門とは思えないほど1ピッチ目は緊張した。雪のつき方によって、グレードも条件も変わる。再認識した登攀だった。 お天気に恵まれて素晴らしい景色の中、登攀が出来て最高だった。取付きまでのラッセルは辛かったが、自分達でトレースをつけれたことで満足感・達成感はいっぱい。大同心に向けて練習してきたが、敗退した判断に後悔はしてない。私には大同心がまだ早かったのかもしれない。今シーズン経験を積み、練習して来シーズン再度挑戦したいと思っている。石尊稜は一度は行きたいと思っていたルートだったので行けて良かった。しかも、雪の着いた条件で登攀できたことは私にとってプラスになる山行だった。

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真っ白な大同心

 

取付きに向かう。雪面を登る。

 

1ピッチ目

 

3ピッチ目

 

5ピッチ目フォローのO村さん

 

最後の岩峰

 

8ピッチ目

 

9ピッチ目

 

10ピッチ目

 

稜線


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