京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
この山行は、学生時代に夏合宿で旭岳からトムラウシまで計画したが、台風の接近により白雲岳で敗退し、未練として残っていた。しかし、なにせ交通費がかかる場所なので長らく忘れていた。今回、全日空のマイルがたまり期限の迫った(16,000マイル分がユ99.12.31まで)往復無料航空券の権利を利用してインド渡航を計画したが、当該国の治安状況が選挙を控えてあまり良くなく、また観光ビザもおりない様子なので断念。代わりに、せっかくの休みだし(遅い夏休み)往復無料航空券(15,000マイル使用)で約9年ぶりに秋の北海道でも行こう、という気分でスタートした。
早朝、川崎では雨。しょっぱなから濡れるのはいやだな〜と準備をし家を出るころには曇りとなる。京急を乗り継ぎ羽田空港へ。約30分で到着。手荷物預かり場所で、ザック重量規定値オーバーによる追加料金をとられるんじゃないか、とヒヤヒヤしたが、それはなかった。学生時代、西表島へ行ったときは、ほば同重量で約3,000円/回近くとられたのに…。航空会社間の競争が激しくなって少々の重量オーバーには目をつむるようになったかもしれない。受付社員の気が変わらないうちにさっさと荷物を預ける。旭川空港到着後、旭川市内でガスカートリッジ小、灯油を購入。飛行機では持ち込み禁止だからだ。登山店の帰り道に見つけた「青葉」(横浜のラーメン博物館に出店し好評をはくしたとのこと)という店で、すかさず本場の旭川ラーメン(650円)を食す。醤油味だが、各種海産物のダシがきき関東のように塩からくなくてうまい。
スーパーで食料を購入後、バスで旭岳温泉キャンプ場へ。このバスの運賃は旭岳温泉協会が負担してくれてなんと無料。何か思いがけず得した気分。帰りは当温泉地で宿泊もしくは2,000円以上の買い物をした人のみ無料になるそうだ。それでも、そこは改装によるロープウェイ運休の影響でお客もマバラ。商売もあがったりという感じ。商売関係の人には申し訳ないが、かえって静かで良い。キャンプ場(210円/人/日)も合計7人しかいない。そこのキャンプ場は値段のわりにはとても快適な所。トイレは水洗でホテル並みの清潔感。旭岳を眺めると山頂付近に雲がかかり天候悪化の兆し。閉店ぎりぎりの窓のカーテンを閉めかけた旭岳ビジターセンターへ行き登山道状況をきくと、やはりトムラウシより先は水の確保が困難らしい。やっぱり水を大量にボッカするのかとボンヤリ考えつつ半分雲に覆われた空を眺めながら明日以降の天気を心配し、スーパーで購入した当分お預けとなる2人前の鮨を食し早々に寝る。夜はさほど寒くなく、シェラフカバー1枚で寝れた。就寝中、カサカサとテントをこする音。どうやらキツネか何からしい。
少々朝もや。天気予報でも寒冷前線の通過にともない雨。上空の雲足も速く強風のようだ。しかし、コースタイムも短いし、1度通過したこともあるし(9年前だが…)、初っ端から停滞するのも出だしをくじかれた感じがして気分が良くないので出発することに。トイレ付近で出発の準備をしていると、キャンプ場隣人の単独らしい女性と挨拶。どこか関西弁の調子があったので、メールの京都雪稜通信内容(仁田原氏が9月中下旬に北海道に行くと記載)をふと思い出し「ひょっとして仁田原さんですか?」とダメモトで尋ねると当の本人でお互いビックリ。名前だけしか知らなかったのに。山の世界は結構狭いかもしれない。彼女は石狩岳の根曲がり廊下、旭岳などの登山を終了し9/15には帰るとのこと。また山にでも行きましょう、とサラバをする。
登山口から樹林帯へ分け入り、過去の記憶がよみがえる。あのころのメンツはどうしているのだろうか。今回、履いてきた革製重登山靴(学生時代から使用・重いから長らく履いていなかった)も、久さし振りに思い出の地を踏みしめられて何だか嬉しそうだ。案の定、降雨あり。姿見の池に着くころには、暴風雨。下山する人に「これから登るんですか?」と驚かれる。あまりにも雨風が強いので古ぼけて壊れそうな旭岳石室で昼まで天候回復を待つ。その間、後から登ってきた2人組みの地元登山者に熱いコーヒーをいただき、下山後の楽しみにお勧めの温泉・店などの情報収集。その2人組みはやっぱり風が強いからと下山。昼過ぎ、風は強いが雨が小康状態となったので、サテッとばかり白雲岳避難小屋キャンプ場に向け出発。視界約十メートル。旭岳は北海道最高峰だけあって、さえぎるものが何もないせいか、できたての雨混じり風がそのまんまもろに当たって皮膚露出部分が少々痛いうえに、あおられて何度もよろめく。しかし、積雪期に比較しラッセル・雪庇・ホワイトアウトもなく地面に足が着いている分だけ随分安心だ。山頂は暴風雨でガス々。前回も霧の中だった…。早々に、裏旭まで適当に下っていくと道をはずれたことに気が付く。しまった、油断した。真っ白の視界のなか、沢筋を頼りに2万5千分の1の地図で現在位置を確認し裏旭キャンプ場にたどりつく。そこにはテントが一張りだけあった。おかげで、コースタイムの倍近く時間がかかる。間宮岳、北海岳、避難小屋までの稜線上を風にガスに煽られながらひたすら歩く。やっぱり誰にも会わない。ときおり上空にチラッチラッと垣間みえる真っ青な青空が救いだ。
やっとキャンプ場に到着し、テントを張ろうと周囲を眺めると周辺のテントが所々切り裂かれて風にはためいている。しかもこの強風でその傷口は広がる一方だ。ふと看板の注意書きを読むと「キツネが食料を求めてテントを切り裂くので注意せよ」と掲載。学生のとき、ここで強風によってテントフライが破れたことを思い出す。これはたまらないと、避難小屋に入る。ほどほどの人ごみ。皆、層雲峡から入山したらしい。9月末まで600円/日/人(管理人が見当たらなかったため結局支払わず)。水場は近くの支流から。2階の隅に2人分のスペースを見つけ陣取る。隣は倉敷からやってきた倉敷山想会の7人組みのオバサングループ。トムラウシ温泉に下山とのこと。地元のガイドさんに連れられ「何とかじゃ〜」と岡山弁で話し楽しそうだ。ホッとすると足首の表面が痛いことに改めて気付く。どうやら3年ぶりに履いた革靴の硬い所が足首周辺に当たり足になじまなかった様子。長い間はかなかったしミンクオイルなどを塗って手入れをしてなかったことが原因で、靴がヘソを曲げたらしい。けれども10年前に足型に合わせて作成してもらった靴だから、そのうち馴染んでくるだろうと気楽に考える。夕食は牛ひき肉のキーマカリー(レトルト)。夜、用足しに小屋をでると外は一面の星空。強風でホコリや雲が吹き飛ばされているせいか本州よりも原色に近い濃々々〜紺色夜空で天の川など星々もくっきり見え美しい。電気など光源が少なかった大昔は、もっと鮮やかに星を眺められたかもしれない。そして、いつかこの大気圏もはぶいた宇宙の空というものも眺めてみたいものだ。
朝一番に小屋を出発。学生のとき敗退した地点に立って「この先はどうなっているのだろう」と遠くを眺めた記憶がよみがえる。昨日とは打って変わって広々と晴れ渡る青空、横殴りの西風を受け、高根ヶ原までのほぼ平坦な歩き。前日の雨で植物や登山道が洗濯されて新鮮な色に満ち、本日のトレースもなく気持ちが良い。進行方向の左側はスッパリと切れ落ち高原沼地帯の原始の森林、点在する沼が広がって獣臭そうだ。紅葉はほんのチョコっとでまだまだ。夏の終わりを告げるかのように、ピンクの花が枯れかかったコマクサ(数少ない判別できる高山植物)の群落は風に揺られ何だか寂し気。忠別沼地で熊の足跡を発見。北海道の自然に接近した嬉しさと同時に、周囲に誰もいなかったので視界の狭い所ではチリンチリンッ!と必要以上に鈴を鳴らす。そういえば、熊の手の平は高級中華料理。特に蜂蜜を採取する手ほど蜂蜜が染み込んで美味だそうだ。一度食べてみたいものである。が、今は逆の立場。五色岳まで背丈ぐらいの薮が続く。化雲平は木道が敷いてあり歩きやすい。右手は昨日ガス々だった旭岳がくっきり眺められる。足元の木道、横のハイ松からは、リス・小鳥が昨日の活動分を取り戻すべく所々から顔を出しては引っ込め和やかな雰囲気。木道周辺に高山植物を掘り返したような跡が所によっては随分あったので、モグラかマナーの良くない高山植物採取人だろうと思っていた。すると「それは熊が植物の地下茎を食べた跡だよ」後日、小屋で知り合った人から教えてもらい文字どおり、知らぬが仏。化雲岳から「神々の庭」「五色ヶ原」「沼の原」が一望に眺められ、素晴らしい。眺めるだけでなく、沢登りなど、またきたときに寄ってみたいものだ。
昼過ぎにヒサゴ沼避難小屋(2階建)に到着。誰もいない。無料。2〜3日前にペンキを塗ったばかりで小奇麗で快適そうだ。キツネのテント破り注意の看板もある。水場はヒサゴ沼。にごらないようにソ〜ッとくむのがコツ。ここは、リゾート・ヒサゴ沼(北大W.V部命名)と呼ぶにふさわしい良い所。小屋・トイレ以外に余分なものが何もない。沼越しに東大雪・ニペソツ山も見える。周囲の風景(植物の青々した緑、地面・岩の灰色と茶、雪渓の白、空の透き通った青など)を沼面で反射し一枚の絵画のようだ。あまりに良い所で日程的にも余裕があったので、予定を変更し本日は行動終了に。周囲を眺めながら、気持ちよく昼寝。次第に人が集まり出し僕を含め約12人が小屋宿泊。前日の倉敷オバサン達、クワウンナイ川単独遡行者、単独オジサン、ヒッピーぽいオジサン、旭岳温泉ホテルのバイト姉さん(その姉さんの名前を言えば無料で温泉入浴の了承を得る)などで賑やか。夕食はハッシュドビーフ(レトルト)。
やや曇り。気温7℃。オプタテシケ山の双子沼またはトムラウシキャンプ場のどちらかに宿泊するつもりで出発。雪渓を登る。稜線上は強風でせっかくの日本庭園、トムラウシ山も見えない。鳴きウサギが一杯いそうな岩場も同様。ひたすら進み、トムラウシ山頂直下でしばらく天候回復を期待して待ったが晴れず。そこで会ったガイドさんにオプタテシケ山までのテント場になりそうな場所を幾つか教えていただく。トムラウシキャンプ場に到着すると最近テントを張った形跡がない。代わりに熊が地下茎を掘ったあとが…そこらに。水場の沼も今一つ透明ではない。むしろそこからオプタテシケ山方面へ下ったあたりの沼近くが透明で(基本的には天幕禁止だが)良いテント場になる様子。次第に晴れてきて、ため息が出そうなほど美しい黄金ヶ原が目の前に広がる。初秋の冷え込みで草原が黄金と化した台地。高山植物の大群落らしい。花の季節、色々な素朴な花が凛とした美しさでつつましく咲き誇ることだろう。右手に旭岳、そしてスッパリきれた左側はユウトムラウシ川源流部のカール状地形。草原・森のなかに池溏が点在し上部には雪渓も残っている。自然が創作した箱庭にしてはできすぎの感があるほど素晴らしい。通り過ぎるのにはあまりにもったいないので、キョロキョロと珍しくゆっくり歩く。途中、登山道の真ん中に湯飲茶碗ほどの大きさの糞が十数個固まって落ちている。明らかに熊のもの。「ここに立ち入るな」と言わんばかり。棒でつついてころがし表面の乾き具合から判断すると、3〜7日くらい前のもの。一つ分解したが何を食べているのかよくわからない。わずかな繊維質のものは先程の地下茎と示唆される。数日後、自分が熊の糞の主成分とならないことを祈る。
三川台から崖尾根を登山道沿いちょっとくだり、すぐ左手にガイドの人に教えていただいたテント場に着。先程のカール状地形にある笹薮の中にテント1張り分が4箇所くらい点在する所。獣臭く、非公式の場所らしい。誰もいないし、ここ最近テントを張った跡もない。水場は10分ほどトラバースしたところの雪渓の箇所。景色は抜群に良い。双子沼までは随分距離があるし、この場所も気に入ったので昨日に引き続き本日も早めに行動終了。昼寝、読書、記録書きにふける。15:00ごろから曇り出し、夕方には濃霧。若干の風。いかにも動物が活発に活動しそうな気配。また、誰もこないし、この広い黄金ヶ原で一人のようだ。辺りは静けさを増してきている。これはいけないと、テントに鈴をくくりつけ風鈴よろしく自分の存在をアピール。あまりに無風状態が続くと恐ろしくなり、自分でテントをばたつかせ風鈴をむりやり鳴らせた。夕食はフレンチカリー(レトルト)。食後、食べ物関係はニオイをもらさないよう3重にパッキング。笹がこすれ合う不自然な音にビクリ。キツネか鳥が動いたのか?もしものときに備えナイフを懐に忍ばせる。石器時代の人々は、こんな不安感をいだきながら夜を過ごしていたのだろうか、刺し身が食べたいな〜などと色々考えながら、いつもより感覚器を敏感に働かせ眠りに就くのであった。
朝から濃霧。熊が一番行動しやすい天候だ。だからといって、じっとしてても仕方がないので美瑛富士避難小屋まで行こうと計画し、明るくなるのを待って行動。ここからは水場が期待できないので水3Lを歩荷。背高前後の樹林帯のなかをひたすら進む。なにせ視界がきかないので、曲がり角で鈴を激しく鳴らしたり、歌を歌ったりと、熊に対し自分の存在を知らしめることに結構忙しい。「森の熊さん」の歌詞は妙な替え歌ばかりが頭に残っていて本家本元を正確に覚えていない始末。熊さん後からついてこないでね!また、歌は聴くばかりで普段あまり歌わない日常、歌詞のあらたな解釈ができておもしろかった。登山道は両側から笹薮に覆われてはいるものの比較的しっかりしている。登山道を整備された方に感謝。時折、泥濘があるのでズッコケないように注意必要。再度、登山道の真ん中に熊の糞を発見。昨日よりできたて具合のポイントが高そう(湯気はたっていなかった)。背筋が寒くなるのと同時に一層気合がはいり、「僕は美味しくないよ」とさっさと駆け抜ける。はちあわせした場合に備え、投げ与える装備の順番も真面目に検討。このあたりの道は標高差があまりなく山スキーなどには良さそうだ。双子沼に着。やっぱり誰もいない。遠くで自衛隊富良野演習場から時折「ドーン」と砲撃音が聞こえ少々興ざめ。沼の水場は濁って飲む気にならない。時間も余裕だし先へいこう。やっと晴れ間が覗き、ガレたオプタテシケ山の中腹までみえる。ここからオプタテシケ山頂まで標高差約600mがずっと登りでつらいものがあった。山頂でトムラウシキャンプ場以来、初めて人に会う。白金温泉から登ってきた札幌にある会社のグループの方々。そういえば今日は休日だった。彼らから、たくさん持ってきてもう下山するからあげると行動食(カンパン)、水500mlペットボトルをいただく。
美瑛富士避難小屋に到着。1階建てで新築らしい奇麗な小屋。水場はなし。宿泊客は先客の女性2人連れ(横浜の高校教師:山岳部顧問、その教え子:大学生)、後ほど愛媛からやってきた単独おじさん、僕の計4人。空いていることをいいことに、目一杯空間を使い、テント、雨具などを干す。夕食は野菜とチキンのカリー(レトルト)。もういい加減カレーに飽きてきたところ。久々に星空が見えた。
放射冷却でシンシンと冷え込む。外は霜柱が立つ。朝焼けに照らされた美瑛富士が美しい。ささやかな朝食(ごはん、納豆フリカケ、味噌汁)をとる。すると、女性2人連れから食べきれないからと彼女らの朝食:そうめん・そばをたくさんいただく。キティちゃんカマボコ付き。その大学生は現在山岳部所属しており、山渓ジョイ・秋山号(ユ99)で丹沢ボッカ駅伝の選手として掲載されたとのこと。数少ない貴重な女性山岳部員だ。
十勝岳まで、昨日とまるで違う荒涼とした砂と岩だらけの登山道を進む。登りでは砂礫に足をとられ一歩進むと半歩ずり下がり困ったもの。遠くに十勝岳の噴煙がたなびきが雲に吸い込まれており、硫黄くさくなってきた。温泉も近い。左手には日高山系か?十勝岳は軽装の登山客が数人いて下界が近くなったことを感じる。
やや古い上ホロ避難小屋(2階建て)に到着。小屋利用者ノートに水場が地図で記載されており、そこへ(テント場の下の方)行くとチョロチョロながら水が確保できる。水がなかったら下山しようと考えていたが、確保できるし天気も持ちそうなので本日の行動はここで終了とする。夕食までそのノートを眺めていると、雪稜クラブの杉山氏の愛情ある文章に少々あてられる。今晩は一人か〜と下山後の過ごし方などを考えていたら、夕方遅く、単独の青年が小屋に到着。時刻表、宿情報などいろんな資料と情報をきき参考にさせていただく。夕食はカルボナーラ(乾燥もの)。久々のカレー、納豆以外の味に新鮮さを覚える。
朝から曇りで風強し。途中、ヨボヨボのキタキツネに会う。三峰山当たりから再び樹林帯が始まり富良野岳へ到着。原始ヶ原が鬱蒼と広がっておもしろそう。後は温泉と一気に十勝岳温泉に下山。やっとこの重登山靴から解放される。重登山靴も踏覇できて嬉しそうだ。また、約9年越しの目的も達成できた安堵感でホッとすると同時に、次に行きたい場所(沢、積雪期の時期)も増えた楽しみも抱く。
十勝岳温泉から地元のオジサン(元W.V部員)に車に乗せていただき(お礼にガスカートリッジ小をあげた)、山中教えてもらった吹上温泉へ。吹上温泉保養センター白銀荘(最近新築されたらしい、町営)で食事なし(自炊設備あり)素泊まり・相部屋で2,700円/日。温泉は5つほどありサウナ付きで立派。日帰り温泉 700円/人、キャンプ場 500円/人/日から、温泉を4回以上はいれば十分元はとれる計算。温泉三昧という方針のもと素泊まりで泊まることに。宿泊客は約10人。夜は地元のオジサン、同宿の人からウイスキー、プチトマト、お菓子などをいただきささやかな宴会。その時、文庫本「高熱隧道」吉村 昭:著をいただき、温泉につかって汗をかきながら読書にふける。阿曾原谷隧道内の岩盤温度65℃〜165℃に伴う温水はこんなものじゃないな、と温泉・サウナの中で現場の作業員の苦労を想像。次は黒部川・下ノ廊下に行くことに決定。結局、夜・翌朝と暇にまかせて合計6時間ほど温泉につかったのであった。
飛行機の出発まで時間があったので、あちこちから大雪山系を眺めようと周辺をうろうろ。残念ながらトムラウシなど山頂付近はガスがかかっていた。何かまともなものを食べようと、富良野へ行き「北の国から」で撮影されたというラーメン屋(名前は忘れた、富良野駅近く)で塩ラーメン(650円)を食べる。「北の国から」はしっかりと視聴したことがなく、「ム〜ム〜〜…♪」という男性声楽のフレーズぐらいしか頭になかったのであまり感慨わかず。そして、山中、「飯がうまい」と教えていただいた美瑛ポテトの丘Y.Hに泊。到着し概観と内装をみてメルヘンちっくなことに少々面くらう。何か僕に合わないような気がして恥ずかしい。けれども時間も遅いし今さらキャンセルはできない。満員御礼(約50人)。中年夫婦も何組かいることが救いだ。夕食はこれまたカワイイ柄の皿にオカズ(鮭のクリーム煮など)がチョコッと盛られている。確かに味は良く、ご飯はお替わり自由なのが嬉しい。同宿の人いわく、Y.Hのなかでもここは3星クラスとのこと。翌朝も食パンお替わり自由だった。
翌日はY.HでMTBレンタル(1,700円/日)をし、早朝 5:00から12:00ごろまで、時にY.Hの同宿の人々と美瑛の丘の風となる。この丘はポテトチップス、車などのCMでよく使用される広々とした馬鈴薯、ビート畑。別名、パッチワークの丘。現在、メークイーンの収穫が終わるところらしい。朝早くから夕方遅くまで作業をする農家さんがいた。お疲れさまです。そこからは、曇り空の下に富良野岳から旭岳まで山並みのシルエットが眺められた。地元の人によるとこれは天気が下り坂の前兆とのこと。事実、昼過ぎから雨が降り出す。昼にY.Hの方お勧めの美瑛駅近く「おきらく亭」で同宿の人とポトフ定食(約900円)を食べる。北欧風で値段のわりに量が多いのでお得。締めにラーメン2杯食べたあと、雨の中、荷物超過料金を徴収されることもなく、夕方の便で旭川空港から羽田空港へ。
また、大雪山系にこよう。