南ア深南部・房小山、バラ谷ノ頭、高塚山
2009年 7月 18日 | 南アルプス, 無雪期縦走?
南ア深南部のバラ谷ノ頭から高塚山の間の稜線はまだ歩いておらず、今回この間を繋ぐことと、バラ谷ノ頭で泊まって展望を楽しむことを目的に出掛けた。
F田さん、Y田さんが同行いただけることとなり、3人で楽しむことにする。
縦走の形態にしたいが、入山口、下山口が相当不便であり、あまり良い案ではないが、山犬段を起点にバラ谷ノ頭、高塚山を往復する計画とした。
少しでも変化を持たすため、行きは千石沢登り口まで林道を経由、帰りは稜線通しに歩くこととする。
初日は山犬段まで移動のみ。
【行程1日目】行動時間 7時間00分 天気 曇りのちガスと霧雨、午後3時から雨
山犬段小屋6:30?7:30千石沢登り口7:40?8:20稜線8:30?9:00鋸山9:05?11:35m房小山11:40?13:30バラ谷ノ頭手前200m地点
山犬段の綺麗な小屋で快適な一夜を過ごし、6時半に出発。林道を歩く。
北には大間川下西出の深い渓谷を挟んで鋸山の東に広がる千石平の稜線がガスで霞んでいる。
1時間で鋸山への登山道入り口。
急な谷間に付けられた登山道を詰めて最後は広い源頭の草地を抜けて稜線へ。風が出て寒い。
ここからしっかりした登山道で急登を耐えると千石平だ。
ここでガスが深くなり何も見えなくなった。
休憩なしでそのまま稜線を西に向かいすぐに鋸山山頂。
樹林に包まれ晴れても展望は無さそう。
鋸山を出発すると、風は次第に強くなってきて、雨は降っていないが衣類が濡れて寒い。ガスが濃くなり、50m程度先までしか見通せない。3人で黙々と歩く。このガスでは面白くないし、先に進むか思案するが、明日に期待して行くことにする。
道は次第に怪しくなってきて、稜線が広い場所は鹿道が交錯して進む方向に注意を払う。
房小山も強風とガスで景色は見えない。
房小山からも鹿道を適当に拾いながら北に向う。薮は思ったほどは無く、進むには問題ない。上西平の広大な平坦面では濃いガスの中、位置確認が困難だが、今までの読図の感覚を研ぎ澄まして進行する。微妙な高まりや凹みから経験と感で方向を定める。
1,958mまで来れば尾根がはっきりしてこの先しばらくは問題なく進む。
緩やかな上りが続くと、本邦最南端の2,000m等高線のピークだ。
ここでは進むべき方向が急に左に旋回しているが、広い台地に浅い凹地が組み合わさって今日のような視界のない時はやっかいだ。
ここまで来たら直ぐ先がバラ谷山の頭だ。テントを張れる場所を探す。
少し北に行った東側にぽっかりと空いたヌタ場があり、若干湿っている。
付近を見ても他に適当な場所が無いので今日はここにテントを張る。
バラ谷ノ頭の5分程度南側に位置する。
夕刻、にわか雨があり、一時強く降ってきてみるみるテントが水没する勢いだ。そう、このヌタ場は晴れていれば問題なく快適だが、ひとたび雨が降れば水が溜まる構造になっているのだ。
急遽F田さんと池になりつつあるテントの下流側の土木工事をする。
テントが10cm位水没する前に堰き止めになっていた倒木をどけて、排水路を掘ると上手く溜まっていた水が全部抜けていった。
間一髪、めでたしめでたし。
風が強く、寒く、景色も無く今日は終わりそう。
明日に期待する。
夜いつの間にか雨は止んだようだ。
【行程2日目】行動時間 8時間05分(AM7:10から) 天気 晴れ
テント地2:20?2:30バラ谷ノ頭2:45?テント地3:00
テント地4:35?4:40バラ谷ノ頭5:10?5:15テント地7:10?9:15房小山9:25?鋸山11:20?稜線分岐11:50?高塚分岐12:50?13:20高塚山13:30?分岐13:55?14:45蕎麦粒山14:50?15:15山犬段
夜中、いつもになく目が覚めて外を見てみると木の間越しに星が煌いている。
F田さん、Y田さんもどうも起きているみたい。
何故か真夜中に山頂に行ってみたくなり、二人に提案してみると、行こうということになった。
ライトを照らし、5分ほど笹を分けて北に歩くと、山頂に。
北に遮るものなく深南部の山々が漆黒の闇の中にシルエットとなって浮かんでいる。
意外なのが、浜松市、清水市、飯田市の3市街地の夜景の明かりが同じ場所から同時にはっきり見えることだ。
山奥に居ながら不思議な感覚になる面白い体験ができた。
朝の景色に期待してテントに戻ってまた寝入る。
夜明け前、山頂に立つ。予想通り素晴らしい光景だ。富士山の存在感が一際大きい。
色が刻々と変る様子をみんなで眺めた。
黒法師三山の縦走で、あるいは鎌薙越えで登った黒法師岳が直ぐ前に綺麗な姿を見せている。
テントに戻って、朝食、お茶で1時間余りを過ごし、7時過ぎ出発。
今日は天気が素晴らしい。バラ谷ノ頭までテントを背負ってきて良かった。
昨日と違って明るい尾根を爽やかに歩く。
左右に山並みを望みながら短い緑の笹原を歩くのは本当に気持ちいい。上西平はところどころ木が生えた伸びやかな広大な尾根だ。
遠くに中央アルプスや恵那山を眺めながらF田さん、Y田さんの後ろを付いていく。
日陰がなく暑い房小山で少し休憩。
その先、二重山稜になった間には左手にぽっかりあいた空間に池が俯瞰できる。周りは疎林に囲まれ幻想的だ。
2時間で鋸山まで戻り、千石平から急坂を下り、昨日登ってきた稜線の分岐は真っ直ぐ進む。
しっかりしたハイキングコースだがアップダウンが多く、少し疲れてくる。
ここで高塚山に寄らないF田さん、Y田さんと別れ、H内単独で先を急ぐ。
高塚への分岐で少し休憩して高塚山への尾根へ入る。
尾根は広く、下草の緑と大きなブナなどの木が適当な間隔をあけて生えており、綺麗な尾根だ。
鞍部辺りは二重山稜となっており、気持ちのよい森林浴に満足。
森の中を通る一本の道形が絵になる。
鞍部から緩く長い上りで高塚山へ。
山頂は去年冬に京丸山から竜馬ヶ岳へ縦走した時に通っており、その記憶がまだ新しいが、雪があるのと、緑に包まれた今回とは随分印象が違い別の山にように思える。
これで甲斐駒ヶ岳からこの山頂を通り京丸山まで歩いたルートが繋がった。
ちょっと感激。
山頂は樹林に囲まれ展望が無い。
10分ほど休憩して引き返す。分岐から少し早足で歩く。
蕎麦粒山を通過して25分で山犬段小屋に。
F田さん、Y田さんと合流して今回の変則縦走を終了した。