剣山地・剣山?石立山

2009年 11月 27日 | 四国, 無雪期縦走

剣山系の縦走は剣山から三嶺までがメインで、残雪期に縦走したが、山脈はさらにその東西へと続いている。東は権田山方面、西は天狗塚、綱附森、土佐矢筈山方面に続く。
さらに東西とは別に、南に向けて顕著な支稜があり、その南端に石立山が大きく立派な山容を見せている。
今回はこの南への支稜を石立山まで辿り、剣山系の深部の縦走を試みようと出発した。

【行程1日目】行動時間 3時間40分  天気 曇りのちガスと強風
見の越11:20→12:00駅12:05→12:35剣山12:45→巻き道水場→13:40次郎笈 13:55→14:40丸石→15:00丸石避難小屋

前夜遅くに京都を発ち、大歩危駅に夜中3:30着。駅南の県道上に駐車し、朝8:58発の始発バスに乗る。途中、久保乗換えで見の越に予定通り11:10着。

久保バス停

久保バス停


霧にかすむブナの木

霧にかすむブナの木

11:20登山開始。まず階段からスタート。リフトの下を潜りジグザグに登って西島駅へ。
リフトの拡声器がうるさく山に来た気がしない。全く興醒めだ。
駅横からさらに登って山頂直下の山小屋へ。ここまで5?6パーティと行き交う。小屋の温度計は1℃を指している。
剣山頂は立派な木道が敷かれ、自然にマッチせず面白くない。北風が強く濃霧で何も見えない。
早々に山頂を辞していよいよ縦走。時々ガスが切れて南面が望める。次郎笈は残念ながら望めない。巻き道コースを採り、途中の水場で宿泊用の水を確保する。稜線に出て逆戻るように登って次郎笈山頂へ。何も見えないが上空だけ青空が覗く。
ガスと風の中、あまり休憩する気にもならず、坦々と進んで丸石はあっさり通過。霧の中のブナを眺めながら丸石避難小屋に着く。強風と寒さで予定を変更し、この小屋に泊ることにする。小屋は綺麗で他の登山者は無く快適だった。
明日は天気が悪い予報で、三嶺に登って下山するか、ここから直接下山か思案して夜7時半に早々に就寝。9時前外に出てみたが強風とガスだ。夜半に風は収まってきたようだ。

【行程2日目】行動時間 8時間5分  天気 快晴のち曇り
丸石避難小屋6:15→7:00高ノ瀬7:10→石立分岐7:30→8:30中東山8:50→10:50捨身ヶ嶽11:00→11:05石立山11:25→11:30捨身ヶ嶽11:45→リュウズ谷13:20→13:50もみじ茶屋13:55→14:20別府峡温泉

しまった!寝過ごした。5時20分になっている。10時間近くも寝ていたのに。
しかし起きて暗い外に出てみてびっくり!なんと満点の星空だ。天気予報がいい方に外れた。急いで朝食を食べ、温かい紅茶を詰めて出発。
緩い登りから急になって来たところで日の出を迎えた。樹氷を近景に新九郎山山頂からの美しい日の出となった。

剣山系の夜明け

剣山系の夜明け


早朝の石立山、中東山を望む

早朝の石立山、中東山を望む

そこからすぐに高ノ瀬山頂に着く。広い山頂からは剣、次郎笈など見渡せる。
15分で今回の目的の尾根分岐に着く。西には三嶺、白髪山などが良く見える。
南に向けまずは急下降から始まる。10分ほど下ると真新しい熊剥ぎが2本の木にあった。
深く爪あとが縦に刻まれており、四国のツキノワグマの生活痕になぜか安心感が高まり、うまく生きていってほしいと願った。

熊剥ぎ

熊剥ぎ


立ち枯れの木々たち

立ち枯れの木々たち


中東山への登り

中東山への登り

 

広くなった鞍部に降り立つとそこに道標が立っている。ジル沢に降りられるようだ。
登りに転じ、ゆっくりと高度を稼ぐと、展望が広がってきた。しかし、何だか変だ。そう、四国名物の笹が全て枯れている。枯れた跡には下草も無く、吹き曝しになった殺風景な斜面に、ブナや針葉樹などの木も軒並み枯れかかっていている。酸性雨のせいだろうか? このような状況が続けばやがて景観も一変しそうだ。
やがてブナの木の間を縫って進むと中東山の山頂に出た。薮は全く無いので早く着いた。
出発してやっと少し長めに休憩する。日が当たり暖かい。道には赤やピンクのテープがあり、刈払いもされており、全く普通の登山道と変わりない。
中東山からは約300mの下りだ。鞍部に近づくと笹が出てきて緑が鮮やかで今までと雰囲気が変わり、心地良い風景となった。鞍部から先は大きなブナの木が笹の中に点在しており、原生林の綺麗な風景がしばらく続く。

中東山のブナの木

中東山のブナの木


中東山、石立山の中間にあるブナ

中東山、石立山の中間にあるブナ

  

道は良く刈り分けられ、明瞭だ。時々倒木を跨いだり潜ったりしながらひとつコブを越えてまた下降する。行く手に白い岩稜が迫ってきて少し威圧感がある。ここあたりから、雲が青空を隠し始め、どうやら天気予報どおり下り坂のようだ。行く手に見える捨身ヶ嶽の岩稜がやや霞んで見える。
基部に近づくと、どうやら道はこの岩場の真ん中を右に斜上するようだ。最初はザレた岩屑の中を進み、上部で岩の隙間(ルンゼ状)を、岩を掴んで上がるがホールドが多く易しい。緑色のネットが張られているところから尾根の芯を忠実に上り詰めると直に分岐点に達した。
ここから5分程緩やかに下り同じくらい登って石立山頂だ。
だだっ広い山頂の南は一面に笹原だが枯れて白くなった枝ばかりが目立つ。南に大きく展望が開け、余り馴染みのない山々が茫々と幾重にも見えて興味をそそる。
分岐へ戻るまでに、今日初めて3人パーティと会い、すぐに単独の人に会う。何れも高知市から来られていて、さすが石立山は人気のある山のようだ。
下りは一気に1,100m高度を下げる。時には石灰岩の白い露頭を越えていくが、道は明瞭で分かりやすい。下部はまだ紅葉が残っておりカエデ類が美しい。リュウズ谷で喉を潤し、もみじ茶屋に降り立つと、結構多くの観光客が来ている。
ここから20分車道を歩き、吊橋を渡って集落の小道を抜けて別府峡温泉へ辿り着いた。
初冬になぜか桜の花が咲いている。
帰路、いつものようにY本さんの一声で旅行者の車に便乗し土佐山田駅へ。土讃線に乗り、夜の寂しい大歩危駅に我々だけ降り立って今回の山行を終えた。

捨身ヶ嶽への岩場をゆく

捨身ヶ嶽への岩場をゆく


別府の冬桜

別府の冬桜