登攀・山スキー@剱岳 八峰下半?上半 源次郎尾根
2009年 5月 1日 | 北アルプス, 山スキー, 積雪期岩登り08年夏の滝谷登攀後にGWは剱に行きたいと思い、今シーズンの冬はそれにむけて練習を重ねてきた。2月から阿蘇の鷲ケ峰、八ケ岳の阿弥陀北西稜・石尊稜・権現岳東稜、穂高西面の中岳西尾根、五竜岳G?中央稜へ行った。しかし、この2,3ヶ月の疲労からか剱へ出発する1週間前4月23日にいきなり腰痛がでてしまった。座っていても辛く、階段なんて痛くてて登れなかった。どうしよ・・・治るのだろうかととても不安だった。病院へいってリハビリを教えていただき、治ると信じて1週間を過ごした。なんとか痛みだるさは無くなったが、重い荷物をもてる自信がなかった。剱沢までとりあえずメンバーと入山し、剱沢で登攀へいくか、テントキーパーをするか決めることにした。
5月1日 移動?
出町柳23:30→呉羽PA3:30→立山4:30仮眠
先に出発したA木君とT橋さんに呉羽SAで合流。立山までいってから仮眠。
5月2日 アプローチ
起床6:00→バス8:40→室堂10:00→剱御前小屋12:30→剱沢13:10→夕食16:00→就寝
立山のチケット売り場はすごい人だった。げげげって思ってたら視界に岩峰のM川さんがはいった。あ?と思い近寄っていった。一緒にチケットを購入していただけることになり、お言葉に甘えさせていただいた。ありがとうございました!!!往復で4190円。8時40分に室堂までの直通バス乗り込んだ。残雪の立山・室堂は初めてだったので全てが新鮮だった。室堂10時に扇沢から来るT田君と待ち合わせをしていたが、扇沢の方もかなり混んでる様で集合時間に間に合わないとのこと。先に行ってテント設営をすることにした。山スキー班のS木君とA木君、ノーマル班の私とT橋さんとH岡さんに別れた。雷鳥平には色とりどりのテントが見えた。夏とは違った青空に真っ白な山々の景色に感動した。雷鳥平からの登り返しが辛い。調子良いH岡さんについていけず、のんびりと剱沢御前に向かった。そこから剱沢まではあっという間だった。剱沢に着くなりテント設営開始。スノーソーが大いに役立った。M田さん、ありがとうございました。A木君、S木君と無事到着し、テント設営が終わった頃にT田君がやってきた。みなさん、重い荷物をもっていただきありがとうございました。外で剱岳を眺めながら晩御飯を食べて、翌日の登攀に備えて早く寝た。テント設営中にM川さん達がやってきた。翌日1峰の壁を登攀予定で、剣沢を下降されるとのこと。お見送りをして別れた。
5月3日 八ツ峰主稜
起床1:30→出発3:30→長次郎谷出合4:40→2、3のコル7:00→?峰7:40→?峰8:10→?峰9:00→5.6のコル9:40→?峰11:10→?峰11:30→八峰13:00→八ツ峰の頭14:30→池の谷乗越15:00→長次郎谷下降→剱沢ベース17:30→就寝
予定どおり起きて3時半に出発。暗い中ヘッドランプをつけてクラストした剱沢を下る。アイゼンをスパッツ等にひっかけないように神経を集中した。長次郎谷出合いに着いてハーネス等を装着し、1,2のコルを目指して登り始めた。ルンゼに入ると傾斜が増し息がきれやすく辛い。右手に稜線まで延びたルンゼに入る。最初はステップがあって歩きやすいがじょじょに傾斜が増す。足を滑らせるといっきに下までおちてしまうと思うと緊張した。前爪をきかせながら進む。ふくらはぎが辛くなってくる。途中あまりにも傾斜がきつくなったのでザイルをだすことにした。(1ピッチ目50mいっぱい)続いてザイルを延ばそうと思ったが傾斜の緩い左側へ逃げて登ることにした。先行Pが1,2のコルから岩峰基部をトラバースしてるのが見え、左上ぎみに進んで2,3のコルに着いた。長次郎谷出合から2時間半弱かかった。
さぁいよいよ八ツ峰の始まりだ。メジャールートだけあってトレースはばっちり付いていた。3峰を登り稜線沿いに懸垂下降20m。先行Pがいたので足元が少し不安定な懸垂支点でしばらく待つ。3峰のピークから振り返ると1峰のピークに人が・・・もしてかしてM川さん達?と思い叫ぶ。すると返ってきた。感動したなぁ。3峰ピークから懸垂支点までのトラバースは緊張させられた。4峰を続いて登り三の窓側に懸垂下降。またまた先行Pを待つ。先行Pはザイル2本連結して懸垂していたが、1本でたりるということで25m懸垂。5峰を続いて登り少しリッジを歩く。バックには後立山の峰々が見え景色は最高。岩場にセットされてる綺麗なしっかりした残置ピトンを使って長次郎谷側へ2回懸垂下降。トポに40×2と書いてあったが、1回目は20mほどで小さなテラスに着く。2回目は40m懸垂となった。着地点からトラバースして5,6のコルに着いた。5,6のコルは広くビバーク地に最適である。やっと下半が終わりいよいよ上半の始まりだ。
6峰は大きく長い雪壁の登りとなった。振り返ると5峰がかっこよくそびえ立っている。傾斜はきつくステップのミスはゆるされない。稜線は細いリッジとなり支点は無くクライムダウン。ステップがたくさんきられてて崩れやすく簡易的に補助スリングをたらした。
6峰のピークからは三の窓側へ懸垂下降(しっかりした支点あり)。7峰登りも細いリッジとトラバース。懸垂下降は30mほどで支点はスノーバーが2本埋め込まれていた。7,8のコルに着くと先行Pが傾斜のきつい8峰雪壁を登っていた。先行Pをしばらく待って我々もザイルをだして登ることにした。T田君がリードでザイルを張り1ピッチ目はスノーバーで支点を作る。続いてトサカ上のリッジを進み、かなり不安定なリッジをクライムダウン。クライムダウン手前にランナーにバイルを埋め込んだ。セカンドで進んだがかなり足元は不安定で緊張させられた箇所だった。(八ツ峰で一番緊張した箇所)8峰登り開始から八ツ峰の頭までに2時間半と8峰越えにかなり時間を要した。そして目前の八ツ峰の頭を登り登攀終了となった。振り返って登ってきた峰々を見ると達成感でいっぱいだった。しかし、満足感に浸ってゆっくりしてる暇はなかった。先を急がなければならない。
頭からは2ピッチの懸垂下降で池の谷乗越に着いた。時間は14時50分。当初の予定は剱本峰へ行く予定だったのでこのまま進みビバークも考えたが、翌日の天気があまり良くなかったことや本峰を踏んで平蔵谷下降にどれぐらい時間を要するかよめなかったことから安全策をとり長次郎谷下降することにした。長次郎谷の下降は早かった。15時頃下降開始、出合いには16時10分頃着いた。途中、7,8のコルから長次郎谷を下っていったM川さん達が6峰Cフェースを登攀してるが見えた。すごいなぁ?。声をかけあって別れた。
そして、最後の長い長い剱沢の登り返しがなんといっても辛かった。17時半テン場に無事帰ってきた。暖かいテントに美味しいご飯、登攀成功を祝いとても幸せな時間を過ごすことができ、ビバークしなくてよかったと思った。翌々日にCフェース登攀を計画していたが、本峰を踏みたい!ということで源次郎尾根に計画を変更した。
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5月4日 レスト・真砂沢山スキー
起床5:00→テント場発7:20→7:50剱御前小屋8:20→8:55別山9:30→10:40剱沢との出合11:40→長次郎谷の出合11:35→テント場12:45
レスト班と山スキー班にわかれることになった。もちろん私はレスト班。T田君、S木君、A木君の元気な3人は真砂沢へ山スキーにでかけた。天気は心配していたほど悪くならなかった。彼らを見送った後は、まず水作りから。そしてデザートの杏仁豆腐をつくり、眠くなったところ2度寝。3人とも爆睡。1時間ほどで小腹も減って起きる。H岡さんからの一言「起きてまずは1杯いきますか」いえ?い。親父3人盛り上がります。おそらく停滞があるだろうと思っていたのでトランプをもってきていたので3人でやることに。久々のトランプ、奇妙な3人、楽しくて盛り上がった。テントの中はだんだん暑くなり、そとの雪の机でお酒を飲みながらしてると彼らが戻ってきた。意外に早くてびっくり。彼らも私達が本当にトランプをしてることにびっくり!!デザート杏仁豆腐を食べ、晩御飯を食べて翌日に備えて早くシュラフに入った。
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T田 記録
レスト日の暇つぶしに、せっかく持ってきた山スキーを有効活用することになった。前夜ルートについて話し合った結果、真砂沢を下り、剣沢を登り返す事とする。ゆっくり寝て、あわてずに準備を整え、ぼちぼち出発。荷物が軽いおかげで別山乗越までの登りは30分しかかからない。剣御前小屋では、トイレを無料で借りることができ、3人そろってゆっくりと用を足すことができた。乗越からはスキーを担いで歩き、30分ほどで別山山頂についた。雷鳥があちこちにいて、カエルのような声で鳴いたり、一生懸命飛んだりしている。山頂から真砂沢まで雪がつながっていたため、直接滑り降りることになった。山頂直下は急斜面で、スキーコントロールに苦しんだT田は何度か大ゴケしたが、A木氏とS木氏は無難にこなしていた。真砂沢に入って少し下ると、傾斜も雪質も圧雪されたゲレンデのようになり、しばらくは快適なスキーが楽しめた。ところどころで止まりながら、ゆっくり滑り降りる。他にも数組滑っているパーティーがあった。剱沢との出合が近くなると、沢幅が狭くなり、雪も腐ってきた。コントロールが難しくなり、T田は再び大ゴケ。剣沢の出合で休憩を取りながら再びシールをはき、あとは暑さに耐えながらひたすらスキーを交互に動かした。何とか1時間半ほどで天場に帰りつくと、レスト組は前夜の宣言どおり、外に出て酒を飲みながらトランプをしていた。
5月5日 源次郎尾根
起床1:30→出発3:10→稜上5:00→?峰6:10→?峰7:10→懸垂→本峰8:30→別山尾根下山8:40→平蔵谷コル9:25→平蔵谷・剱沢出合10:30→剱沢小屋11:40→剱沢ベース12:30→就寝19:00
予定通りに起きて下山予定のA木君T橋さんも起こして一緒に朝食を済ませる。3時半に出発。剱沢をくだり平蔵谷出合で準備をする。先行Pがぞろぞろと登っていくのが見える。ルンゼは踏み跡がバッチリだろうと思っていたが、傾斜がますにつれて雪は硬くなり前爪だけひっかけて登ることになる。朝一ということもあって緊張した。ルンゼを忠実につめてリッジにのった。リッジから尾根にのり目前の岩壁やブッシュを登り雪壁に出る。傾斜のきつい雪壁をのぼり尾根にあがってトレース沿いに進むと1峰の頭に着いた。1峰の頭で休憩をとり2峰を目指す。まずは雪稜の急な傾斜を下る。トレースはばっちりついてたのでそれほど怖くなかった。そしてブッシュまじりの雪壁を登り返すと2峰に着いた。お天気は快晴で景色を堪能した。ピークからザイルをのばして懸垂支点へ進む。懸垂支点はしっかりとした太い鎖があった。懸垂下降が終わるとあとはピークまで雪壁を登るのみ。ピークがだんだん近づくにつれて、剱に向けての練習山行を思い出すと涙が溢れてきた。そしてついに剱岳本峰にたった。最後の雪壁を登ってるころ、後立山からガスがかかりだし青空に雲がひろがってしまった。ピークは風がとてもきつくて寒く、ゆっくり写真を撮ることは出来なかった。15分ほど達成感の余韻に浸り下山開始した。
下山中にM川さん達に再会した。Cフェースの翌日はR4を登攀されたようだ。記念撮影をして平蔵谷コルで別れた。別山尾根を下ろうかと思ったが、平蔵谷を下り剱沢を登り返してテント場に戻った。
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5月6日 下山
起床3:00→出発5:30→室堂8:40→温泉→寿司→富山IC→京都18:30
さすがに最終日にもなるとテントの数もかなり少ない。岩峰の方に挨拶をして出発。
剱岳大満喫!!充実した気持ちで下山となった。メンバーの皆様、ありがとうございました。夢がひとつまた叶いました。
A木 総括
雪の剱岳。初めて見たのは9年前の春に毛勝を縦走した時だった。北方稜線に続くその頂に、いつかは立ってみたいと思った。それから幾度か後立山の稜線に立つ機会が有り、先輩達から「あれが平蔵、源治郎、長次郎に八ツ峰・・・」と教えてもらっても、最初は尾根なのか谷なのかも解らなかったけど、あの特徴的な山容を見る度に、段々と思いは募っていった。
今年のGWは、早い段階からIリーダーの下、剱・八ツ峰の計画が始動し、いよいよ憧れの場所に、しかもあの格好良いギザギザ八ツ峰から登れる事になり、すごく楽しみだった。相変わらず平日しか休めない関係で事前の練習山行には行けなかったが、F君やW君に付き合ってもらって、自分なりの準備を進めた。
初めの週間予報だと悪かった天気は、僕の晴れ男パワーのお陰で入山前には何とかなりそうな予報へ変わり、当日は良い条件の中で登攀できた。ただ、事前の不安通りロープワークが遅く迷惑をかけてしまった点、また確保されている事で足元を固めるのが雑になり、午後からの気温上昇に緩んだ雪面のトラバースで滑ってしまった点、以上は反省しないといけない。
3日目に山スキーを楽しめたのも嬉しかった。でも4日目は早発ちしたせいで雷鳥沢はデコボコのガリガリ、ちょっと寿命が縮んだ。とまれ道具を貸してくれたHさんには改めてお礼を申し上げる。いつも有り難うございます。
今回TさんT君とは初めてだったけれど、山行中は常に和気藹々とした雰囲気で、とても楽しく過ごせた。食事は質量ともに気合が入っていて、お酒やデザートも豊富だった。T君が持ってきてくれた初日の柏餅に子供の日を思い出し、S君が半ダース担ぎ上げてくれたビールは2日目待ち切れずフライングしちゃったけど昇天するくらいに美味く、3日目の杏仁豆腐フルーツポンチに剣沢登り返しの疲れも吹き飛んだ。
去年に引き続いて、まさに黄金の一週間(には若干満たないけど)だった。メンバーの皆さん、本当に有り難う!剱本峰は、次の楽しみにとっておく。
S木 総括
2006年6月に参加した文登研でのこと。まだ冬山を始めて間もない頃で、同じ班のメンバーに初心者が多かったこともあり、剱岳本峰には行けなかった。登山行動は、なんと一服剱まで。他の班が平蔵谷やらをツメて本峰まで次々に行く中、とても悔しいというか、自分もいつかは残雪期の剱に行きたいと思った。それから気付けば丸3年。ついに残雪期の剱の頂上に立つことができた。
今回の山行は、年明けくらいにI野さんに誘ってもらった。話を聞いたときに即「行きます!」と返事をした。3月末から4月にかけて、準備山行として権現東稜と五竜G?に行った。どちらも中身の濃い山行で、剱に向けて近付いていく感じがした。
そしてGW。この3年の間に、それなりに冬山やアルパインなどバリエーションの山行に行ってきた。それでも、八ツ峰の雪壁やナイフリッジの写真を見ると、無事に行けるのだろうかという不安めいたものも少しあった。しかし、雪稜の仲間と4泊5日も剱に入れるというワクワク感のほうが上回っていた。
初日、立山黒部アルペンルートで室堂へ。立山駅では懐かしい文登研の山仲間にも会えた。やはり登山客、スキー客、観光客でごった返している。室堂到着後、A木さんとスキーにシールを貼り、剱沢へ出発。太陽が照りつける晴天の中、雷鳥沢の登りがしんどい。ザックには通常の装備に加え、大量の嗜好品と登山靴が入っているためかなりの重量だ。この登りは久しぶりに「苦しい」と感じた。別山乗越からはシールを取り、華麗な滑降!といきたかったところだが、荷物と腐った雪のおかげで横滑りも満足にできない。なんとか剱沢のテン場にたどりついたときには、もう他のメンバーが立派な防風壁を作ってくれていた。ありがとうございます。この日は天気も良かったのでテントの外で食事&宴会。苦労して持っていったアルコール(発泡酒350ml×6、梅酒1L、ウィスキー小1瓶)がみんなの胃に入っていく?。
2日目は八ツ峰縦走。取り付きまでの登りがきついが、昨日背負った荷物とは比べ物にならないくらい軽いので、苦しくはない。2、3峰間のコルから歩きはじめると、八ツ峰の頭まで続く稜線が長く続いているのが見えはじめた…。あそこまで辿りつけるのだろうか。各ピークの下りは急で、懸垂下降をしなければならないところも多い。各懸垂ポイントには残置スリングがあった。やはりこの時期になるとすでに残置支点が掘り出されているようだ。6峰のあたりで、スノーボラードで懸垂下降をしている跡があった。実戦で使用されているのを見たのは初めてだったが、その横あたりをクライムダウンした跡もあったので、自分たちはそこを降りた(やはり使用には勇気がいる…)。この縦走で個人的に緊張したと感じたシーンは、懸垂下降の順番待ちのときに、少し不安点な場所に長く留まっていたとき、5、6峰コルからの登りの急な雪壁のトラバース、7峰の下りの残置スノーバー2本での懸垂下降、8峰から頭に行くまでの間のナイフリッジの通過、といったところだろうか。結局この日は剱本峰には行かずに、長次郎谷を下った。もしかすると本峰を踏んでから平蔵谷を下るというルート行けたかもしれないが、疲労した体と6人という人数、時間、翌日の天気予報を考えたら間違った判断ではなかったと思う。
3日目はレスト日。自分とT田さんとA木さんはせっかく持ってきたスキーを楽しむべく真砂沢に向かった。別山乗越までの登りでいい汗をかき、剱御前小舎の無料トイレ(良心的!!)でスッキリして、いざ滑降開始!滑りだしはかなりの急斜面だが、雪面は適度に硬く、まるで圧雪されたゲレンデのようで滑りやすい。やはりスキーも楽しい!革靴&ジルブレッタのT田さんはかなり苦労していたが、やはりフォームは格好イイ。いろいろと重心のバランスや足の使い方を教えてもらった。高低差1000m近いルートをあっという間に滑り降り、あとはだらだらと長く続く剱沢の登りをひたすら登る。暑い。テン場に戻ると残った3人はトランプで遊んでいた。自分の持ってきた梅酒も減っている。笑 フルーツ缶&杏仁豆腐が美味しかった?運んできた甲斐があった。
4日目は源次郎尾根から剱本峰を目指すことに。1峰までのルンゼの登り、自分は何ともないと感じたが、T田さんは荷物が大きいせいか、かなり緊張した登りだったらしい。1峰に上がると、雲ひとつない快晴の中、源次郎尾根が続く先にドッシリを構える本峰が現れた。そのピークはあまりにも立派で、数時間後あそこに立っている自分を想像するとすごく嬉しく、またあんなところに自分が立っていいのかとも思ってしまった。懸垂下降も1回のみ、後はところどころ急なところもあったが、順調に本峰までの距離を縮める。しかし、途中からガスがかかってきた。後立山のほうにかかっていた雲(ガス?)がこちらに移動してきたようだ。ピークも自分たちもあっという間にガスに巻かれてしまった。「ピークからの眺望は期待できないな…」そう思いテンション下がり気味で登っていたとき、ガスが少しきれて青空が見える瞬間が時おり出てきた。「もしかしたら」という期待を胸に力強く足を進める。高度計を見るとピークまであと数十mというところで、ガスがさーっと晴れて、景色が見えるようになった。「ピークが目前に見える!」剱のピークに立とうとしている自分を、回りの景色から実感しながら、山を始めたばかりのときのように興奮し感動した。念願の剱登頂をみんなで喜びあい、ピークで記念写真を何回も撮った。下山は平蔵谷から。アイゼン手袋でカニの縦ばい横ばいを通過するのは少し緊張した。テントに戻ると、山スキーをしにきたF上くんが置いていったお酒&つまみがあった。ありがとう!なんていいやつなんだ!この日はテン場に戻ってもまだ時間に余裕があったので、剱沢小屋でビールを買い足し、余ったお酒やつまみを好きなだけ飲んで食べて、登頂の満足感に浸ることができた。一足先に帰ったA木さんT橋さんには申し訳ないです笑。
最終日である5日目は下山だけ。とはいっても荷物はそれなりに重く、雷鳥沢をスキーで滑ろうとした自分と玉田さんはガリガリ斜面に苦戦し悲惨なことに。結果的につぼ足の人よりもかなり遅れてしまった。下山後は富山の回転寿司チェーン「きときと寿司」に寄り、富山の味を満喫して帰った。F上くんにも会いたかったが、連絡が取れなかったのでまたの機会にした(後で分かったがこの日は仕事だったらしい)。
長いようであっという間の5日間だった。念願の剱登頂、八ツ峰の縦走、みんなの力を合わせて成し遂げた!という感じでとても満足な山行だった。リーダーのI野さん、みなさん、ありがとうございました。