冬合宿@中央アルプス全山縦走

2017年 1月 6日 | 中央アルプス, 会合宿, 積雪期縦走

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明けましておめでとうございます

山行名:冬合宿@中央アルプス全山縦走

日時:2016年12月28日(水)夜発~2017年1月3日(火)
メンバー T柳 K川 I村 H岡

12月29日:08:00駐車場~08:40桂小場~11:30胸突八丁~13:20胸突の頭13:30~14:20将棊頭山~14:30西駒山荘C1
12月30日:07:00C1~09:00濃ヶ池分岐~09:20(木曽駒ヶ岳) 頂上山荘09:30~10:00乗越浄土~10:30千畳敷駅10:50~12:00極楽平12:10
~島田娘~~15:10檜尾岳~15:30檜尾避難小屋C2
12月31日:07:10C2~07:30檜尾岳~09:00熊沢岳09:10~10:40東川岳~11:20木曽殿山荘11:30~13:40空木岳13:50~14:00駒峰ヒュッテC3
1月1日:06:40C3~ 07:00空木岳~09:20南駒ヶ岳~13:20仙涯嶺13:30~14:40越百山14:50~15:10南越百山~16:002400m宿泊地C4
1月2日:06:30C4~08:30奥念丈岳~12:00安平路山~12:50安平路避難小屋13:00~14:40摺古木山14:50~16:30摺古木自然園休憩舎C5
1月3日:06:40C5~08:40大平宿09:00~12:10除雪終点

今年の年末年始は中央アルプス全山に挑戦!
4人で将棊頭山から摺古木山まで、果たしてどうなることやら。

仕事納めを終え、久々に満載となった大型ザックを車に積み込んで、伊那谷を目指す。それにしても今年はよく伊那谷に来たものだ。

セブンイレブンがすぐ横にある飯島の道の駅で沈。週間天気は1週間先まで好天を告げている。あとは風との闘いだろうか。

29日 長い山路の始まり
翌朝は6時に起きるが、まだ真っ暗。行動が出来るのは6時半くらいからだろうか。

伊那市街を経由して小黒川に沿って進み、発電所先の車止めまで。車はすでに3,4台ほど停まっている。
共装を振り分け、準備を整えて出発。荷物は思いが2人で行った去年ほどではない。

今日は西駒山荘までのコンタ上げだ。信大の小屋を見送り、水場で喉を潤したりしながら、や胸突き八丁といった急斜を登っていく。
mくらいから雪があるも先行者のトレースはばっちりでラッセルは無くて助かる。深いところで膝くらいだろうか。

いざ、出発

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主稜線へ

下から5時間ほどで主稜線へ出る。雪面が硬いのでここからはアイゼン。
最初は晴れていて気持ちよかったが、将棊頭山に着くころはガスガスとなってしまった。
という訳で1つ目のピークだ。

真っ白な視界の中、西駒山荘へ。丁度、先行パーティが入口を開けようというところだった。
ほどなく開いた小屋に入る。
今日は我々を含めて3パーティのようだ。

そそくさとテントを張って、ふきこぼれたビールで入山を祝う。
今日の晩飯はアルファ米雑炊。これぞ長期山行だというような質素な内容だ。

明日は風が強そうだ。スピリタスや富士山麓など高い度数の酒をチビチビやりながら、明日の作戦について話し合う。

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将棊頭山

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西駒山荘

30日 強風の木曽駒ヶ岳
朝起きると風強めでガスもかかっている。
朝飯の棒ラーメンを掻き込み、明るくなるまで様子見。

7時頃、ガスは飛びかけ、風も動けないほどでもない。様子を見ながら進み、最悪宝剣は千畳敷カールから巻くという方針で進むことにする。

目出帽&ゴーグルで出発。
聖職の碑を過ぎたあたりの広いところは局地風が強い。
少し進んで尾根に入ると多少は和らぐ。

ほどなく木曽駒にかかっていたガスが飛び始め姿を現す。
普段、千畳敷側からののっぺりとしたピークしか見ていないが、こちら側から見るとどっしりとしてカッコいい。

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木曽駒をバックに

1週間くらいまえの気温が高い時期に溶けて、また凍ったのか雪面はとても硬い。古ぼけたアイゼンは弾かれるくらいだ。
終始この硬雪には悩まされることとなる。
頂上台地に乗る手前の急斜は、雪の硬さ、強風もあり、なかなか緊張するポイントだ。
この状況であまり下りたくはない。

頂上台地に乗ると風は一層強まり、久々に風に体重を預けながら歩き、突風は耐風姿勢という感じ。

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宝剣を望む

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強風吹き荒れる木曽駒直下

掻い潜りながらなんとか進んできたが、木曽駒直下が風の通り道となっていて、にっちもさっちもいかないので、木曽駒は諦めて頂上小屋のところで一休み。

この辺りは少し風も和らぐ。
山頂台地の強風は局地風であろうことと、今後、風は弱まる予報であること、山頂台地以前程度の風の強さなら稜線を歩くことは可能と判断し、宝剣を巻いてその先を目指すこととする。

という訳で中岳を越えて、宝剣小屋を見送り、千畳敷を目指す。
宝剣は今日も青空に輝いているが、雪煙が待っていて突破は厳しそうだ。

八丁坂の降り口はガチガチに凍っていて、なかなか緊張する。ある程度のところまでバックステップで下ろす。
下からは丁度、ロープウェイの始発に乗った人たちがぞろぞろ登ってくる。

カールの中は、稜線とはうって変わって穏やか。動くと少し暑いくらいだ。千畳敷駅でのほほんとして、再度稜線を目指して登り返す。

サギダル尾根を登るパーティを横目に登っていくが、吹きだまりの下に氷化した層があり、なかなか油断できない。

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千畳敷から宝剣を望む

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再び稜線へ

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空木への稜線へ

息を切らしながら極楽平へ復帰すると、予想した以上に風は強くない。これなら行けるということで、島田娘へ登る。
空木岳まで続くカッコいい稜線。初めて見たときから歩いて見たいと思っていた稜線についに足を踏み入れることができる。

基本的に夏道は木曽側についている。時折出てくる岩稜は急斜のトラバースとなり、雪の硬さから二点支持が続き、なかなか気は抜けない。
時には横ばいでトラバースをするはめになる。

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雪が硬くちょっとしたところでも油断できない

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檜尾岳を望む

そんな感じで稜線を進み続け、最後は檜尾岳の登り。
分かってはいるが、何度も偽ピークがありうんざりさせられる。

檜尾岳に登ると空木岳がドーンと聳える。そこに至る稜線もなかなかギバギバ。
空木の登りは急でしんどそうだ。

さて、あとは檜尾避難小屋に下るだけかと思いきや、真尾根を下ろすのはなかなか急で、相変わらず雪が硬いので怖い。
左手から巻き気味にバックステップを交えて下り、尾根に復帰するようトラバースして、小屋へ。

伊那谷を見下ろし、その向こうには南アルプスの山々。最高のロケーションだ。
避難小屋も広くて快適、テントマットやシュラフもあり素晴らしい。

今日はよく動いたのでぺミカン。やっぱり、長期山行のご馳走はこれだ。
夜、小屋の外へ出ると伊那谷の夜景が美しかった。
明日も天気は午後から曇るらしい。早デッパで天気のいいうちに、予定通り空木まで行けるかな?

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檜尾岳山頂

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最高のロケーションの避難小屋

31日 空木岳へ
今日は2016年最後の日。しかし起きたのは予定よりも1時間以上遅い5時過ぎ!あわてて棒ラーメンをすする。

今年最後の日の出を見ながら、昨日の急斜面を登り返し、檜尾岳へ。
木曽駒方面はガスがかかっていた。

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モルゲンロート

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空木方面

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木曽駒方面

今日は、行程は短いもののいくつか小ピークを越えるのでアップダウンが多い。
特に木曽殿に降りてからの空木の登り返しは岩稜の巻きもありなかなかしんどそうだ。

基本的には稜線歩きは昨日と同様で、木曽側の夏道を辿りながら進んでいく。

まず最初のピークは熊沢岳。その後も熊沢岳のいくつかのピークを越えて少し標高を下ろして東川岳へ。
1ヶ所岩稜の巻きの途中に岩と硬雪混じりの急斜を10mほど登る箇所があった。

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熊沢岳山頂

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稜線闊歩

東川岳から木曽殿まで150m一気に標高を下ろす。
振り返ると東川岳は思ったよりも岩々していてかっこよかった。木曽殿くらいまで下ろすと樹林も出てくる。ふと小屋に着く直前に二人組が小屋にいるのに気がついた。

小屋で休憩がてら話を聞くと、豊橋の山岳会らしい。何故だかわからないが、一人はパキスタン人だった。
今日は檜尾まで進み、最後の後ろから来る全山縦走パーティに差し入れをするそうな。
我々もなにか差し入れがほしいなどと思いながら、お互いの健闘を祈る。

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木曽殿山荘

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どっしりとした空木

さて、ここからは本日の大詰め。空木の登りだ。
遠目に見るとカッコいいが、いざ登るとなると憎たらしくもある。

とりあえず、ひたすら無心でコンタを稼いでいく。
遠目に見たらとても急そうに見えた岩混じりの斜面は近づいてみると大した斜度もなく夏道を辿って余裕で登れる。
夏道に沿って岩稜を巻くとそこが第一ピーク。

空木岳の本当のピークまではさらに大きな岩稜が続く。
トレースを辿りながらほぼほぼ夏道通りに進んでいく感じ。岩稜自体は木曽側から巻いていくが、そのトラバースがとても急で緊張を強いられる。
横ばいトラバースをして、小ルンゼからリッジに乗って直上するあたりが核心か。

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空木の岩稜へ

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緊張するトラバース

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最後は伊那谷から回り込む

何回かトラバースと直上を繰り返して、最後は伊那側から尾根上に復帰。
ピークまではあと少し。乱れた息を整えながら空木岳のピークに着くと、南駒ヶ岳から越百山、念丈とこれから歩く稜線がまだまだ見えてくる。
後半の核心、仙涯嶺はまだ南駒ヶ岳の影だ。

結局天気は崩れることもなく、最高の天気。
木曽駒のあたりのガスも飛び、御嶽や乗鞍もよく見える。
伊那側に目を向ければ、甲斐駒、仙丈、白根三山、塩見、去年歩いた荒川三山から赤石、聖、光岳まで南アルプスは一望。塩見の横に富士山がちょこんと顔を出している。
八ヶ岳やその向こうには浅間山。見えるものは全部見えている。

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ピークまであと一息

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空木山頂!

思い思いに景色を堪能して、2016年最後のピークをあとにして駒峰ヒュッテへ。
しかし、開けてビックリ、冬期小屋として解放されているのは玄関の部分のみで、とても4・5テンは張れそうにない。4人で寝転がるので精一杯だ。今夜はツェルトで寝ることとする。
でも、風が防げるだけでもありがたい。

この日、我々の帆かに単独行の人が二人。小屋の横にテントを張っていた。

今日の行動時間は少し短かったが、大晦日ということで、ごちそうのペミ。油が体に染み渡る。
ぜんざい代わりのおしるこなど少し豪勢なツマミなんかも出していって、紅白歌合戦を少しだけ聞いて、大晦日気分を味わいながら、眠りに落ちていく。明日は初日の出が見れるかな。

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輝く太陽

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駒峰ヒュッテの解放部は狭い

1月1日 山あり谷あり波乱の元日
明けましておめでとうございます!
しかし、外の様子を見るとガスガス… あれま…

今日も今日とて棒ラーをすする。今日は長丁場で核心部もあるので、回復を見込んで早々に行動を開始することにするも、土壇場でsamoaがトイレへ。
用を足しているとみるみるガスが飛んで東の空が燃え始める。

あわててザックを担ぎ出して、空木岳へ登り返す。
稜線のガスは飛んだり飛ばなかったり。よくよく見渡すと晴れているのは空木岳の上だけといった感じだ。
この幸運に感謝しながら2017年最初のピークに立つと同時に塩見と富士山の間から御来光が登る。
これもsamoaの完璧な時間調整の為せる業(笑)
本当に2017年最高の幕開けだ。

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初日の出!

初日の出を堪能して、モルゲンロートの稜線を歩いていく。
朝陽に照らされて、切れ切れになりつつあるガスも相まって美しい景色を作り出している。

ほどなくガスも飛びきり南駒ヶ岳が姿を現す。これまたどしりとしていい感じだ。
相も変わらず硬い雪にアイゼンを蹴りこんだりしながら登っていく。
南駒ヶ岳までは特に困難も無く辿り着く。

今日の核心部はここから。仙涯嶺は南駒先の岩稜に隠れてまだ全貌は見えない。
果たしてどうなることやら。

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美しい稜線を歩く

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南駒ヶ岳

南駒ヶ岳を下って行ってほどなく出てくる岩稜は夏道を辿ったり、岩の段差を越えたりしながら進んでいく。
しかし、一際大きい岩峰にぶち当たる。
これまで、夏道が着いていた木曽側は切れ落ちてとてもいけそうにない。

木曽側はべったり雪の着いた急な斜面になっている。
ここをザイルを出して進んでみる。

岩に沿って15mほどバックステップをして、30mほどトラバース。
途中、灌木で2ヶ所ランニングを取れた。
これまでとは、打って変わってずぼずぼだが、ステップが安定しなくて逆に怖かった。
終了点は掘り返されたブッシュ。
どうやら逆ルートを取ったパーティは岩峰の上を行ったようだ。

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歩いてきた稜線をバックに

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南駒ヶ岳先の岩稜をザイルをだして巻く

後続も来てとりあえず一息。
ようやく仙涯嶺がその姿を見せてくれる。
さながら南の宝剣とも言うべき貫禄で、雄々しくもあり、おどろおどろしくもある。

岩稜の巻きが終わってからは、多少急な尾根を仙涯嶺まで下ろしていくだけと、のんびり降りていたら事件が発生。

トップを歩いていたI村さんが、滑落。怪我はなかったからよかったものの今後、雪質の変化には取り分けて注意して進むことを確認して、気を取り直して出発する。

さて、いよいよ仙涯嶺だ。これまでの岩稜同様、木曽側についている登山道を辿っていくが、雪が夏道を埋めてトラバースを強いられる箇所が出てくる。

いよいよ南駒先の岩峰くらいのトラバースが出てきてザイルを出す。
灌木でランニングを取って回り込むと、夏道のトラロープが出て来る。これをランニングにしながら30mほどトラバースして、残置ロープを終了点とする。
怖いのはトラバースはじめと最後のところ。

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青空を刺す仙涯嶺

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仙涯嶺もザイルを出して巻くポイントがあった

ここを超えれば、あとは鎖場を交えた直上で尾根上に出て夏道伝いに歩いていくと仙涯嶺のピークへ。
滑落も含め、ザイルを出したりして核心を越えてここまでこれた。ようやく緊張が溶けた気がする。

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仙涯嶺に立つ2人

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仙涯嶺ピークにて

しかし、今日の行程はまだまだ続く。今日は越百山を超えならない。
ふと振り返ってみた仙涯嶺と南駒ヶ岳はなかなかかっこよかった。
目指す、越百山はこれまでの岩々、どっしりとは違い白が優占する円錐形の端正な山容だ岩稜もなくなり、広く緩やかな尾根を息を切らしながら登っていく。
見た目の距離ほど時間はかからなかったが、地形図上で名前のある樹林外のピークとしては最後だ。
あえなくガスに巻かれてしまったが、とりあえずここまではこれた。

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端正な越百山

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ここまで来た!

次の小ピークである南越百山を越えて、夏道を辿りながら下りていくと、樹林帯に入っていく。
最初のうちは、うまくルートを探ればバリズボのハマることもなく進める感じだったが、2500mを切ったくらいでにっちもさっちもいかなくなり、ついにアイゼンを外してスノーシューやわかんに履き替える。

バリズボに多少苦しみながら時計を見ると16時前。あまり下ろしすぎて雪が少なくなっても、テントを張りづらくなるということで、2400mくらいのところに適当にテントを張る。予定では松川峠くらいまで進む予定だったの大分手前での行動終了となってしまった。下山まであと2日はかかるかな。

暮れなずむ山々を望みながらテントを設営。テントに潜り込むとなかなか暖かい。
昨日、ペミカンを食べきってしまったので、今日はアルファ米とフリーズドライ。
やっぱり味気ない。終わりもみえてきたので、停滞食の棒ラーメンを一食分食べてお腹を満たす。

明日以降は樹林内でラッセルの具合等でコースタイムが読みづらい。果たしてどこまでいけるか。

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今日はここまで

1月2日 藪尾根、樹林帯を歩き倒せ
今日も南アルプスの向こうから朝陽が昇る。主稜線上はガスっぽいが今日もいい天気だ。今日も今日とて棒ラーメンをかき込んで出発。
今日は気合で藪々した樹林帯を歩けるところまで進む。

朝うちのせいかバリズボも昨日ほどではなく。いくつかのポコを越えながら進んでいく。
当然ながら標高を下ろすにつれて雪は少なくなりササが出てくる。
大崩壊のところにでると、右手に御嶽が見え、その左にさらに白いたおやかな山が見える。
どうやら白山のようだ。大分南に来たことを実感する。

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黎明の南アルプス

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白山まで見えた

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藪々した尾根を進む

時折、デポ旗なんかもあるが、そもそも踏み跡が薄い当たり。歩きやすいところは自分で見つけるしか無い。
個人的には俄然テンションが上がる山の歩き方。多少、尾根上のブッシュがウザくてもへんにトラバースするよりも、尾根上を進んだほうがいい感じだ。
更に言うと、歩きやすいところはその森の住人に聞くといい。無数にあるアニマルトレースも歩きやすいところを教えてくれる。
会の人が越百から南は獣くさいといっていたが、本当にそのとおりだ。
途中、休憩したところにはなんとクマの足跡まであった。冬眠はどうした・・・。

1時間半ほどで奥念丈岳へ。思ったよりもコースタイムはかからなかったので、安平路方面に歩を進める。
相変わらず藪々しているが、新し目のピンクテープもあり、ほどよいササの埋まり具合でラッセルもなくどんどん進んでいける。
ちなみに幕営予定だった松川峠はササだらけで宿泊どころでは無かった。

.2259あたりは雪も豊富にあり、テンバ適地だ。
暖かいのでここで用を足したが、南アルプスを一望しながらキジ撃ちは自分の山人生でもトップクラスに気持ちのいいものだった。

安平路山に進んでいくにつれて、南西へ進んでいくため、中央アルプスに隠されていた山々がどんどん見えてくる。
乗鞍が見えたと思えば、笠や焼岳が見えはじめ、最後には槍穂まで望むことができた。
朝はガスっていた主稜も見え。今日は本当に天気が良いようだ。
急斜面を一踏ん張りして登り、安平路山へ。山と高原の地図で破線ルートはここまでだ。
何故かアサヒビールの寄贈により山頂のボッコは今山行を通しても一番立派かもしれない。

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なんとクマの足跡

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槍穂まで見えた

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安平路山山頂

破線ルートでなくなると急にデポ旗も増え、夏道を辿ると明らかにバリズボやラッセルも少なくなる。まぁ、ここまで幸いにもラッセルといえるものはほとんどなかったが・・・。
そんなこんなで、あっという間に安平路避難小屋まで。立派な山小屋だが、今の時点で13時前。
今日はなんとか、摺古木山自然園の休憩舎まで行けそうだ。

となれば気合で進むのみ。昼も過ぎて早くも斜陽になりかけている木漏れ日の森を歩いて行く。
とはいえ、下りや平坦地はまだいいものの、登りはやっぱりしんどい。

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木漏れ日の中

小ピーク白ビソ山を越えて、最後のピーク摺古木山の登りへ差し掛かる。
標高差は大したことはないが、小さい偽ピークの登りが2・3回続きうんざりする。

最後の登りは遠くにピークのボッコが見えて、それを睨みつけながら辿り着いた。
将棊頭山から5日目にしてようやく摺古木山へたどり着いた。
まだ、下山には遠いが、ここまで歩いてきた達成感は計り知れない。
メンバーとがっつり握手を交わし、喜びを分かち合う。なんかこういうのは久々だ。
記念写真は疲れはあるも達成感のある笑顔だ。

ピークに着く少し前からガスがでて雪がちらついていたが、摺古木山を後にしようという時に、少しガスが飛び、彼方に木曽駒や主稜を望むことが出来た。
なんかお疲れ様、といわれているような気がした。

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ついに摺古木山まで!

さて後は下るだけ。最初よりもずいぶんと近くなった恵那山なんを眺めながら夕陽に染まり始めた樹林帯を下ろしていく。
トラバースが多い登山道でなかなか標高を降ろさないのでじれったいが、徐々にシラビソから広葉樹、カラマツの森へと変遷していく。
途中の水場で水を汲んで、惰性で下ろしていくと。突然林道にでて、休憩舎へたどり着いた。
しかも、かなりきれいで中に入れるので歓声を上げてしまった。
ちなみに、トイレと水場は1分ほど下ろしたところにあった。

さて今日はラストテンバ。食糧は棒ラーメンしかないが、予備食のなかからちょっと贅沢な棒ラーを食べたり、あるだけのツマミをだし、ウィスキーや泡盛を飲んでここまでの労を労う。
窓から覗く三日月と金星を眺めながら、夜は更けていった。

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快適な休憩舎へ

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三日月と金星が並ぶ

1月3日 長い旅の終わり
今日は林道を歩くのみ。日の出のちょっと前に出て、林道を歩いて行く。
下山の林道の話題は当然、下りた何を食べるかだ。色々思いを巡らすがなかなか決まらない。
朝陽に照らされながらどんどん林道を下ろしていき、電柱が出てきて、文明が近づいてきたと思ったら、冬期は無人の大平宿へ飛び出した。なんかタイムスリップしたような町並みだ。

ここには衛生公衆電話があり、最初の100円硬貨やEDYで利用することが出来る。
タクシー会社に配車をお願い(事前に調べた情報と違い、県道8号線は全線登記通行止めだったためすったもんだがあった・・・)して、プラブーツにはしんどい車道を歩いて大平峠を越えて歩いて行く。
山行の最後が旧街道というのも悪くはない。ちょいちょい看板もありかつてここになにがあったを教えてくれる。

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今日も朝陽とともに

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大平宿

大平峠からは半ば気合で下りていく。あまりにも道がつづら折りなのがもどかしく、長いことアスファルトを歩いて足が痛くなってきたが、3時間ほどで冬期通行止めゲートまでたどり着き下山。
本当に疲れて全身バキバキ。疲労はあるが、それ以上に歩き通せた充実感と達成感が大きく、本当にうれしい。久々に長かったなぁ。

ほどなくタクシーもやってきて文明に回帰する。飯田に回り込んでから高速に入るも、高速で走っても結構時間のかかり、自分たちの歩いた距離を実感する。
2時間ほどで、6日前に出発した駐車場へたどり着く。

荷物を適当に詰めこんで、お馴染みコマクサの湯に向かい6日間の汗と疲れを初風呂で流す。本当に生き返る気分だ。
温泉のあとは腹ごしらえ。近くの明治亭でソースカツ丼と蕎麦を注文し、肉分・脂分・塩分を摂取。体に染みる。

その後は、Uターンラッシュに捕まるのを覚悟に高速に乗ったが、結局、故障車渋滞のあった京滋バイパスを除いては、大したことは無かった。
そんなこんなで、三が日も終わろという中、京都へ帰ってきたのだった。さて、今年はどんな山にいこうかな。

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6日間の山旅の終わり お疲れ様でした!