イグルー(雪洞)講習@野伏ヶ岳(石徹白)
2017年 3月 15日 | トップ画像, 会企画山行, 奥越・奥美濃・白山, 山スキー, 積雪期縦走, 行事, 訓練・講習会山行名:イグルー(雪洞)講習@野伏ヶ岳(石徹白)
日時:2017年3月10日(金)夜発~12日(日)
メンバー Y山(講師) M田 Y本 S K O崎 H原 H田 S林 T柳 K川 他1
今年の雪洞講習は、T柳・K川が北海道にいた時にイグルーの手ほどきをしていただいた、Y山さんを講師としてお招きすることにした。
11日 一年ぶりの石徹白
6:00頃、白山中居神社集合。駐車場は車で一杯。野伏ヶ岳の人気は想像以上だ。
ひととおり挨拶を済まして、わかん組とスキー組に分かれて出発。牧場目指して林道を登っていく。
O崎さんやH田さんはバックカントリーではない山スキー山行は初めて。林道中の急なところでのシールの効かせ方やキックターンに苦戦している。
体感でやっているものを言葉として的確にアドバイスするのことが難しく感じた。
2時間程度で樹林帯を抜け牧場に出ると、視界が開けて、抜けるような青空、広大な雪原、そして白い野伏ヶ岳を始めとする石徹白の山々が見渡せる。最高に気持ちのいいところだ。
少し進んで、風にさらされ吹きだまりとなっているところを適地と見定める。
前日、前々日に結構降ったのか、50cmくらいの新雪があり、その下に割りかし締まった雪が確認できる。
どうやら、ここで作ることができそうだ。
一休みして、Y山さんの講義が始まる。
「冒険登山のすすめ」を読んだときから感じていたことだが、5年前に教わったときからイグルーの作り方はブラッシュアップされているようだ。
円を描いて新雪層をどけて、締まった雪の層からまずは1段目の土台となる思い大きなブロックを切り出す。
ひと通り1段目ができたらブロックを板状にして軽くて大きなブロックを切り出し、2段目から内側に迫り出すよう積んでいく。
これだけで既にドームが形となり、下にも掘り下がっている。
今回は4つのイグルーをつなげて総勢12人が泊まれるイグルーを作成する。
一通りのこつを聞いて、Y山さんが作りかけているイグルーの周りで残りの3つを作り始める。
中で掘り下げ、切り出す人、外でブロックの鉱脈を発見しブロックを生産する人、外から入口を掘る人と自然と分業が進み効率よく作業が進んでいき、2時間ほどでドームは完成、掘り下げによる除雪でさらに30分ほど。
みんな雪と戯れるのに夢中になって、初めてだというのにあっという間にできてしまった。
完成したイグルーをバックにみんなで集合写真。
まだまだ時間はあるので、各人でイグルー作りに挑戦。
ブロックが小さすぎたり、煙突状になったりでなかなか塞がらない人が多い中、緻密な計算で積み上げたKさんや、会長の威厳を見せたM田さんが見事に完成。
O崎さんのを途中から引き継いだK川はアーチ天井を切り出しなんとか塞ぐ。
S林さんも枝の橋架け術や他国からの輸出ブロックで完成させた。
K野きゅんは馬力であっと言う間に完成させ、T柳は前々からの夢だった棺桶型イグルーを作る。
みんなそれぞれ、あれやこれや挑戦する楽しい時間だった。
さていい時間になってきたので四連イグルーに潜り込む。
なんか地中動物の巣みたいで面白い。
6人、6人で分かれてお互いに大声で話しているはずだが、あまり聞こえないのは雪のおもしろいところだ。
つまみを回しあったりしながら、晩御飯を作りお酒を飲む。
となりはS林さん作のペミビーフシチュー(パン付)
こちらのメニューはK川作のキムチ鍋、ニンニク、ショウガ、肉たっぷりで美味しい。
お腹を満たして、適当に就寝。用を足しに外へ出たら月明かり雪原と野伏ヶ岳がぼんやりと照らされとても綺麗だ。
明日は晴れるかな?
12日 快晴の野伏のっこし
4時起床。寒さは全く感じなかった。朝ごはんは棒ラーだが、天ぷらや煮卵がたくさん入っていて贅沢だ。
外に出ると風も少なく快晴。東に雲があり、日の出は見えなかったが、山の色が移ろう時間を楽しむことができた。
沼を横目にダイレクト尾根に取りつく。スキー組は緩く斜面を登り、ツボ足組は直登する。
今日はY山さんの手解きを受けながらシールワークを練習しながら登っていく。
多少苦戦はしているものの、大分コツをつかみスムーズに登ることができた。
ツボ足組だと合流して上を目指す。
ダイレクト尾根西側のカールのような地形はいつみても見事だ。
地図で見ると少し急に見えるが、今回は雪質もちょうどよく、小気味よく、キックターンをしてぐんぐん尾根を登っていくことができる。
周りに見える白い山がどんどん増えていくのが心地よい。
東尾根との合流点を見送ってからひと登りでピークへ。最高の景色。
願教寺山へ続く白い稜線、向かいの銚子ヶ峰、そして、その奥に続く真っ知床のよいに白い白山。
反対を向けば、荒島や赤兎山、経ヶ岳、奥美濃の山々、芦倉の向こうには御嶽、乗鞍、北アルプスを望むことができる。
山座同定はまだ覚束ないが、2年前よりこのあたりの山の名前は出てくるようになった。次はスキーを履いて縦走したいな。
集合写真を撮って、スキー組は東尾根、ツボ足組はダイレクト尾根に分かれる。
シールを外して滑降開始。H田さんはスプリットボードを組み立てる。初めて見るがなかなか面白い。
ダイレクト尾根の感じから悶絶スキーかと思ったが、風がよく当たるのか東尾根は存外重くなく、ターンを決めながら気持ちよく滑ることができる。
楽しすぎて奇声が上がる。ゲレンデスキーが上手なO崎さん、H田さんは流石の滑り。
ダイレクト尾根を下るツボ足組が見えたのでホホーイとコールを送ると帰ってきた。なんか楽しい。
樹林帯に入る少し前から雪が腐り始める。こけないようにうまく右へ右へと滑っていく。適当にトレースに乗って戻っていく。
暖かい陽光は完全に春。雪原に疎らにカンバが生えてる感じがとてもよい。イグルーに戻るあたりでツボ足組も合流。
あとは適当に荷物をイグルーから出してパッキングし直して、イグルーを壊す。なかなか名残惜しい。
あとは林道ジェットをこけないように滑り降りるのみ。トレースを外すと途端に重くなるので、制動をかけるのが難しかったがそこそこのジェットで下り降りる。O崎さんや、H田さんもなかなかのスピードで降りてきた。
途中で抜かしたツボ足組も降りてきて、駐車場まで。
Y山さんは神社に除雪に来た人に牧場がいつまであったかなどを聞いていた。そういえば、去年バスを待つ間に白山中居神社を観光したなぁ…
温泉はウィングヒルのすぐ横にある満天の湯。野伏が見えてなかなかいい風呂。
遅めのお昼ご飯を食べて解散。
Y山さんを今回は講師に始まり何から何まで本当にお世話になりました。
こうして、充実と楽しみに満ちたイグルー講習は幕を閉じたのだった。