冬合宿@南アルプス 鋸岳~甲斐駒ケ岳
2018年 1月 1日 | 会企画山行, 会合宿, 南アルプス, 積雪期縦走山行名:冬合宿@南アルプス 鋸岳~甲斐駒ケ岳
日 時:2017年12月29日(金)夜発~2018年1月1日(月)
メンバー: I村 K K川 Sモア
行程:29日 08:30戸台口登山口-10:30角兵衛沢出合10:40-16:10源頭付近C1
30日 06:30C1-07:30角兵衛沢ノ頭-08:10鋸岳08:20-10:40鹿窓-14:40第2高点15:00-15:50中ノ川乗越C2
31日 06:30C2-08:10三ッ頭-08:50六合石室09:20-09:50 2654先10:00-10:30六合石室C3
1日 05:00C3-08:00甲斐駒ヶ岳-10:00仙水峠-11:10長衛小屋11:20-11:30こもれび山荘12:30-14:30角兵衛沢渡渉点-16:30戸台登山口
今年の年末年始は長く日程が取れず、どこへ行こうかとうんうん考えてる間にあれよあれよと時間が経ち、最終的にかねてから行ってみたかった鋸岳から甲斐駒の縦走に仙丈ヶ岳を付けた。
samoa的には南アルプス北部唯一残った鋸岳を落とすまたとない機会。
天候不良で槍ヶ岳から転戦したKさんとI 村閣下 を加え、総勢4人での年末年始山行となった。
10時くらいに京都を出発し、いつもの恵那峡で仮眠。
29日 だるい角兵衛沢
翌朝、戸台の駐車場に着くとそこそこ車が停まっている。
ぼちぼち準備する。隣の車も鋸岳がどうのと言っている。
警察と地元遭対協だろうか、登山届を受け付けている。鋸岳本当に気をつけてねとのことだ。どうなることやら。
最初の2時間は戸台川沿に河原を歩いていく。
林道歩きとはまた違ったダルさ。
今年は小雪で雪はない。適当に2,3回渡渉をして角兵衛沢出合。
出合の渡渉でI 村さんが少しバランスを崩したりもしながら、これから始まる長い登りに備えて小休止。
駐車場で鋸岳へ~と行っていたパーティーは先に進んでしまったが、どこから登るのだろうか。
さて、ここからは約1200mのコンタ上げ。初めは樹林内の歩きやすい微尾根地形を登って行き、いよいよ急な沢型を登る段になると一様に白くなるくらいに積もった雪の下のガレがゴツツゴ当たって非常に歩きにくい。時には軽く落石したりする。
テープやトレース、樹林のあるところ選んで少しでも歩きやすいところを選ぶも大きな改善にはならず。2000m過ぎたくらいでアイゼンを履いてさらに登って行く。
少し雪が溜まっているところは岩は当たらないがラッセルになりこちらもダルい。
15時も回ってそろそろテン場を探しながら行くも、なかなかいいところはなく、2500mを越えたくらいの左岸にちょっと緩いところを見つけて開削。
4・5テンエスパースがギリギリ張れる。
絶妙に傾きがあり作業しずらい感じのテント。こんなのは久しぶりかも。
とりあえず、水を作って入山を酒と晩飯で祝う。
今年もI村さんはスピリタス。年末年始の縦走だというのに、米を炊いてなかなかの量のぺミカンを食べて贅沢な感じだ。
目刺しで足元に荷物を放り込んだら体自体は割かしフラットで快適。
明日は天気は良さそう。進めるところまで進みたいが、どうなることやら
30日 大ギャップで大苦戦
さて、今日は核心の鋸越え。
天気は快晴で風も弱く絶好の乗越日和だ。
今日も100mくらい角兵衛沢の源頭部を登る。
上部ほどガラガラで落石注意だ。
コルに出ると八ヶ岳がよく見える。ここでも4・5テンを張るのは厳しいかもしれない。
とりあえず、第一高点を目指して登って行く。
うっすら残るトレースを辿りつつ適当に登っていくと小一時間ほどで第一高点へ。
途中で夜明けを迎え、隣の仙丈ヶ岳が美しく染まる。
右手には仙丈ヶ岳、その先には塩見や北岳、振り替えれば北アルプスが一望できて最高の眺め。
正面には目指す甲斐駒がどしりと構える。
風も強くないのでしばし休憩。
気を取り直して少し進むと核心1つ目小ギャップ。
鎖場となっているところの下部10 mほどが垂直で懸垂下降する。懸垂自体は素直。
コルからの登り返しは斜度の強いスラブに鎖が付いている。
鎖あるし、無理矢理にでも行けるだろうと踏んだがこれが失敗。
なかなか登りにくく二人詰まってしまう。
鎖に惑わされず少し左手のリッジ上に乗ってしまえば難なく登れた。
後続から来た二人組もそちらを通過。
とりあえず、上からロープを垂らしてそのルートに乗り直してもらって上へ出て事なきを得る。
そこからは岩のリッジが続くがここはノーザイル。
先行二人組はピナクルに取り付いているが、よく見ると左手にトラバースルートがある。
リッジから後ろ向きで降りてトラバースルートへ。
一ヶ所微妙なところがあるので念のためザイルを出して通過する。
その先が丁度鹿窓。覗きこむと鎖が付いている。夏はここを下ろすのだろうか。
鹿窓から一登りすると第三高点へ。相変わらず天気はよい。
続くは一番のポイントの大ギャップということで一休み。厳冬期とは思えない暖かさだ。
そんなこんなでトレース辿って大ギャップの懸垂ポイントへ。記録では2ピッチだったり1ピッチだったり、苦戦してたりしてなかったり。
1ピッチ目は捨て縄のかかった立木から岩の露出した段差を越えるために10mほど。
降りたところに再び捨て縄がかかっているのでそこからさらに20mの2ピッチ目。
これで終わりかと思いきや、三度捨て縄の支点があり、もう1ピッチしなければ行けなさそう。
先行の人が60mでいっぱいいっぱいと教えてくれるが果たして。
とりあえず、降りながら下を覗きこむも届いてるか微妙そう。
何とか安定して立てて残置のロープが出ているところでセルフをとりながら残置ロープを支点に掛け替えることに。
とりあえず、狭いスペースに全員降りてきてもらい、何とか掛けかえて再度下降。無事にトップが降り立つ。
なるべく残置ロープ沿いに行くとルンゼ地形の上のほうにでれるが、降られたりもするので真っ直ぐ降りるほうかいいかも。
ロープの余りは5m 弱、最初の支点ではギリギリ届かないくらいか。
ルンゼには結構雪が溜まっている。全員降りて一安心。なかなかシビアだった。
ルンゼを登り返し、反対側のルンゼを下ろす。こちらは雪うっすらでグズグズ。気をつけても落石する。
慎重に30mくらいおりて、微尾根に取り付いて登り返す。
疲労も出て来てヒーヒーいいながら登っていき第二高点へ。
時間は14時を回りすでに斜陽。今日中に6合目石室は無理そうだ。
少し近づいた甲斐駒を眺めながら後続を待ちがてらしばし休憩。
第三高点には同じルートで懸垂しようとしている後続パーティーが見えた。
後続とも合流し、中ノ川乗越を目指す。
なかなか急な下りだがそこそこ雪が積もっていて多少降りやすい。
一ヶ所鎖付きの段差もあった。
そんなこんなで、中ノ川乗越に到着。テント跡もあって快適に過ごせそうだ。
少し無理をしてこの先でテン場を伸ばすか、少し考えたが疲れもあるので今日はここで幕営。
明日は低気圧の接近で朝方以降天気は下り坂、明後日元日は冬型、晴マークはついているが、果たして甲斐駒へ行けることやら。
エスケープを考える必要もありそうだ。
明日エスケープなら山で年越しは無理かもと思ったtentyoが隠しグッツのぜんざいを作る。うまい。
今日の晩御飯もたっぷりペミシチュー。
疲れた体に染み渡る。テントでわいわい騒いでいると、日没ちょっと後くらいに後続パーティーもやってきた。
昨日よりも大分快適になり沈。
31日 分かりやすい悪化、6合目小屋まで
今日はとりあえず、天気を見ながら進み甲斐乗越が無理なら6合目小屋まで進み、無理そうなら1日の乗越かエスケープを考えることとする。
出発直前はうっすら星も見えていたが、出る頃には高曇りになって悪化傾向だ。
朝一からなかなか急な登り返しをこなしてポコの上に出るとちょうど日の出だが、太陽は一瞬で雲の中へ。
中アや北アはすでにガスのなかだが、周りのピークはまだ見えている。
夏だったらブッシュがうるさそうな尾根を歩いていき、多少のアップダウンを交えて三ツ石岳のピーク。
ペース的には問題ないが、遠くを見ると塩見のあたりにガスが流れ込んでくる。うーむ。
ようやく小一時間ほどで遠目に見えていた6合目小屋に着くが、すでに北岳あたりまでガスが流れ込んでおり、甲斐駒がガスるのも時間の問題だ。
とりあえず、小屋で休憩しながらいろいろ考え、もしかしたら行けるかもということで、ピークアタックをかけるも、2684に上がったくらいで甲斐駒がガスりはじめ、雪まで降りだしてくる。
というわけで引き返し。ガスりつつある甲斐駒をバックに写真を撮る。
明日は晴マークが着いているが行けるかな。
小屋に戻ってテントを立てる。日に日にテン場が快適になっていく。まだ11時で水作り以外特にすることもないのでダラダラ。昼過ぎくらいから酒に手を出し、tentyoが持ってきた少し早めの年越しそばで小腹を満たす。
14時過ぎくらいに小屋に二人組のパーティーがやってきた。聞けば角兵衛沢の頭から来たそうな。7時間足らずでここまでこれるとは。
日もくれてきてやることもないので、天気図を取ったりして時間を潰す。
天気展開的に2日以降山にいることもなさそうなで、今日もペミを食べる。今日の行程に対しては明らかにカロリーオーバーだ。
予報によると明日は晴れるらしいが果たして。初日の出を拝むことを見据えて今日は早めに寝る。
1月1日 明けましておめでとうございます。
3時起床。明けましておめでとうございます。
外は晴れており星が見えており、風も穏やか。初日の出拝めるか。
今日も今日とて棒ラーメンを掻き込んで準備をして5時前に出発。
恵那のほうにぼんやりと赤みがかった月が沈んでいく中、登っていく。
最初は特に危険な箇所もなく順調に高度を稼いでいくが、ピークに続く岩稜帯の入口が斜度の強い岩壁となっていて鎖場となっている。
序盤のうちはサクサク登れるが、最後の10mほどが、鎖頼りによいしょと登る感じ。
昨日の鎖場のこともあったのでロープを出して登ってもらう。
この岩場を突破している間にガスに巻かれはじめてとっても寒い。ガタガタ震えながら突破を待ってそそくさとザイルをしまって先を目指す。
ここからは岩稜が続くが、右に左に適当に交わしながら登っていける。
一時的と思っていたガスはがっつりかかったまま。ガスが薄ピンクに染まり日が昇ったことを教えてくれる。
いくつあったか偽ピークを越えていき、ようやく甲斐駒ピークへ。
黒戸尾根のほうから登ってきたパーティーもいる。
結局ガスは取れずじまい残念。
ピーク写真を撮って北沢峠目指して下山を開始する。
ピークからは直登ルートを下っていく。出だしが少し二重稜線っぽいので気を付けながら下っていく。
岩稜帯を左から巻きつつ適当に降りていく。
微妙にルートが分かりにくいところがありつつ、コルへ。この辺りから北沢峠から登ってくる人たちとすれ違うようになる。
駒津峰の登り返しは謎に偽ピークが多い。
駒津峰は局地風が強い。一瞬だけ太陽が見えるがガスは飛ばず。寒いので先に進む。
続々と登山者が登ってくるなかを降りていく。
途中、白峰三山や鳳凰三山のガスが飛びなんと富士山も見えるようになる。
アサヨ峰はこっちから見るとなかなかカッコいい。
しかし、依然甲斐駒と仙丈のガスは取れず。
青空のもと仙水峠を経由して仙水小屋へ降りていく。
この辺りのシラビソ林はいい感じだ。
思ったよりもいいペースで長衛小屋まで降りてくる。久方ぶりに来たらめちゃくちゃきれいな小屋に建て変わっていた。
ここで少し相談して今日のうちに降りきってしまうことに。
少し時間もあったので、こもれび荘で大休止。
おしることおでんを食べてほっこりする。
一時間くらい快適な休憩タイム。
さてここからは4時間強の林道&河原歩き。
最初のうちは雪もあってサクサクだったが、途中から雪が無くなって足に優しくない。
八丁坂を降りて河原に降り立つ。少し降りていくと右手に一昨日歩いた鋸の稜線が見える。
河原で歩くと一瞬だけど、稜線は本当に苦労したな~。
振り返ると甲斐駒のピークがようやく顔を出していた。
あとは無心でダルい河原を歩き続けて、話題も付きかけたころに駐車場に辿り着く。
肩の荷を下ろして車に詰め込み、とりあえず仙流荘で2018年初風呂。気持ちいい!
汗を流したあとは、なんとKさんの奢りで焼肉食べ放題。飢えた体に染み渡る肉と脂。Kさんご馳走さまでした。
そんなこんなで下山後の欲を満たして京都への帰路についた。