縦走@四国剣山地・天狗塚?綱附森?土佐矢筈山
2010年 10月 9日 | 四国, 無雪期縦走 7,8年前の積雪期に三嶺から天狗塚へ縦走し、樹氷が素晴らしかった。剣山地の主稜線は天狗峠付近から南下し、徳島と高知の県境を綱附森、土佐矢筈山を経てさらに西へと続く長くて大きな山脈となっており、登行欲をそそられる。
公共交通機関が不便な地域のため、今回は東祖谷新居屋の集落を起点に牛ノ背、天狗塚、綱附森、土佐矢筈山、京柱峠へと周回する縦走を行い、京柱峠から新居屋までの間は自転車を利用する計画とした。
【行程1日目】 行動時間 8時間35分 天気 曇りのち小雨とガス 13時から時々晴れ
新居屋6:55?8:00阿佐8:20?1,370m巻き道10:40?亀尻峠への尾根1,470m地点10:55?11:35牛ノ背11:40?12:15天狗塚12:45?天狗峠13:00?三嶺分岐13:05?14:00堂床分岐14:15?15:30綱附森
大豊インターで下り、豊永から国道32号を離れ、深夜の真っ暗な細いローカル国道を京柱峠まで登る。
峠付近はガスが掛かり、鹿が飛び出してきたりする心細い道だった。
峠には茶屋があり、側の空き地にテントを張り仮眠。
朝、下山用の自転車を残置し、湧き水を汲んで車で新居屋集落まで下りる。
栃ノ木橋を渡って阿佐まで車道歩き。
雨あがりの後で、山肌にはガスが所々纏わりついている。
阿佐集落で休憩と朝御飯。これから向う尾根を眺めて登り易そうなルートを観察する。
当初は亀尻峠を通って行く予定をしていたが、阿佐東谷と西谷の間の尾根を直上する方が良さそうとのことで意見が一致する。
何度か行き止まりの道に出入りしたが、そのうちに東谷と西谷の間に出た。
地形図の畑記号に囲まれた標高830mの一点の家屋マーク(廃屋)の前を通り、だだっ広い尾根を登る。
尾根上部にはガスが掛かっている。
標高970mで左からの小尾根に合すると銀色のモノレールが見え、ちょうど作業の人達が乗り物で上がっていくところだった。
どこを見ても植林の真っ只中となり面白くない。
傾斜が結構急で、モノレールの柱を手で掴みながら急登に耐える。
みんないろんな体勢で頑張る。
標高1,370mまで上がると地形図通り山腹を横切る山道と交差した。
ここで植林は終わり、ガスの中、自然林を行くようになる。
湿度が高く、汗が冷えて少し寒い。
亀尻峠へ続く主尾根上に着いた。だだっ広い平坦地となっている。
ガスの中、方向を見定めるが、すぐに細い道が続くようになる。
道は明瞭で、やがて広大な四国笹の原を登るようになる。
全く展望がないのが残念だ。
牛ノ背の三角点に来ると風があり寒い。
一面の笹原で晴れれば気持ちのよいところだろう。
少しのアップダウンを繰り返して天狗塚山頂へ。
ここで初めて登山者と出会う。結構登ってきている。
Y本さんは四国の山の情報交換に余念が無い。
しばらく休んでいると、ガスがあがり始めた。
南側のガスが引き、眼下の谷道川を挟んでこれから向う綱附森の連嶺が山頂部だけガスを掛けて見えるようになってきた。
直下の尾根筋の紅葉が綺麗。
山頂を辞し、天狗峠を過ぎて直ぐのピークから、綱附森への稜線へと入る。
しばらく先で急な下降があり、ロープを頼りに下りるが、地面が濡れていてよく滑り歩きにくい。
そこを過ぎるとブナの森になり気持ちのよい林が続く。堂床への分岐で休憩。
天気は晴れ間が多くなり、陽の光を受けやっと稜線漫歩となった。
分岐から少し行ったところで先頭のKB田さんが自然と右の支尾根に釣られ下降し始めて、ルート修正。
緩やかなアップダウンを繰り返し、左手が大きく開けた場所を通過。
三嶺や白髪山が青空を背景に綺麗に見渡せる。
綱附森の手前のピークでは木が無くなり、一面の笹原で展望が良い。
しかし、この下りまでは道がしっかりいているが、鞍部から上りになり上部に向うとだんだん踏み跡が分らなくなってきて、中腹からは完全に道が分らなくなった。
笹も深く濃くなってきて、跳ね返しで大変だ。
H内、KB田さん、Y浅さん、Y本さんみんなバラバラに自分のペースで登る。
この深い笹漕ぎの登りが無くなったら綱附森山頂だ。
山頂直下15分間ほどだけが道が笹で分らなくなっている。
みんな思い思いに山頂に到着した。
展望は360度全方向が見渡せて爽快。
誰も居ない山頂でテントを張ってから夕餉の支度にとり掛かる。
立っていると風があって少し寒いが、座っていると笹の高さの下になってさほどでもない。
夜は満天の星、高知方面の夜景が揺らめいている。
【行程2日目】 行動時間 5時間15分 天気 晴れ
綱附森6:15?8:15矢筈峠8:20?9:10土佐矢筈山9:40?10:25小檜曽山10:40?11:30京柱峠
夜明け前に起き、朝食を食べ終えると空が白んでいる。
快晴だ。稜線の背後のオレンジ色の前に黒い稜線がくっきり見える。
太陽の昇る位置はもしかして石立山の山頂から昇りそうな気配。
さてどうか?期待が高まる。
みんなテントから出て、思い思いのポジションで立ちつくす。
荘厳なひと時に言葉も無く静かに眺める。
石立山山頂の僅か左から日の出を迎えた。
次第に変わり行く空の色と雲に映る色合いがすごく美しい。
山頂で泊まってこそ味わえる楽しみに大いに満足。
山頂からは広く刈り払いされた登山道を緩やかに西に下る。
先のほうまで見渡せて気分爽快。
右手には昨日辿った牛ノ背から天狗塚、三嶺の山並みが続く。
今日これから登る土佐矢筈山が堂々とした大きさで朝日を浴びて前に立っている。
笹が多く、明るい尾根を1時間位下ると森の中の道になる。
1,421mの先で右に直角に折れ、さらに下降していき、登り返した小ピークから左に折れて急な下りのあと、小沢に出る。
ここで水汲みと朝の洗顔などで小休止。
出発してすぐに車道に出た。右に5分ほどで矢筈峠だ。別名アリラン峠という。
登山者用の駐車場が整備されているが一台も止まっていない。
ここには整備された水場がある。
峠からはよく整備された登山道をゆく。
初めは感じの良い森を行くが本格的な上りになってくると明るく開け、潅木と笹の道になる。
背後の展望が雄大に開けてきて、山頂の台地に出る頃には短い笹原に一面覆われている。
まるで広大な草原に躍り出たような感じで実に清々しい。稜線から右に5分ほどで矢筈山頂へ。
台地の東端にあたり、その先は急に落ち込んでいるので前方に遮るものなく剣山系が見渡せる。
360度の展望にみんな満足そう。今日は始終お陽さまがあたり心地いい。
十分展望を楽しんだら出発。
ここからはしばらくの間背の低い四国笹が続き、広大な展望の中、明るく牧歌的な風景に真っ只中をゆったりした歩調で歩く。
道は笹に半分隠れながら適度な幅で細く続き、このくらいが歩くのにちょうどいいし自然にマッチしている。
このあたりの山は関西からは縁が無く、さほど期待していなかったが、みんなこの土佐矢筈山から辿っているルートが気に入ったとみえて楽しそうだ。
登山者とも行き交うようになり、人気のルートのようだ。
こんなに広く、明るく、展望雄大なコースだとは知らなかった。
途中、広く平坦な草原から牛ノ背の山稜が長く横たわって絵になる風景に見とれた。
今日は天気に恵まれ、まさしく縦走日和だ。
展望を楽しみつつ、次の小檜曽山のピークまで辿り着いた。
振り返ると、矢筈山の山腹は森と笹原がモザイク模様を作り出し、少し紅葉の色づきもあり、実にのびやかな光景だ。
小檜曽山からは北に進路を変え、すぐに森の中に続く道となり、快適に下る。道が二つに分かれていて、稜線沿いに下る。
案外早く林道に下り着き、直ぐで京柱峠。
峠の湧き水で喉を潤し、両側に開ける展望を楽しむ。
さて、ここからはH内だけの自転車の旅だ。
峠に着いて休憩もそこそこに自転車に乗って峠を下る。
この下りは実に爽快。なにせずっと下り一方の道なので漕ぐ必要が無く風を切って走るだけ。
スピードもあり楽チン。待たせている3人にはこの爽快な気分は分かんないだろうな。
14kmを30分で下った。車で登り返し、1時間後再び京柱峠へ。
「峠のみなさんお待たせ、剣山系西端部の周回縦走、お疲れ様でした」っとは言わなかったけど・・・・。
帰路はドライブがてら、祖谷渓の断崖絶壁の続く県道を走り、有名な小便小僧を見学して、通りがかりで見つけた松尾川温泉に寄り汗を流した。
硫黄臭のする鄙びたいい温泉だった。