ハイキング&沢@南ア・塩見岳から池ノ沢池へ

2012年 8月 11日 | ハイキング, 南アルプス, 沢登り

地形図を見ていて気になる池がある。

池ノ沢池の存在を知ったのはもう随分以前だ。

地図には破線が通っている。

廃道のようで、道形は残っているだろうか?

今回、やっと出かけて見ることにした。

以前、岳人の雑誌に載っており参考にした。

自宅を前夜23時に出発。

飯田線伊那大島から12:10発のバスで鳥倉林道の登山口へ。

 

【行程1日目】 行動時間 2時間00 天気 曇りのち雨

鳥倉林道登山口14:00?16:00三伏峠テント場

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鳥倉林道登山口から三伏峠へ

14時ちょうど登山開始。

三伏峠小屋に着く20分前から小雨となる。

テントの受付を済ませ、張っている最中に大雨となった。

先ほど少し話していた夫婦はこれから張るので大変そうだ。

夜しばらくの間は雷も鳴っていた。

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【行程2日目】 行動時間 9時間50 天気 晴れのち曇り

三伏峠テント場5:45?6:45本谷山?8:00塩見小屋8:20?9:05塩見岳9:35?10:20雪投沢分岐10:30?13:00大井川東俣13:10?13:15池ノ沢小屋13:25?15:35池ノ沢池

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三伏峠から塩見岳へ

雪投沢源頭

前夜は良く眠れた。

今朝は良い天気だ。

 峠から尾根通しで三伏山へ。

周りの山々が見えるが、荒川方面は山頂部にガスがあり見えない。

風は少しあるが朝から日差しで暑い。

本谷山からは北に仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳が見える。

間ノ岳もガスからまもなく頭を出しそう。

雪投沢から農鳥岳方面を望む

長い緩やかな上り下りで樹林中を歩き、塩見新道の分岐へ

塩見新道は通行止めだ。

まもなくで塩見小屋へ。

仙塩尾根の向こうに白根三山が綺麗に見える。

小屋前の蔭で20分ほど休憩し出発

高山帯になり明るい展望を眺めながら塩見山頂へ

何度か登った山頂だ。

大井川東俣との出合

南には北俣尾根が良く見える。

二重山稜になっているところは西側に巻けそうだ。

いつか下から登ってみたい尾根だ。

まだ行っていない蝙蝠尾根は残念だがガスで見えない。

30分ほど展望を楽しみながら休憩。

 

塩見岳から雪投沢を下降し池ノ沢小屋へ

池ノ沢小屋

北に向け出発

北俣岳分岐を過ぎ、急な坂を下る。

進行右下に雪投沢を見下ろしながら進む。

早めに沢に入ろうと思っていたが結構傾斜がある。

また、ハイマツが煩わしそうで沢もガレで水は無さそう。

そのまま最低鞍部まで下りた。

雪投沢源頭は元テント場であちこち白く地肌がむき出し

になっている。

倒木多い池ノ沢

鞍部から斜面を右にトラバースをしてダケカンバ林に入る。

林の中にも何箇所かいいテント場がある。

道ははっきりしており、辿っていくと沢に出た。

水は無い。

沢靴に替え、枯れ沢を下っていく。

5分くらいで水が出てきた。

単調な沢をどんどん下る。

池ノ沢の苔

正面に広河内岳、農鳥岳が見える。

 途中、右岸に湧水があって、湧き出した水を飲むと旨い!

 真正面にこれから辿る池ノ沢の凹地がよく見える。

池ノ沢は一面の緑の森に包まれている。

広河内岳の南の鞍部からガレが池ノ沢に向って流れ下っている。

その色の違いがよく分る。

池ノ沢池(上流側を望む)

水量が多くなってきて、滝も無く右岸左岸と頻繁に渡り返す。

倒木や枝に邪魔されるところもあるが、たいして苦にはならない。

昔あった道はほとんど判別がつかないようだ。

っというか探す必要が無いので見ていない。

沢の幅が広くなり、河床から離れて右岸か左岸の岸辺を進む。

やがて前方に広い明るみが見えると、大井川東俣本流だ。

池ノ沢池池畔でテント

本流は水量が少ないようで、出合から簡単に渡ることが出来る。

炎天下の乾いた河原を横切り、林の中にある池ノ沢小屋へ

出合から5分程度だ。

小屋の中は暗く、床が傾いているところがあるがまだまだ使えそうだ。

昔の栄えていた頃の風景を想像しながら小屋の中に腰掛ける。

 

池ノ沢小屋から池ノ沢を遡行し池ノ沢池へ

池ノ沢池に直接注ぐ支流

小屋から横に広い右岸を池ノ沢方向へ進む。

河床に出るが倒木や岸辺の潅木が邪魔で歩き難そう。

なのでそのまま右岸の薄い踏み跡をしばらく辿る。

水量は豊富で、穏やかな沢歩きが続く。

雪投沢より池ノ沢のほうが、樹林が濃い。

水辺や流れの際まで苔が多く、流れが安定しているのが原因かな。

その分、雪投沢より暗いがこちらの方が私的には好みだ。

静かな湖面

やがて右岸の踏み跡も分らなくなり、水流の中を行く。

分流しているところもあるが、適当に歩き易そうなほうを選ぶ。

苔の緑が美しいところが多くなってくる。

日差しが当たる加減で幻想的な光景に時々出会う。

芸術作品を鑑賞しているようだ。

傾斜はずっと同じように続く。

倒木が増えてくると、再び右岸側に薄い踏み跡が出て来る。

テントから池を見る

テープもこの辺りから付けられているようだ。

しばらく辿って水流に戻ると、流れが無くなった。

湿気った河床を少し辿り再び右岸の踏み跡を辿る。

水流が消えてから5分か10分程度。

すると、その先の空間が大きく、やけに明るくなっている気配。

そう、池の存在を感じる瞬間だ!

分っているのだが、何だかわくわくする。

池からの出口に夥しく積もった倒木帯の手前に出た。

これを越えると池だろう。

倒木の上に登ると見えた!

水は透き通り想像したよりも綺麗。

大きさもある。

ただ、水量がどうやら通常より少ないようだ。ちょっとだけ残念。

しかし深い森の中に眠る池の雰囲気は何とも落ち着きがありいい。

対岸の本流の注ぎ口は扇状地状にすこし盛り上がっている。

そこは高い木が数本すっと立っていて池を眺める絶好の場所だ。

ここにテントを張る。

乾いた砂地で快適。

テントからは対岸の色違いの葉が湖面に映えた美しい景色が見える。

冷たく美味い水が東側に支流となって注いでいる。

テントをたててまったりした至福の時間を過ごす。

沢では人に出会わなかった。誰もいない静かな池。

お盆なのでいくらか人が入っているかと思ったが・・・・。

夕刻、池の上を数頭の蝙蝠が舞ってる。

意外だ。日本の深い山中で蝙蝠の乱舞を見た経験は初めてだ。

夜、テントの外に半身を出して星空を眺める。

9時就寝。

 

【行程3日目】 行動時間 9時間30 天気 ガスと風雨

池ノ沢池5:50?6:20ダケカンバ林下の広場6:30?8:05広河内岳8:10?8:40大門沢下降点?10:50大門沢小屋11:35?15:20奈良田温泉

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池ノ沢池から広河内岳へ

朝目覚めると、曇天だ。明け方、まだ蝙蝠が舞っている。

池ノ沢源頭の広場

薄ぐれの中朝ごはんを済ませ、テント撤収。

また時間があれば訪れよう。

枯れ沢を辿ると、5分ほどで水流が現れた。

どうやら池の沢は池の前後5分くらいが伏流になっているようだ。

昨日に続き、単調に沢を詰めていく。

だんだん両岸の木々が低くなり、明るくなってくる。

ダケカンバ林が出てくると広場に出た。

ハイマツとの境を登る

テントに良さそうだが、水流は手前で終わり。

行く手にハイマツが出て来て、それを避けるため左岸の高みを辿る。

薄い踏み跡や切り分けが付いている。

風が出て来て、涼しい。

やがて岩の堆積帯の末端に出る。

ゴーロとハイマツの境界を辿る。沢芯の左岸側だ。

稜線が次第にガスに包まれ始めた。

池ノ沢を見下ろす

30?40分も岩の上を歩くが、ルートは明瞭だ。

ガスの中に入り、傾斜が落ち着くと直角に左に折れる。

ここからは斜面を広河内岳目指して延々と登る。

踏み跡は薄いがハイマツや潅木の下を良く見ると分る。

風が強まり、横殴りの雨が混じりだした。

10年振りの広河内岳山頂からの展望を期待していたが残念!

池から2時間余りで濃いガスの中の広河内岳に着いた。

ガスの広河内岳山頂

風雨はますます強まる。

寒くてとても休む気になれない。

 

広河内岳から大門沢下降点へ

ここからはガス濃い白根南嶺の縦走路を行く。

常に西側から風に煽られ、雨で体が冷える。

高山帯の吹き曝しを坦々と歩く。

稜線を右に折れ、一段下を北に進んで大門沢の降り口

に着いた。

計画では北岳まで白根三山を縦走する予定だ。

しかし今日、明日とも天気が悪い予報。

縦走は止め、あっさり奈良田へ下山しよう。

実は広河内岳への登りで決心していた。

 ここも風が強く、休めない。

 

大門沢下降点から奈良田へ下山

何度か辿ったコースなので様子は知っている。

大門沢小屋までに3人ほど出会ったが皆下りだ。

風が当たらなくなると今度は暑い。

カッパで蒸れて、不快指数は相当だ。

暑いので歩調が捗らない。

途中何度も10分ほどの休憩を入れる。

コースタイムより多く掛かって大門沢小屋へ。

以前、農鳥岳からこの小屋に降りた時は豪雨になり、

この小屋で泊まった懐かしい思い出がある。

疲れて木陰で大休止とする。

幸い雨が小雨になった。

40分余り休んで英気を養う。

よく知った道を快調に下る。

この天気の中、何度か登ってくる人とそれ違う。

八丁坂を下り、本流沿いの道を辿って吊橋を渡る。

前回と違い、大きな堰堤の工事があり、ルートが

付け替わっている。

林道に出て発電所前の県道に出るとちょうどバスが出たところ。

雨が再び強くなって来る。

嫌な雨の舗装道路を40分弱で奈良田のバス停に着いた。

バスまで1時間ほどの待ち時間。

奈良田温泉に浸かって汗を流した。

 

下山後のこと

池ノ沢池は変った地形だが、池自体は特別な感じはない。

ただ、その位置は南アルプスの真只中で、南アルプスにあっては池の

存在自体が貴重なので、またいつか違うルートで行ってみたい。

深い樹林の沢の中にぽっかり空けており、神秘的だ。

 

天気が悪く、1日早く降りた。

広島行きの夜行バスを予約していたので、余った1日で東京へ

新宿御苑の散策と葛飾柴又帝釈天見学。

そして荒川の堤防で昼寝を楽しんだ。

新宿御苑は思ったより自然があり、また時間があれば行こう。