冬期アルパイン@阿弥陀北稜&赤岳主稜(八ヶ岳)

2016年 12月 14日 | 八ヶ岳, 積雪期岩登り

山行名:冬期アルパイン@阿弥陀北稜&赤岳主稜(八ヶ岳)
日時:2016年12月10日(土)~11日(日)
メンバー T柳 K川

10日 07:39赤岳山荘~09:53行者小屋10:49~11:20中岳のコル登山道水場~11:38阿弥陀岳北稜~13:51阿弥陀岳14:23
~14:55中岳~15:13文三郎尾根分岐~15:58行者小屋C1
11日 06:33C1~07:40赤岳主稜取付08:00~10:30上部岩稜ビレイ地点10:40~12:30赤岳頂上山荘12:41~12:44赤岳~
13:03文三郎尾根分岐~13:38行者小屋14:10~15:51赤岳山荘

さて、今週は冬期アルパイン始動!ということで、八ヶ岳へ。
昨年、阿弥陀北稜&赤岳主稜に参加し、天気の都合で阿弥陀北稜しか行けなかったリベンジも兼ねて。
赤岳主稜は初見なのでなかなかドキドキだ。

10日 久方ぶりの八ヶ岳
久方ぶりの強烈な寒気が入る中、中央道を折り返し八ヶ岳へ。
寒気の影響か八ヶ岳はどっぷりガスの中だ。
赤岳山荘までは積雪がなかったので我らがFRワゴンRで気合で突っ込む。
凍結はあるも何ら問題なく入れた。

駐車場はアイスだかアルパインだかに行く人々で賑わっている。

 

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久々の八ヶ岳

登はん具と泊まりの荷物でずしりとくるザックを背負っていざ出発。
最初のうちは雪もなくところどころ凍結している程度。
南沢大滝に向かうであろう人たちが登山道から離れていったくらいからしっかり雪が付き始める。
巨木は少ないものの、白く化粧を施した木々を楽しみながら森を歩いていく。

えっちらおっちら歩いていき、行者小屋へ到着。テントはぼちぼち。
適当にテントを設営、登攀具を装着し早速阿弥陀北稜へ向かう。

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白く化粧した森を行く

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行者小屋

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テントを張って阿弥陀へ 稜線はまだガス

文三郎との分岐を見送り、少し進んだところから適当に右岸の尾根に取りついていく。
少し登るとトレースが付いていたので辿ってみるが、結局は夏道のトレースで少し遠回りとなってしまった。

この頃から天気は回復しだし、赤岳がその堂々とした姿を表し、大同心なども見えてきて俄然テンションが上がる。

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青と白の世界

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赤岳が姿を現す

北稜の第1岩稜もなかなか急でアイゼンの先をぶちこみながら登る感じだがザイルを出す程ではない。灌木などをたよりに登る。
そんなところを100mくらい登ると見覚えのある第2岩稜が姿を現し、左手に周り込むとペツルのボルトが確認できる。早速ザイルを出して登攀開始。

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阿弥陀北稜を登る

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第2岩稜へ

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横岳方面をバックに

1ピッチ目 30m
ルンゼ状を5mくらい登って緩い岩稜を進み後半は雪稜。
2ピッチ目の岩場の取付きにボルトがあり、そこが終了点

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1ピッチの出だし

2ピッチ目 30m
1ピッチ目出だしと同じくらいの岩場を登って後半は細い雪稜を歩いて急斜に入る。
終了点は灌木。2月に来たときは灌木が埋まっていてスタンディングアックスをしていた。

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2ピッチ目の後半部

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2ピッチ目の雪稜を振り返る

3ピッチ目 60m
雪稜歩き。コンテでいく。程なくピーク直下で夏道と合流しピークへ。

あっさりと終わってしまったが、ピークではすっかり晴れ渡り最高の景色。
どっしりとした赤岳から横岳、硫黄、奥は蓼科まで稜線が続く。
振り向けば、権現、その向こうに南アや先週登った千畳敷がよく見え、奥秩父や富士山なども見える。
後続パーティや広河原沢から登攀してきた人もいた。

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3ピッチ目はコンテで

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阿弥陀山頂!

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赤岳がどしりと構える

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八ヶ岳の稜線

さてひとしきり景色を堪能した後は文三郎経由で明日登る赤岳主稜の取付きを偵察して帰ることとする。

阿弥陀の下りはところどころ岩混じりで、ちょっと緊張する。
中岳は意外としっかり登らされ少しだるいが、振り返ると阿弥陀がかっこよく聳えている。赤岳も本当にでかい。
文三郎分岐まで息を切らしながら登り返し、尾根に入る。

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阿弥陀を振り返る

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中岳からの赤岳

文三郎尾根から望む赤岳西面は大迫力だ。
取付き地点にはしっかりとトレースがあり、雪崩の危険もなさそうで一安心。
しかし、いきなりの核心の1ピッチのチムニーや2ピッチ目の出だしも立っていて難しそう。主稜を無事登れるか不安になってきた。

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明日登る赤岳主稜

そんなこんなで、行者小屋へ戻ると来たときとは打って変わってテントで大賑わいだ。
夕陽に染まる赤岳を眺めながらテントに潜り込む。
水場は凍っていなかったので、水作りもなく快適。今日もなかなか動いたのでビールが美味しい。
アヒージョを作って、メインはクリームシチュー。美味なり。ちびちびお酒も飲んで、寒くなってきたあたりでシュラフに潜り込む。
さて明日はどうなることやら。

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行者小屋はテント村に

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夕陽に輝く赤岳

11日 激寒の赤岳主稜
夜は月明かりが眩しいくらいで、明け方も星がよく見えていたが、ラーメンを啜って出発する頃には稜線にガスがかかり始める。
今日も強い寒気が入るそうなので、その影響だろう。

昨日降りてきた文三郎尾根を登り返し、主稜の取付きまで。
すでに先行パーティーが取り付いている。後半岩稜にも人の姿があるが、いつから登っていたのだろうか。
トレースを辿って1ピッチ目のチムニーに下まで。

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翌朝 文三郎尾根を登る

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朝陽を浴びる中岳と阿弥陀

1ピッチ 30m Ⅳ‐
2つのチョックストーンが詰まった6mほどのチムニーを登る主稜の核心部。
ステミングでスタンスを上げていき、チョックストーンの上の雪面にバイルを打ち込んでマントリングっぽくチョックストーンを超える。
落ちるという感じはないが出鼻からこれは結構怖い。
ザクザクと雪の詰まったチムニーを登り、角岩でランニングを取って、右手の方に進み岩場を周り込むとペツルのボルトがあり終了点。
先行パーティーでボルトが埋まっていたので、ハーケンを打ってセカンド確保。

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1ピッチ目の取り付けへのトラバース     奥のルンゼが1ピッチ目

2ピッチ目 40m Ⅲ
出だしの5mくらいは立ち気味の岩壁だが、左手のカンテから登る。ボルトやハーケンがあるど真ん中を行くと難しいだろう。
10mくらい少し緩くなった岩場を抜けると緩い雪稜に出て一気にザイルを伸ばせる。
カムがいい感じで使える。

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2ピッチ目後半部

3ピッチ~5ピッチ目 コンテ 120mくらい?
2ピッチ目の後半程度の緩い雪稜を進むと6~7mの小さい岩峰がある。
真ん中のルンゼ状を登ると左手に大きな上部岩稜が姿を現す。
そのまま左手に岩稜を見ながら急斜30mほど登ると再びペツルのボルトがあり、上部岩稜の核心部が始まる。

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コンテでいった4ピッチ目

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5ピッチ目 ここもコンテ

6ピッチ目 Ⅲ 20m
ペツルのボルトから5mほどのおにぎり型の岩を越えていくが、微妙のホールドスタンスが乏しく難しめ。
そこから15mほど登ると上部岩稜の核心となる立ち気味の浅いルンゼがある。
tentyoが難しさを感じ、ルンゼの手前でピッチを切る。
このあたりから天気が悪くなり風に晒されながら寒さに震えながらのビレイ。少し詰まってしまって後続パーティも待たせてしまった・・・。

7ピッチ目 Ⅲ+ 40m
立ち気味の浅いルンゼを登る。立っているものの、ハーケンもそこそこあり、ガバホールドもあるので、1ピッチ目ほど難しくはない。
ルンゼを登ると細い岩稜となり5mほど進むと5ピッチ目程度の急斜となり、そこそこザイルを伸ばして角岩を支点にセカンド確保。

6ピッチ目を大きく右手から回り込んで、更に奥のルンゼ状を登ったり、細い岩稜に沿って登ったりといろいろルートがあるようで、寒さに耐えていた後続パーティーが続々と登ってきた。

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7ピッチ目のルンゼをこえたところ

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後続パーティが続々と

8~9ピッチ目 コンテ 100mくらい?
7ピッチ目終了点からさらに20mほど登ると4ピッチ目と同じくらいの小さい岩峰があり、ルンゼ状を登る。難易度も4ピッチ目と同じくらい。
その後は、多少緩くなった斜面を登っていき赤岳展望荘の手前くらいにでて終了。

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8ピッチ目 ここもコンテ

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ピークまであと少し

いろいろ反省点もあるが無事、登ることができて一安心。寒さに震えてなかなか厳しい登攀となった。
ザイルを解いてお互いをねぎらう。お湯や行動食を頬張り、赤岳山頂へ。なかなか達成感のあるピークだ。
展望もないので写真をとってそそくさと下る。

下りはあっという間に文三郎分岐を経て下っていく。波はあるものの赤岳はガスの中。一瞬ガスが切れて上部岩稜を登っている人たちも見えた。
登ったルートを改めて見返すと充実感もひとしおだ。

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厳しい登攀でした

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あとは下るのみ

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ガスに包まれた主稜を振り返る

ザクザク下って行者小屋へ。テントは大分少なくなっていた。
テントを撤収していたら一瞬青空とともに赤岳が見えた。これが今日最後の微笑み。
また来よう。

あとは来た道を戻るだけ。再びずしりと重くなったザックを背負って歩いて行く。
やはり今日の冷え込みは厳しいのか、行きよりも沢が結氷していた。
ダラダラと下っていき、赤岳山荘へ着くと駐車場の車も大分減っていた。
久々に充実感と疲れた~という感じの山行となった。

ガスに覆われながらも暮れなずむ八ヶ岳を眺めつつ樅の木荘で汗を流し、レストランペチカでハンバーグに舌鼓打って、中央道を経て帰京。
今年の冬はアルパインを頑張ろう!

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行者小屋で一瞬赤岳が微笑む

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下山 お疲れ様でした