冬期アルパイン@横岳西面石尊稜(八ヶ岳)
2017年 2月 20日 | トップ画像, 八ヶ岳, 積雪期岩登り山行名:冬期アルパイン@横岳西面石尊稜(八ヶ岳)
日時:2017年2月18日(土)~19日(日)
メンバー T柳 K川
2月18日(土):10:46美濃戸口~11:57美濃戸山荘12:02~12:57堰堤広場~14:04赤岳鉱泉14:41~(偵察)~15:05赤岳鉱泉C1
2月19日(日):06:12赤岳鉱泉~08:00石尊稜取付09:00~11:00上部岩稜11:10~11:50石尊峰~13:39地蔵の頭~14:09行者小屋14:26~14:49赤岳鉱泉15:21~15:52堰堤広場~16:21美濃戸山荘~17:13美濃戸口17:16
18日 のんびり赤岳鉱泉へ
今週はと西穂西尾根に行く予定だったが、北アルプス方面の天気が良くないので中止となり、1月に敗退した石尊稜のリベンジに向かう。
初日は赤岳鉱泉までということで、のんびり目の出発。
美濃戸口を目指すが、前日の高温で融けて再凍結した登り坂をFFでは登ることができず、ふもとのホームセンターでチェーンを購入し、美濃戸口まで。
林道も序盤は結構凍結していて、最初からアイゼンをつけている人たちも多数見受けられた。
いつもどおり1時間ほどで美濃戸山荘。いつもどおり水を飲んで北沢方面へ歩を進める。
堰堤広場までのショートカット道でカモシカと遭遇したりしながら登山道を進んでいく。
赤岳鉱泉に近づくと青空が広がり気持ちいい。今日もアイスキャンディーは多くの人で賑わっている。
適当にテントを設営し、ちょろっと石尊稜の取りつき点を偵察に。
橋のところまで来ると沢沿いにばっちりトレースがついているのを確認できたので適当に引返し、赤岳鉱泉でモツ煮をつまみながらダラダラして、テントに戻って晩御飯。
鍋でお腹を満たして、明日に備えて早めに寝る。
19日 石尊稜リベンジ
明け方、目を覚ましたくらいは朧月に星も見えていたが、いつもどおり棒ラーメンを食べて、テントから出るころにはガスガス。
まぁ、今日は高気圧が張り出してくることが分かっているのでさほど絶望的な気分もない。
トレースを辿り二股を確認しながら取りつきを目指す。ラッセルは皆無で前回が嘘みたい。
すでに入っているパーティーもいるようだ。我々は何番手だろうか。
1時間ほどで尾根の左側に回り込み、デポ旗を見送って白く抜けた斜面から取りつく。
白く抜けたところは雪が少ないと岩がグズグズで難しいらしいが、今回は雪たっぷりでそんなことは一切ない。
ここが難しい場合は、デポ旗のところが木のあるところ使って取りつくのだろうか。
尾根に乗ると、前に3パーティーほど下部岩壁に取りついているのが見える。
取りつきの手前で前の進み具合を見ながら登攀の準備をして、岩壁沿いにトラバースして1ピッチ目取りつきへ。
1ピッチ (Ⅳ‐) 40m強
2つある残置支点の手前側を使って左手のほうから登ってみるが、1つ目の支点の先がホールドスタンスが共になく、登るのは難しそう。
1回降りてから右手のほうから取りつく。
スタンスホールドは全体的に細かめだが、中間支点は豊富。ちょいちょいA0を交えながら岩壁部分を超える。
後半は雪交じりの草付。雪も多くアックスがよく効くので快適に登れる。
灌木が終了点。
終了するころにはガスも飛び青空とともに阿弥陀や赤岳が姿を現す。
最高の登攀になりそうだ。
2ピッチ 雪稜(コンテ) 30m
1ピッチ終了点から右上する灌木交じりのリッジを登っていく。
念のためスタカットで行ったが、簡単なので途中からコンテ。
先行パーティは、尾根が左に曲がった先の小岩峰手前までザイルを伸ばしていたようだ。
3ピッチ 小岩峰の巻き→雪壁(コンテ) 60mくらい?
小岩峰を左手から巻く。ルンゼ地形を越えたあとは急な雪壁を登る。
コンテで行ったがちょい緊張。メンバーの力量によってはスタカットに切り替えたほうがいいかもしれない。
さらに大きい岩峰のところで一区切り。ここでザックをおいて大休止。
遠くには南アルプスや中央アルプス、御嶽が見える。北アや乗鞍はまだガスがかかっている。下界までよく見渡せ気持ちがいい。
右手の中山尾根もかっこよく見え、取りついているパーティもよく見える。
4ピッチ 岩峰の巻き→雪稜(コンテ) 100mくらい
休憩を挟んで岩峰を左から巻いて、続く雪稜を歩いていく。
難しさはないが、横岳西壁の上部岩壁を望むことができ最高のロケーションだ。
先行パーティが上部岩壁の1ピッチを登っているのがよく見える。
5ピッチ 上部岩壁前半(Ⅲ) 35m
後半部の核心。岩壁左手の浅いルンゼ地形から上部のピナクルを跨いで左手に回り込み、さらに進んだところに角岩を終了点とする。
下部岩壁に比べればホールドスタンス豊富で登りやすいが、中間支点は乏しく角岩にスリングを掛けながらの登攀となった。
6ピッチ 上部岩壁後半(Ⅱ) 30m
目の前に続く斜度の強い岩稜は避けて、左手から回り込んでルンゼ地形を進む。
ルンゼ地形を超えると緩い雪壁に出るのでそこでピッチを区切る。
あまり難しくないので、セカンドは肩がらみ確保で。
7ピッチ 雪壁(コンテ) 50m
上部岩壁を越えて、あとは雪壁を登り稜線を目指すのみ。コンテで進んで岩峰を回り込むように石尊峰へでて登攀終了。
稜線へ出ると、富士山が迎えてくれる。相変わらず青空が広がり最高だ。
白くなっている野辺山高原を挟んで奥秩父の山々を望むこともできる。
北アルプスもようやくガスが取れて姿を現し、浅間山方面も見える。
南アの向こうには中央アルプスが見えた。きちんと姿が見えたのは正月の縦走以来で、改めてみるとよく歩いたなぁと感慨深くなる。
景色を堪能して地蔵分岐を目指して進む。こちら側から赤岳を望むのは久々だが、鋭く空を刺す姿はなかなかかっこいい。
名前の通りお地蔵様のいる地蔵分岐から尾根に入る。最初は少し急。樹林帯に入ってからは尻滑りも交えて標高を下していく。
ほどなく行者小屋の裏に出て一休みして赤岳鉱泉へ帰る。中山尾根を越えて、取りつき点からは朝は見えなかった横岳西壁がよく見える。今回は行けてよかった。
テントを撤収して下山開始。今回は天気もよく、晴れ晴れとした気分での下山だ。
途中林道を超ショートスキーで颯爽と降りていく人がいた。気持ちよさそう・・・
すっかり雪の少なくなった林道を歩いて美濃戸口に着くころには日が傾き、山々が美しく暮れなずむ時間となっていた。