五竜岳東面G?中央稜

2009年 4月 17日 | 北アルプス, 積雪期岩登り

GW山行向けの練習第二弾。当初5人の予定だったが事情により最終ふたりになってしまった。ちょっぴり寂しいけど仕方がない。鹿島槍東尾根か天狗尾根か五竜G?か明神岳東稜を検討した結果、1泊2日・体力等からG?へ行くことにした。
G?へは04年11月に唐松から五竜縦走の後に予定していたがいけなかった、S木君も08年11月に予定していたが悪天で行けなかった様だ。お互いリベンジ山行となった。先輩方のいない自分達だけでアルプスのバリエーションに挑むのは初めてだったので、緊張と不安でいっぱいだった。

4月17日
出発22:30→豊科IC→道の駅 仮眠3:30
ふたりでの運転はきつく豊科をおりてすぐの道の駅に入り仮眠した。
4月18日
起床6:00→テレキャビン→出発9:00→中遠見11:35→テント場13:10→就寝18:30
テレキャビンは8時からうごいてるのでそれに間に合うように起きてパッキングして出発。
駐車場は既にスキー客で賑わっていた。スキー場につくとたくさんの人が朝早くから気持ちよさそうに滑っていた。邪魔にならないように端のほうをえらんで歩いた。S木君に、リフトに乗ろうといったが、大した差はないですよ!!と言われ仕方なくあるくことになった。遠見尾根に入りアップダウンを繰り返しながらすすむ。雪が腐っていて何度も沈んだ。途中、翌日G0稜へいかれるパーティに出会い、西遠見山の手前のテント場に4時間程で到着した。暑くて暑くて辛いアプローチだった。整地の跡が残っていたので使わせていただきテントを張り、翌日のアプローチの下見に出かけた。シラタケ沢へどのあたりからくだれば良いか、G?の核心の下部の雪壁をどの様に攻めたら良いかを確認した。S木君がもってきていた記録は、G?のBリッジとCリッジの中間ルンゼを登っていたり、G0からG?右稜から登っていたりと、今回我々が登ろうとしてる記録がなかった。チャレンジアルパインのトポを参考にして、ルートを確認し偵察を終了した。下部雪壁はテント場からみるかぎりでは傾斜がかなりきつく、「あんなところ登れるのだろうか・・・ランナーをとる立木やブッシュはあるのだろうか・・・」とさらに不安になった。
テント場に戻ってS木君と水を作ったりしながら、のんびりと時間を過ごした。暖かくて心地良かった。お天気はとても良くて、ロケーションも抜群で最高だった。18時にシュラフに入って、トポを再度みなおしてから寝た。

遠見尾根をいく

遠見尾根をいく

下見にいく

下見にいく

4月19日
起床3:00→出発4:40→シラタケ沢横断→A沢→右稜基部6:00→中央稜上10:10→稜線11:15→小屋12:20→テント場13:30→テレキャビン16:00→松本20:00→京都2:00
風がきつくテントがバタバタと揺れる音で何でも目が覚めた。予定どおり起きて準備をする。風が弱まる気配がない。こんな風の中で登攀するのは嫌だなぁと少し弱気になる。テントから空をみると月や星が綺麗に見えた。もちろんG?も。ラジオで天気を確認すると昨日に引き続き最高で気温があがるとのこと。これは大丈夫だろと少し安心し出発することにした。
ヘッドランはいらないぐらい薄明るく、偵察どおりシラタケ沢へむかって下り始めた。A沢出合いより少し上でシラダケ沢を横断することにした。最初は傾斜がきついのでクライムダウンですすんだ。100メートルぐらいだろうか下ってシラタケ沢に出合い、横断してA沢に取付いた。雪崩跡のデブリがすさまじかった。トポには「A沢に入り、G?中央稜へは最初に左に上がるルンゼを詰める・・・」と書いてあった。最初のルンゼってどれ?て感じで顕著なルンゼがわからなかった。そのままA沢を詰めて右稜の基部をトラバースして雪壁に入ることにした。右稜の基部あたりまでゆっくり休憩をとるところがなかった。(右稜からのびるリッジ。出発してから1時間20分)そこから雪壁に入るがクレバスがみえたり、気温も上がってきて少し気持ち悪い。ザイルをだしてすすむことにした。(ダブルもっていっていたがシングルで登る)

A沢をつめる

A沢をつめる

1ピッチ目 I野リード 50m
S木君にスタンディングアックスでビレーをしてもらい登りだした。沈む足場をかためながら進む。雪壁に大きくできたクレバスをさけなければいけない。右稜の左側沿いに進み、立ち木でピッチをきった。

1ピッチ目

1ピッチ目

2ピッチ目 S木リード 50m
続いてS木君が登りスタンディングアックスビレーで私がフォローで登った。このピッチも足場が悪くかためながらすすんだ。

2ピッチ目

2ピッチ目

3ピッチ目 I野 50m
ここから少しコンテで進むことにした。またまたクレバスを避けて、しばらく進み傾斜がきつくなったあたりでザイルをのばすことにした。この辺りからブッシュ、立木でランナーがとれだした。

コンテですすむ

コンテですすむ

4ピッチ目 S木 50m
立木沿いに進む。足場は悪い。

4ピッチ目

4ピッチ目

5ピッチ目 I野 50m
右上ぎみに進む。雪壁を横断して灌木でピッチを切った。

5ピッチ目

5ピッチ目

6ピッチ目 S木 50m
ハイマツを越えてすすむ。

6ピッチ目

6ピッチ目

S木君が先頭でコンテで80mぐらい進んで中央稜のリッジにでた。雪はなくハイマツとガレ場だった。やっとゆっくり休憩をとることができた。(10時15分、ザイルをだしてから4時間)

コンテですすむ

コンテですすむ


中央稜のリッジ上

中央稜のリッジ上


ガレ場となる

ガレ場となる


最後の雪壁

最後の雪壁


先を眺めると稜線まではもうしばらくありそうだ。今度は私が先頭で、コンテでハイマツ沿いに進み、歩きにくいガレ場を進んで最後の雪壁100m弱(G?直下)を登りきって稜線に飛び出た。(11時20分)風が少しきつかった。五竜のピークを目指そうかと思ったが、テレキャビンに間に合わなくなるということで下りることにした。トレースが下のほうに見え、クライムダウンでくだり、トレース沿いにひたすら進んで五竜山荘に着いた。(12時20分)山荘からは白岳に登ってトレース沿いにテント場に戻ってきた。雪がかなり腐っていてあるきにくいこと。すぐに撤収して下山開始。(14時)テレキャビンの最終が16時20分、間に合うだろうか・・・。もくもくと歩き、中遠見で休憩を1本とって(15時)、なんとか16時にテレキャビンに着いた。ふ?やれやれ。2時間弱で下山。なんとかなるもんだ。時間におわれて登攀成功の余韻に浸る間もなくおりてきた。
五竜山荘へ

五竜山荘へ


テント場

テント場


登攀ルート

登攀ルート


お天気は最高で登攀日和だった。ただ、いつ雪崩がおきてもおかしくない状況で、雪壁を歩いてるときは緊張した。今回S木君とふたり、人数が減って少し寂しかったけど、時間的にぎりぎりだったのでふたりでよかったのかもしれない。自分達だけでアルプスの登攀できたことはとても嬉しい。充実した登攀だった。次回はG?にいってみたいなぁ。
さすがに春山。暑くて水分をこまめにとったが、日焼け止めをこまめに塗らなかったのでえらいことになってしまった。またやってしまった。下山後の温泉は、最近できた白馬龍神温泉「おぶや」800円/人に入ってかえってきた。晩御飯は、松本在住のT田君の家におしかけ、手作り料理をご馳走になった。(我々がT田君の食材をうばってしまった。笑ごめんね。)