沢登り@南紀 黒蔵谷 (高山谷で下降)

2018年 7月 19日 | 沢登り, 紀伊半島

沢登り@南紀 黒蔵谷 (高山谷で下降)
日 時:2018年7月14日(土)~16日(月)
メンバー:K田、I村、O崎、I塚(記)
ルート:
7/14 7:00安川大塔林道の入渓地点-9:30出谷出合-12:40高山谷出合-15:05カンタロウ滝-18:13泊地
7/15 7:00泊地7:10-11:10野竹法師山-16:13泊地
7/16 6:30泊地-12:16入渓地点

 

夏合宿沢班メンバーで臨んだ黒蔵谷。
初めての3級の沢・沢2泊・沢での下降、そして久しぶりの食担ということで不安だったけれど、無事完遂でき充実な山行となった。

京都東ICから新名神・伊勢方面回りで道の駅・瀞峡街道 熊野川で前泊。

翌朝、隣で沢装備の人たちが準備しているな~と思い尋ねてみると、先日 大日沢でお会いした名古屋の某山岳会の方々だった。
それも同じ黒蔵谷&高山谷へ行くとのこと。なんたる巡りあわせ。

入渓地点へ至る安川大塔林道は事前に確認したとおり通行可能。
“突合”の看板を目印に駐車し、明瞭な道を下っていざ入渓。

河原を歩いていくと程なくして鮎返しの滝が現れる。
轟々と水を落とし、巨大な釜を湛える。

鮎返しの滝

先行した名古屋のパーティが取り付くところだった。
滝の左手へ泳ぎつき、一段上がったところからロープを出して一登り。
ツルツルな岩に見えたが、ホールドもあり見た目ほどは難しくなかった。

滝からは穏やかなエリアがあるものの、深い淵が現れて下ノ廊下へ入っていく。
へつって突破できるところもあるが、徐々に手がなくなっていき、遂に泳ぎを強いられるようになる。
しかし驚くほど流れがなく、泳げば普通に進んでいける。
ライフジャケットの効果を感じつつも、体力温存のため流心へは行かず、極力壁伝いに先を目指す。

まさにウォーターワールド

深い淵を行くゴルジュ帯を突き進み、明るく谷が広がって下ノ廊下が終わると出谷出合に到着。
ホッとするのもつかの間、出合からすぐに中ノ廊下が始まる。
廊下の入口は光が入りわくわくする感じ。
しかし下ノ廊下と比べ、中ノ廊下は全般に滝が大きく手強い。

中ノ廊下へ

CS2条2m滝は釜を泳いで右岸から取りつくものの苦戦。
お助け紐を出そうとしたところ、左岸から思いの外簡単に登れてしまった。

CS2条2m滝

ゴルジュの上を歩いていくと行き当たる5m滝は右岸から巻いた。
中ノ廊下終盤には5m斜瀑(2段6mとの記録もあり)、通称アンダーガバの滝が現れる。
ここは閣下がアブミとハーケンを駆使してトライするものの、難航し一旦岸へ戻る。
次に名古屋のパーティが挑戦。
カムを投入して1段目を登り、ザックと後続を引く。
回収することを約束してハーケンを残置してもらい、ありがたく使わせていただき我々も滝を登った。
この滝をこなすと間もなく高山谷出合。

アンダーガバの滝

高山谷出合でTG-5の充電端子側のカバーが開いていることに気づいた。
そんなことあるんか!?と思いつつもこれが現実。
すぐにカメラが起動しなくなってしまった。。
記録係の役目が80%果たせなくなり気落ちしたところで、出合から最初の6m滝で落下→釜へ着水。
無傷とはいえ、悪い時には悪いことが重なるものなのか。
気を引き締めて先へ進む。

この6m滝を最後にI塚のカメラは水没…

ここからはあまり記憶に残らないような(写真もないし…泣)滝を登り、巨岩帯の中をルートを探しながら登っていく。
カンタロウ滝の前衛は右岸から巻く。
カンタロウ滝下へ降りるときに、最後だけ懸垂下降で降りた。
まっすぐ落ちるカンタロウ滝を間近で眺め、右岸と左岸を見比べて我々は右岸のルンゼを登ることを選択。

カンタロウ滝

ルンゼを詰めて、バンドの手前でトラバースに切り替え。
そのまま尾根に乗り、先端から第3支流の合流点と左岸から巻いた名古屋のパーティーが見下ろせた。
さらにトラバースしながら高度を落とし、無事沢へ降り立った。
追いついてきた名古屋のパーティーと互いの辿ったルートの情報交換をしつつ、ハーケンを返却して先を譲った。

手元の”沢登りルート100″には第3支流の先に泊適地がある旨書いてあるものの、薄暗くて沢へ下りるのも難しいようなところだったので、ここはパスして先へ進んだ。
すでに16時を回っており、疲労が溜まり焦る気持ちも出てくる。

そんな中登場した上ノ廊下の樋状10m斜瀑。
大岩壁がありラピュタの城のように樹木が垂直な壁から根を張り巡らせている。
名古屋のパーティーは果敢に取り付き突破してったが、我々は早々に諦めて右岸から大きく高巻く。
下から見えた大岩壁の上をトラバースしていき、第4支流の合流点へ降り立った。
この巻きは時間帯のこともありかなりしんどかった。
身も心もボロボロになりかけながら上ノ廊下を抜け、谷が少し広がったところに焚火の跡のある平場を発見、泊地とした。

薪を探すものの皆濡れており、なかなか思うように火がつかない。
ひたすら団扇であおぎ続け、どうにかごはんは炊けた。
おいしい閣下のカレーをいただき、なんとか予定通り難所を越え切ったことを讃えつつ焚火を囲んで夜は更けていった。。

山行2日目。
豆乳ラーメンをいただき出発。
この日は高山谷の一番北東へ突き出た所が目標。

歩き始めてからすぐに左手に石垣を発見。
石垣の上は平たく、4人で泊まるにはちょうどいい広さ。
枝沢もすぐ横から合流しており、良い泊地になりそう。
昨日もう少し前進すればこんなにいいところがあったとは。。ちょっと悔やまれる。

炭焼きのためであろう石垣

最後の廊下帯へ入るが、特に難しいところはない。
最後に2mの滝を右手から登って廊下を終えた。
その先は炭焼きの窯が点在し、泊適地も多数。
一日目でここまで来ることは難しいとは思うけど、ここで泊まれたらよかったなー

その後伏流して流れが唐突に無くなり、急いで水を汲んだりして備えたものの、すぐに流れは復活した。
520mの奥ノ二股を右へ進み、その先の二股も右へ。
名古屋のパーティは最短距離で稜線へ上がるべく、ここを左へ進んでいった。

石で埋まったナメを詰めていき、2段25m滝へ行き当たる。
1段目を右岸から巻いてから、2段目下へは入らずにそのままルンゼを詰めて尾根へ乗った。
下部は急登で木々を掴みながら登る。
暑さにやられてひーひー言いながら登っていき、ピンクテープを発見したらすぐに稜線へ出た。

稜線の登山道は思っていたより道が悪いものの、30分かからず野竹法師山へ到着。
記念撮影してからしばし休憩。
疲労しているもののまだ先は長い、ということで10分ほど昼寝休憩。
虫が多くて慌ててネットをかぶる。

野竹法師の山頂にて

地図を眺め下降点を確認して出発。
コルの最低点まで来たところで右手へ下降開始。
杉の植林地で出だしは歩きやすい。
だんだんと荒れてきて、浮き石だらけで緊張しながら高山谷へ降り立った。
いい所を選んだようで、最後まで急斜面には当たらなかった。
下降途中には道らしき踏み跡が横切っていた。地形図にある道だろうか。

高山谷の上部はナメ多め。
ちょっと滑るものの、明るい谷を気持ちよく下っていく。
難所はあらかた終わり、気持ちも晴れやかだ。
地形図にある滝マークは10m滝が2段。
上部は左岸を少しトラバースした後、懸垂下降した。
この間に下にいた名古屋のパーティの方へ石を落としてしまった。。危なかった。。。
下部は30mロープ2本繋げても足りないかも!?と判断し、右岸をトラバースしたら思いの外簡単に降りることができた。

高山谷も遡行したら楽しそうな沢

その後は高山谷へ入って初めての泳ぎをこなして478mピーク下の出会に到着。
その後はドストレートなナメを歩き、幕営準備中の名古屋のパーティに落石を詫びて、予定していた泊地に到着。
右岸側に3階建の平場がある優良物件。
昔から泊地になっているようで、古い瓶などが転がっていた。
明るい開けた地形なので乾いた薪も豊富に手に入り、景気良く焚き火をして、道中入手した食材を交えつつ夜は更けていった。。

山行3日目。
ひたすら泳ぎ下り帰還する。

入手した食材の効果を感じつつ起床。
おいしくできた炊き込みご飯に舌鼓をうち、気持ち晴れやかに出発。
飛び込みも交えるはずなので、防水処理は念入りに。

出発早々、泳ぎの淵が出現。
そして北東から尾根が入ってくる屈曲点には、今回飛び込んだ中では一番の滝。
8mくらいだろうか。滞空時間が長く感じられた。

飛び込む!!

325mのポイントにはプレハブの作業小屋や林業用の車両が。
下ってきたことを感じる。
八丁涸漉の手前には広い河原。
八丁涸漉は特徴的な黒い巨岩が転がる。
それらを過ぎるとまた河原歩きとなり、黒蔵谷に合流した。

予想よりも早くここまで来れて、午前中の帰還も視野に入り始める。
泳ぎと滝の飛び込みを繰り返し、廊下帯を抜けていく。
3日分の疲労がたまり、そろそろ漕ぐ腕も疲れてきた。

中ノ廊下の5m滝も飛び込む

翌日の筋肉痛に怯えつつ、アンダーガバの滝に再トライしたり(突破成功‼︎)して進み、いよいよ最後の鮎返しの滝へ到達。
釜の深さが12mの飛び込みに耐えうるだけのものなのか不明で、飛び込みはやめておいた。
あとで水中を観察すると、ちょっと微妙かも、という深さ。やめといてよかった~
滝の少し上に残置スリングがあったので、それを支点に懸垂下降。
あとは釜を泳いで黒蔵谷から帰還した。

 

さすがは関西随一と謳われる名渓。
いろんな要素が含まれた、総合力を高められる山行となった。
水に浸かりすぎて寒さに震えたこともあっただけに、酷暑の京都の暑さが堪える今日この頃。。。笑

ルートや写真等、詳細はこちら→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1526856.html