八ヶ岳 赤岳主稜(積雪期アルパインクライミング)

メンバー T嶋・I野
期日 2005年3月11日夜〜3月13日
地域・山域 長野県 八ヶ岳
山行形態 積雪期アルパインクライミング
文責 I野

報告と所感

3月11日 京都駅22時出発

諏訪インターで仮眠

3月12日 5時起床

 行者小屋の手前に幕営
 この日はとても汗をかき、足が思うようにうごかなかった。
 テン場について、身体の体温は下がり、行動食を食べても身体は温まらなかった。シュラフに入って身体を温めることにした。しまいに寝入ってしまい、
 起きたら15時だった。今日も1本登りにいく予定だったが、私の体調がよくなかったため、今日は睡眠をとることにした。高嶋さんにはご迷惑をかけてしまった。また19時の晩御飯まで寝て、明日の打ち合わせをして、21時に寝た。

3月13日 5時起床 テント場6時出発

冬の登攀は、先日行った堂満中央稜以来2回目。
お天気は曇りでテント場から行者小屋の前をとおり文三郎尾根を登り始めた。もちろんトレースはきっちりあった。前を見上げると赤岳が大きかった。あの上まで行くのかと思うと「緊張」と「どんなルートなんだろう」と興奮した。尾根の上のほうに既に先行パーティがいた。
T嶋さんから最初に「取り付きがどこかなのか見つけることが大切」と教わった。確認すると1P目への取り付きの特徴は、尾根からトラバースをし、チョックストーンのあるルンゼが取り付き地点だった。「トレースがあると思うけど、意識をして自分の目で確かめて行かなければ」と思った。
だんだん傾斜がきつくなる文三郎尾根を登っていく。帰りにここは尻セイドをしたら楽しいだろうなと思いながら歩いていた。体調は昨日とは違い足も軽かった。
傾斜がきつくなるとガリマタにして靴のエッジをきかせて、かかとに体重をのせてかかとから押し付ける感じで身体をあげていくと楽だと教わった。私はつま先に体重をのせて歩いていたため、これでは余計な力を使って、体力が無くなってしまう歩き方だということだった。最初はなかなかうまく出来ず、後ろに滑ったりして要領がつかめなかったが、少しずつ感覚がわかった気がした。確かにふくらはぎも疲れないし楽だった。
取り付き地点への分岐点にきた。7時半だった。前には2パーティいた。ハーネスやギアの準備にかかった。先行パーティを待って8時半ごろの出発となった。まずはトラバースから1P目の取り付きに向かう。身体が緊張した。ザイルが残5メートル地点でビレーの交代をした。よく見るとそこは雪の斜面の途中だったので、どうやってビレーをするのだろうと思っていたら、高嶋さんはスタンディングビレーをした。そこまで行き教わった。また、いそいでいるときにはルベルソを使わず、安環だけでビレーをする仕方も教わった。このビレーはよく使うことがあるということだった。

1P目 T嶋リード

 チョックストーンになっている岩をつかみ登る。手はしっかりとしたホールドがあり、比較的のぼりやすかった。(セカンドということもあり精神的に安心感があったからだ)
 バイルをきかせながら登っていく。先行パーティがいたため支点の手前の岩でT嶋さんは岩を使ってビレーをされていた。そこでのザイルのセットの仕方も教わった。頭ではわかったものの、実際に自分でするとなると自信がなかった。

2P目 T嶋リード

 先行パーティのセカンドの方がかなり苦労していた。難しいのだろうか?と不安になりながら、T嶋さんがどのように、アイゼンをどのようにおくのかとビレーをしながらみていた。
T嶋さんはすーっと簡単に登っていく。そして私。ここは少し身体をすこし左にふる感じで、アイゼンを岩にしっかりかけながら登っていく。左に身体をふるときは緊張した。

3P目 I野リード

 ここは緩やかな傾斜で雪面上をどんどん登って行く。ここはどんどん登っていくことができる。ザイルがいっぱいになるまで登るということだったけど、T嶋さんはアンザイレンで後ろから来ていた。
先行パーティがまたつまっていた。けっこうここで待った。ここは風もきつく、足も冷えてきて登るときに足が動くだろうかと不安になったりした。

4P目 T嶋リード

右側に一段あがって、左足を岩にひっかけて登る。ここはとても悪戦苦闘した。かなりの時間がかかり、T嶋さんを待たせてしまった。私はこの左足の乗り込みに自信がなくて、怖くて、何度も何度もホールドやバイルをひっかけるところがないか手で岩の上の雪を払いのけていた。そして、思い切ってやっとそこを登りきり、バイルを利かせながら登っていた。途中、最初のところで雪をはらいのけていたため、かなり指が痛くなり、今までに経験したことのないぐらい痛かった。痛くて感覚がなく指に力がはいらなかったから、何度も何度も手を叩いた。しばらくしてましになったのでT嶋さんのいるところまでいった。途中の凹状のリッジは緊張した。「もしここをリードすると」と考えると怖かった。このピッチにかなり時間がかかり一番苦労した。

5P目 Iリード

 ここはアンザイレンで最後の斜面を登った。
やっと12時半ごろに赤岳の頂上についた。のぼりがいのある充実ルートだった。景色を満喫する余裕はなかった。頂上についても曇っていたのと寒かったのもあり、すぐに降りる準備にかかった。

テント場に戻ってきたのは、14時半ごろだった。それからテントを撤収し、待ち合わせの駐車場へ向かった。かなり待ち合わせの時間はオーバーしていた。
駐車場に着くと、一緒にきたアイス組みのみんながあたたかく迎えてくれた。
充実した濃い1日だった。
冬の登攀の厳しさを感じた。
緊張と景色を楽しむ余裕はなく、必死な1日だった。
指はけっきょく軽い凍傷になっていた。帰ってからも3週間ほど指の痺れがとれなかった。
来年はここをリードが出来るよう夏場に岩を練習したいと思った。

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