大峰山系 芦廼瀬川本流(沢登り)

メンバー CLアサノSLハタヤ・フクザワ・ニシムラ・ヤマグチカノウ
期日 2005年6月24日(金)夜〜6月26日(日)
地域・山域 奈良県 大峰山系 芦廼瀬川本流
ルート 芦廼瀬川本流を 七泰の滝〜笠捨谷出合北西部 まで遡行
山行形態 沢登り

コースタイム

6月24日(金)

 22:00 京都駅
 23:00-23:30 木津駅
 26:20 道の駅十津川

6月25日(土)

 6:00 起床
 7:00 芦廼瀬川入渓点付近。
  車1台(フクザワ号)をを遡行終了点付近まで回送、
  入渓点付近にはハタヤ号をデポ。
 8:25 入渓
 8:35 七泰の滝
 9:03 槙滝
 10:03 下流に送電線を確認
 11:20-11:35 焼ー渕出口斜瀑5m
 11:45 小枝谷北部釜3m
 12:00-13:00 8m滝(核心)
 14:05 右岸河原状地形、幕営
 17:00 夕食(カレー)
 22:00 就寝

6月26日(日)

 5:00 起床
 6:00 朝食(あさり雑炊)
 7:00-9:00 ロープワーク講習
 9:00 出発
 9:45 ナメ
 10:54 笠捨谷出合
 11:50 車両の進入路が左岸に認められた地点にて遡行終了、林道歩き
 12:15 フクザワ号デポ地点
 13:00 ハタヤ号を入渓点で回収
 13:25 フクザワ号デポ地点
 14:40-15:20 下北山温泉(国道169号)
 17:00-17:45 橿原市付近にて夕食(回転寿司)
 20:30 京都市内

アサノの所感

 芦廼瀬川は私にとって今年の沢始め。5月剣岳半周山スキーのおり、ハタヤ君が今年は芦廼瀬へ行きたいということだったので、じゃー6月にということになった。芦廼瀬川は十何年ぶりであろう。6月が楽しみである。
 今回は沢講習の一貫ということで多くの若手メンバーが集まってくれた。うれしいことである。若いとはいえみんな経験者ぞろい。私がオーダーを指定しようとするまでもなく思った通りのオーダーに並んでいたのには驚いた。
 芦廼瀬の流れは美しい。白く磨かれた石の間を澄んだ流れがすり抜けていく。日の光りが渕の底まで映し出す。思い思いに瀞を泳ぎ、渕を渡って行く。圧巻はザイル1本分まるまるありそうな長い瀞と連続する滝場の核心部である。3回ザイルを出して通過した。最後の滝はくせものでリードを楽しませてもらった。みんなザイル操作に慣れている。スムーズにみんな通過してくれた。核心部が終わるとあとはザイルを出すところもなく、芦廼瀬は元のやさしい表情に戻った。
 2日目は出発前に基本的なロープワークの確認をした。2時間程度の練習だったが、技術の確認ができてよかった。
 今回参加してくれた若手はみんな体力もあるしセンスもいい。いい沢仲間がたくさんできて今回は収穫多い山行であった。

△上に戻る

ハタヤの所感

出発まで

今年行ければいいなと挙げていたルートのひとつ・芦廼瀬川本流。
リーダーのアサノさんの好意で、早くも6月に実現の機会が訪れた。

6月24日

京都駅で5名集合、木津駅で1名合流。道の駅十津川には3時前に着くことができた。これで3時間は眠れる。入渓点まではあと10km強も走れば着くだろう。

6月25日

まずは入山地点でメンバーを降ろしたあと、国道425号線を14kmほど北東に進んだ白谷池郷林道の分岐付近にフクザワさんの車両をデポ。(分岐から100mも進まないうちに厳重なゲートにぶつかった)ハタヤの車は入渓点に戻していざ沢へ。
意外にも穏やかな河原歩きで幕を開けるが、さすがに本流である。対岸に渡るときに早くも腰まで徒渉となる。
まず出てくる七泰の滝は右岸を、次の10m槙滝は左岸を巻く。このあたりは釣り師も入るのだろうか、巻き道には鎖が完備している。このところ晴天が続いているがさすが大峰の本流、圧倒的な水を蓄えて轟音を立てる滝に見とれてしまう。
瀞を対岸に渡るところでいよいよ一発目の泳ぎが入る。今回の芦廼瀬に備えてライフジャケットを新調してきたが、やはり装着していると安心感が違う。浮くだけならばジャケットの浮力に頼るだけでよいので造作ない。静かな流れで泳いでみると、犬かきよりも平泳ぎが多少手が疲れはするが効率よく進めることに気づいた。沢の本で読んだ「ヤツメウナギ泳法」なるものを試してみる。抵抗が少なく楽に進めそうだったが経験の浅い身では流れとザックが干渉することがあり水が口に入ることもしばしば。これは慣れるほかなさそうだ。
お立ち台からはここぞとばかりに皆飛び込み始める。ヤマグチ君は3年ぶりの沢というが、積極的に泳いで進んでいて快楽に浸っている様子が伝わってくる。フクザワさんの宙返りダイブには意表を衝かれた。カノウ君は今回のメンバーで唯一ライフジャケットを着けていないが、果敢に飛び込み・泳ぎを繰り返す。ニシムラ君はすっかり泳ぎに味をしめたようだ。
雲の少ない晴天のため泳いでも寒さは感じない。遡行図によるところの焼ー渕に入る。ものの本には100m以上泳ぎを強いられるとあるが、水量が少ないのか瀞が土砂で埋まっているのか、長く泳ぎ続けた区間はなかった。焼ー渕出口は広い釜の先に5m斜瀑が流れている。水面は深い碧色。水深はかなりありそうだ。第一の関門である。アサノさんが空身で泳いでザイルを曳いた状態で右岸に取り付き、ザックを荷揚げしたあと後続はロープにつかまって泳ぐ。一見したときは陰鬱でいかにも渋そうに思われたが、流れがそれほど強くなくライフジャケットを着けている安心感か、冷静に通過することができた。
核心の前にもひとつ泳いで越えねばならない釜がある。第二の関門。左岸のバンドを目指してここもアサノさんが空身で泳いだあと後続はロープにつかまり通過。3m程度の岩の乗越は荷揚げを順次行って手堅く登る。
しばらく歩くといよいよ核心の8m滝。Web上の記録には必ず写真つきで紹介されている場所だ。いよいよ来たかと気を引き締める。2年前遡行されたフクザワさんが難渋するあまり左岸を大巻きした場所、水量はたしかに多いが写真に比べると左岸側の滝の流れがやや枯れ気味。釜の水流も白泡立てて猛り狂っているというほどでもなさそうだ。ただ滝に取り付いてからが足場が少なく苦戦を強いられそうな気がする。取り付きのすぐ下に残置の赤色のスリングがぶら下がっているのが見える。あそこが手がかりになるのか。
アサノさんが空身で左岸に取り付き、残置支点を補強しつつロープを伸ばしていく。滝身に乗り上げてからが滑りやすそうだ。支点を設置されたあと、笛の合図で順序どおり登っていく。滝に取り付いてからはプルージックで時間を短縮。いざ登ってみると、滝身に乗り上げてから二歩目ほど先が手がかりがなくつるつるで実に緊張する場面だった。幸い残置支点・スリングが豊富だったので難なく登ることができた。プルージックをほどいてから河原に降り立つ場面も渋く、アサノさんが用意されていた10mスリングを使って下降する。最後はフクザワさんが支点を回収。核心を6人が通過するまで1時間を要していた。ウェブにはメンバー2名でも通過に2時間を要している記録があること、フクザワさんが以前遡行されたときは激流に阻まれ高巻きを強いられたこと、ものの本には対岸に渡って人工登攀を駆使して突破と書かれていた事例と比べる限り、今日は水量も普段より少なく楽に行かせてもらえたようである。
核心を越えてひと安心。穏やかな瀞、滑り台を通過して、行動時間が5時間を超えた14時過ぎ、右岸に幕営適地を見つける。ツエルトは張ったザイルに架ける形で設営したため、中間に補強用のポールをひとつ用意するだけでよかった。
15時には早くも焚き火点火。夕食はアサノさんのカレー。じゃがいも・アスパラ・にんじん・玉ねぎ・にんにく。野菜をふんだんに取り込んだカレーはこの上なくヘルシーである。
21時前にハタヤはツエルトに入る。全員が寝静まったのは23時を回っていたようだった。

6月26日(日)

5時起床、ニシムラ君作のアサリ入り雑炊で腹ごしらえを済ませて7時からロープワークの講習をアサノさんに行っていただく。
まずプルージック・カラビナバッチマン・半マスト・マスト結びを復習。次はシートベンド・プルージック登攀・エイト環の仮固定を実践してみる。いざ自分がやってみるとなんともぎこちない。チロリアンブリッジ、ザイル担架は恥ずかしいがこの年になって初めて実物を見た。救助者を降ろす方法としてザイルを束ねて背負う方法、ザックを逆さにして背負う方法も初めて知る。
「たくさんの技を覚えることよりも、いつでも必ず使える技をいくつか持っておけばまずは安全」だとのこと。このような技術を確実に身につけてこそより味わい深い沢に入る道も開けてくるのだろう。こればかりは機会を見つけて練習する時間をあざとく作っていくほかないだろう。
2時間の講習のあと9時出発。核心を過ぎたので気は楽だ。金曜日の予報では日曜は曇りだったが、相変わらずの晴天。上流に踏み入れると心なしか水温が下がっているように感じられるが、昨日の要領で積極的に泳いで進む。昨日見られなかったナメ滝・広い河原が出てくる。短いのに変化に富む沢だ。ゴルジュ状の笠捨谷出合を左岸に認めたあと、ゴミが河原に現れるようになり急に人くさくなる。30分程度進み、車両の進入路を見たところで遡行終了となる。ダートを30分強歩いて車のデポ地点に到着した。
帰りは池原方面に抜けて国道169号線経由で帰る。橿原〜奈良で渋滞につかまるが安上がりで沢日和を満喫できたことを思うと全く苦にはならなかった。

総括

昨年から思い描いていたルートにこんな早い時期に足跡を残せるとは思わなかった。
今回、核心が1箇所ありはしたが不安に感じることもなく快適に遡行を楽しめた。
天候に恵まれたことが大きいが、リーダーに支点セット・確保を完璧にしていただいたことによって安心感を得たところが大きかった、と帰ってから思うようになっている。
それなりの場所に行けるのは、勢いだけでなく、自分の身を守る、行動範囲を広げるための技を身につけた自信があってこそだと、今更ながら当たり前のことに気づいた。
終始トップを務めていただき、講習まで開いていただいたアサノさんと足並みの揃ったメンバーに感謝します。

△上に戻る

ヤマグチの所感

実に3年ぶりに沢に行きました。
芦廼瀬川はそんな僕にも優しく、美しく、雄大でした。
天気も最高で、泳いで飛び込んで、攀じって、釜に落ちて、たき火を囲んで酒を飲んで。
「楽しい!」っていう感情をめいっぱい充電できました。
連れて行ってくれたリーダーとサブリー、楽しいメンツに大感謝!
特にアサノさんの強さと笑顔に惚れました。
ついてきますよ、旦那!

△上に戻る

カノウの所感

 急に暑くなった天気にうれしい、豪快な沢登りでした。
 僕にとって芦野瀬ほど泳ぎの連続する沢は初めての経験です。豊富な水量と、深いふちにほれ込みました。
 2日目のロープワークもあわせて、技術向上にもよい経験をさせていただきました。バリエーションの多い沢の技術に魅力を覚えました。
 ただ心残りなのは、今回たった2匹のカエルしか発見できなかったことです。ひそかに期待していたのに…

芦廼瀬も入渓点は穏やかだ

芦廼瀬も入渓点は穏やかだ

万歳。

万歳。

宙返り。

宙返り。

腰まである徒渉は普通。

腰まである徒渉は普通。

ロープを伝って通過する

焼ー渕出口の滝。第一関門はロープを伝って泳いで通過

第二の関門。ロープを出して通過

第二の関門。ロープを出して泳いで通過

核心8m滝

核心8m滝

ルート工作するアサノさん

左岸でルート工作するアサノさん。後続は泳いで取り付きプルージックで登った

潤う

潤う

漂う

漂う

光差す

光差す

飛沫を散らせ

飛沫を散らせ

幕場

幕場

2日目はロープ講習から始まった

2日目はロープ講習から始まった

笠捨谷出合のゴルジュ

笠捨谷出合のゴルジュ

芦廼瀬は元のやさしい表情に戻った

芦廼瀬は元のやさしい表情に戻った


△上に戻る

Copyright (C) 京都雪稜クラブ. All rights reserved.