京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | ハタヤ |
---|---|
期日 | 2005年8月6日(土)夜〜8月7日(日) |
地域・山域 | 岐阜県 北アルプス 穂高岳 |
ルート | 新穂高温泉〜白出沢〜穂高岳山荘〜奥穂高岳〜西穂高岳〜西穂山荘〜旧ボッカ道〜新穂高温泉 |
山行形態 | 無雪期縦走 |
地形図 | 笠ヶ岳・穂高岳(1:25000図) |
18:37 京都 出発(京都南〜飛騨清見 有料道路)
23:20 新穂高温泉無料駐車場
2:00 起床
2:30 新穂高温泉無料駐車場 出発
3:24-3:30 穂高平避難小屋
3:58 白出小屋
4:30-4:40 重太郎橋
6:40-6:55 穂高岳山荘
7:15-7:25 奥穂高岳
7:55 ジャンダルム信州側を巻く
8:35-8:45 天狗のコル
8:57 天狗岳
9:20 間ノ岳
9:55-10:05 西穂高岳
10:35-10:40 西穂高岳独標
11:12-11:25 西穂山荘
11:48-11:55 ロープウェイ西穂高口駅、旧ボッカ道分岐まで引き返す
12:14 旧ボッカ道分岐
13:00 林道終点
13:40 鍋平駐車場
14:24 新穂高温泉無料駐車場
16:00-16:30 流葉温泉
22:45 京都(荘川〜岐阜各務原、栗東〜京都南 有料道路)
雪山シーズンが終わって以降、今年は沢にすっかり入り浸ってしまい尾根歩きをほとんどしていないことに気づいた。
8月にも入ったし、そろそろしっかり歩く機会を作っておかねばなるまい。
折しも、先週タカハシさんが奥穂高岳〜西穂高岳を縦走されたことに触発されて、昨年から秘かに考えていたプランを実行することにした。
混雑する夏山シーズンにあってマイカー登山者が一番気をもむのは駐車場に車を停められるかどうかである。
案の定、新穂高温泉の無料駐車場は駐車スペースをはみ出すくらいに車がひしめいていたが、山行を終えて帰る車と入れ替えに首尾よく潜りこむことができた。
今回は新穂高温泉をベースに穂高岳を人力日帰りで周回するルートを考えてみた。
遅くなると天気が崩れてしまうので2時起床、2:30出発。
ヘッドランプは点けていても身体が慣れていないためか、駐車場から穂高平避難小屋まで小一時間をかけてしまう。一休みすれば暗闇を歩くコツがつかめてきたようで、白出小屋までは30分で到着、標高差1500mの登りを前に高度計をセットしておく。登山路はまだ闇の中だが、しっとりした森の冷気がさわやかな朝の訪れを予感させる。沢音が次第に大きくなり重太郎橋には取り付きから30分強で到着。雪渓から吹き降ろす風をまともに受けるとさすがに寒い。一度上流に向かうも踏み跡が不明瞭、橋に戻ってルートを再検討。ものの本によると右岸の岩壁を巻くそうだが、まだ暗いため取り付きがよくわからない。行く先が見えているのでここは素直に沢沿いに登ってみる。途中2回徒渉。登山靴で濡れた岩を踏むのは気を遣う。ほどなくテープのついた登山道に復帰、大滝を対岸に見やってガレた沢をジグを切りながら登りだす。一見浮石だらけのように見えるがルートは踏み均されており、社寺の参道のようで実に歩きやすい。
後ろからストックの音が迫ってくる。単独の30代と思しき男性だ。休んでいる間にあっさりと追い抜かれる。途中仲間とすれ違われたようで会話に側耳を立てていると3時に新穂高温泉を出発、今日は西穂高岳を日帰りされるらしい。物好きは僕だけではないようだ。
いつもは静かという白出沢のルートだが、さすがに最盛期とあって数組の中高年パーティとすれ違う。ガレ沢を少しばかり詰めるとコルにそれとわかる石垣が姿を現す。登り始めてから2時間40分あまりで穂高岳山荘に到着。悪くないペースだ。
山荘はこれから出発しようとする登山者でにぎやか。スポーツドリンクを補給して奥穂高岳へ。山頂を往復してきたとわかる空身の登山者と大勢すれ違う。
槍方面はあいにくガスで隠れているものの、奥穂高岳の山頂からは上高地・前穂高岳・笠ヶ岳が迎えてくれる。日帰りでこの景観を味わえることを贅沢に思う。無風の晴天とあって大勢の方がくつろいでいる。ジャンダルムを間近にするのは雪稜に入った2002年のプレ冬山以来だろうか。記念撮影を手短に済ませて西穂に向けて歩き出す。
馬の背はクライムダウンの姿勢で下り、ジャンダルムは信州側を巻く。険しいとはいえ奥穂〜西穂は一般の縦走路。選択を迷いそうなポイントには白ペンキの標識が完備しており、万一ルートを外れても岩が苔むしてくるのですぐわかる。周囲に目が行き届いてさえいればルートを間違うことはまずないだろう。
天狗のコルからの登りはハング状で一見緊張するが、近づいてホールドを捜してみれば問題ない。天気は快晴、岩は終始乾いており必要以上に足下に気を配ることもない。
思った以上に大勢の登山者がルートに入っているようだ。ザイルで連結されたガイド引率のパーティとは3組ほどすれ違った。こまめに栄養を補給して緊張を保ち、いつも以上に落石に細心の注意を払うよう心がける。
間ノ岳からひとつピークを越えて、奥穂高岳を出発してから2時間半で大勢の登山者でにぎわう西穂高岳山頂へ。これで難所は越えた。10名以上の団体が下り始める前に出発。下からは20名以上の西穂登山ご一行が嬌声をあげて登ってくる。人気ルートのトップシーズン、これは仕方ない。広い場所に出る機会を見計らって人の間を縫うように歩かせていただく。
独標では小学生の集団に会う。この時期から山を登り続けていれば将来きっと立派な山ヤになれるだろう。さて両手を使って下るのは独標まで。これより下はどんどん歩きやすくなってくる。久々に土の道を踏みしめると鼻唄を口ずさみたくなってきた。高揚した面持ちで下っていると、休憩していた夫婦の登山者から「そこの青年!」と声がかかり氷砂糖をいただいてしまう。いや、もう青年といえるほど僕は若くはないんですけどね。
西穂山荘には11時過ぎに到着。午前中に着ければいいなと思っていたのでまずまずのペースである。登山者だけでなく普段着の観光客が入り混じっている。ロープウェイの駅から1時間も歩けば着く西穂山荘はもはや下界と変わらない。スポーツドリンクを補給。穂高岳山荘では250mlで380円だったがここでは500mlで350円だった。ソフトクリームやかき氷に目が移るがまだお預けとしよう。さてここからは下るのみである。
ロープウェイ沿いに走る千石尾根を下るつもりで西穂高口駅に向かうと、「遭難防止のため千石尾根を使っての下山は禁止」の旨記した立看板が随所に並んでいる。これは困った。視線を気にせずに立入禁止のロープをくぐるほど神経がず太いわけではないし、第一この尾根道の取り付きがどこにあるのかすら知らない。20分ほど前にもう一本新穂高温泉に下れる下山路の分岐を通過していたので、ここは手間を承知でもときた道を引き返すのが賢明だろう。途上、緩んだ気持ちを引き締め直す。
「新穂高温泉」の分岐があるところから通称ボッカ道へ。昔荷揚げで使われていた道で一部か細い箇所もあるが、落ち葉の敷き詰められた登山道は長い行程を歩いてきた脚には優しく感じられる。300mほど標高を下げれば通称西穂平というなだらかな高原状に。木蔭の間から降り注ぐ光がなんとも麗しい。ロープウェイの脇にこんな静かで素敵な道があるとわかったのは収穫である。このままいい雰囲気で駐車場まで下ってしまいたかったが、1時間もしないうちに林道に出てしまう。もう終わってしまった。ここからはヘアピンカーブの連続。深い藪をショートカットする気にもなれずうなだれるように道沿いにトレースする。鍋平からはまっすぐな道となるがこれがまた長い。ルートを歩き終えたあとの車道歩きはいつもながら苦行以外のなにものでもない。ようやく蒲田川の河原が見える。覆道をくぐってようやく無料駐車場の入口に。最後に空費した40分を含めても、なんとか12時間を切るタイム(11時間54分)で車に戻ることができた。
着替えているとバケツをひっくり返したような土砂降りの雨が降り出す。天気の読みは正しかった。
穏やかな満足と心地よい疲れに包まれて、新穂高温泉を後にした。
途中で雨が降れば奥穂高岳を往復、体調が悪くなればロープウェイを使う逃げ道も用意しつつ臨んだが、天候に恵まれ当初の予定どおり歩くことができた。
穂高岳山荘に一気に突き上げる白出沢、西穂高口から新穂高温泉へ下る旧ボッカ道、どちらも人気の穂高連峰にあって静かな山を楽しめるおすすめのルートである。