奥美濃 銚子ヶ峰〜願教寺山〜笠羽谷(山スキー)

メンバー Lハタヤ、SLアサノ、フクザワ
期日 2006年4月14日(金)夜〜16日(日)
地域・山域 岐阜県 奥美濃 石徹白周辺
ルート 白山中居神社〜石徹白大杉分岐〜神鳩避難小屋〜銚子ヶ峰〜1784P〜願教寺山。
願教寺山南方から引き返し、銚子ヶ峰と願教寺山の中間の鞍部付近で幕営(C1)〜笠羽谷〜石徹白大杉分岐〜白山中居神社
山行形態 山スキー

コースタイム

2006年4月14日(金)

22:00 京都市内(京都東〜白鳥 有料道路使用)
26:00 石徹白 白山中居神社鳥居下駐車場、仮眠

2006年4月15日(土)天気:雨のち曇り

6:00 起床
7:10 白山中居神社 出発
8:30 石徹白大杉駐車場(林道終点)
10:50-11:05 神鳩避難小屋
11:40 母御石
12:00 銚子ヶ峰
12:30 1784ピーク
12:50-13:00 願教寺山方面に向けて滑降
14:00 願教寺山
14:30 願教寺山南方(よも太郎山付近?)で支尾根に迷い込む。願教寺山方面に引き返す
15:10 願教寺山
15:30 銚子ヶ峰と願教寺山の中間の鞍部付近から北に30m程度滑降した緩斜面上で幕営(C1)
16:30 夕食(ハンバーグカレー)
20:00 就寝

2006年4月16日(日)天気:上部は雪、下部は雨のち曇

4:00 起床
4:20 朝食(焼そば)
6:10 C1 出発
7:30 笠羽谷右俣源頭
8:00 笠羽谷の右俣と左俣の分岐の橋
9:50 白山中居神社
16:55 京都市内(関ヶ原〜京都東 有料道路使用)

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報告と所感(ハタヤ)

出発まで

2年前から少しずつ取り組んできた石徹白エリアの山スキー。
一つの集大成として、これまで登ってきた山をつなぐように縦走できないか考えてみた。
ところが今シーズンの週末は荒天続き。
今週も例に漏れず土日の天気は芳しくないようだ。
とりあえず、現地に行って雪の状態も含めて判断するほかないだろう。

4月14日(金)

山岳会の総会終了後に出発する。
深夜の東海北陸道、さすがに4月になるとゲレンデに向かう車もいない。
白山中居神社の鳥居の奥の駐車場で仮眠する。

4月15日(土)

6:00起床、7:10出発。天気は曇り。
石徹白大杉の分岐までは林道を約6km歩く。一部で雪の塊が道を塞いでいる箇所はあったものの小屋の直前まで除雪されていた。
8:30、小屋から稜線へ。取り付きはツボ足で、以降スキーを履く。1箇所雪庇を乗り越すためにスキーを脱いだがおおむね緩やかな登りで快適に高度を稼いでいける。
ところが標高を上げるほどにガスが張り出し雨が降り出してきた。あまりいい気がしない。ひとまず稜線の分岐にある神鳩避難小屋まで向い様子を見ることにする。先週の黄砂の影響だろうか、雪は全体に黄みがかっており水作りに苦労させられそうだ。
10:50、神鳩避難小屋。小雨。風はないがガスが張り出しており視界はほとんどない。明日は低気圧が東に張り出すとのこと、今日より天候が好転することは考えにくい。ここで泊まって明日の天候次第で進むか退くかを様子を見てもよいが、この時点で石徹白一周は幻のものとなる。時刻はまだ11時にもなっていない。ここで敗退を決め込むのはさすがに早すぎる。
ならば銚子ヶ峰と願教寺山の中間部まで進んでおけばどうだろうか。2日目の天気が荒れれば真南の笠羽谷を滑降すれば林道に戻れる。晴れていれば、稜線沿いに一周できる芽も出てくる。

「エスケープを確保したうえで行きたいのですが、かまわないですか」

二人に同意を求めて先に進むことにする。視界はないが尾根上に出てくる小ピークや顕著な登りなどの地形を細かく点検しつつ途中の小ピークである母御石は通過、銚子ヶ峰は12:00到達を確認。時折緩い下りが出てくるが視界もなく雪面が割れた箇所も見られるためシールを着けたまま歩くように下る。別山方面と願教寺山方面との分岐となる1784ピークで西に進路を切り替え鞍部に向けて下る。途中突然ガスが晴れ別山・願教寺山方面の展望が姿を現す。目の前には広い緩斜面が広がっているのがわかった。たまらずシールを外し鞍部まで滑り込む。思えばこのときが今回の山行で唯一快楽に浸れた時間だったかもしれない。
これなら野伏ヶ岳の近くまで行ってしまえるのではないかと鼻息を荒げるが、鞍部から願教寺山へ登り返しから再びガスに巻かれる。願教寺山山頂では風強く雨が次第に強まる。ここから真南に進路を切り替え。忠実に下っていくが真南に進んでいると切れ落ちた箇所に出会う。次のピークのよも太郎山にしては早いと確信が持てないまま尾根を下りアサノさんに偵察をしていただくが、しばらく下っても(正しければ出てくるはずの)登り返しが出てこないとのこと。自分たちは県境の稜線を忠実にトレースしているつもりだったが、どうやら谷筋の尾根に迷い込んでいる可能性がありそうだ。この時点で14:30。正しいルートを歩いている確信が持てないままいよいよ風雨が強まってきた。このまま強行すると天候の悪くなる明日はさらに余裕がなくなるかもしれない。心苦しいが余力とトレースのあるうちにもときた道を戻ることにする。稜線上は一部藪が出ている箇所もあり、兼用靴での藪こぎに難渋。
15:30、願教寺山と銚子ヶ峰の中間の1615ピークの北東、稜線から30mほど北方に滑り込んだ緩斜面を幕営地としツエルトを張る。すぐ上の稜線上からは風の吹きすさぶ音がしている。
明日は晴天ならば再び願教寺山方面に向かって一周を試み、ガスや雨ならば笠羽谷を足早に下ってエスケープすることにする。
20:00就寝。眠りにつく頃から雨が雪に変わり始めたようだ。ツエルトを何度か叩いて雪を払い落とす。

4月16日(日)

4:00起床。湿気が高かったのだろうか、シュラフがすっかり水を吸い込んでしまっている。(フクザワさんは、これまでになく全身が濡れたとおっしゃっていた)
外に出ると5cm〜10cmほどの新雪が。まるで冬に逆戻りしたようだ。
焼そばを流し込んだあと6:10出発。稜線へのわずかな登りはツボ足で済ませる。まさか4月に入って新雪のラッセルを味わえるとは思いもしなかった。稜線に出ると風は収まっているが濃いガスで昨日よりも視界は悪い。この時点で笠羽谷にエスケープを決定。左岸沿いにトラバースすべく平原状の地形を南南東〜真南方面に進む。白い雪面で白いガスに巻かれると方向感覚が失われコンパスだけが頼り。新雪とはいえ気温が高いためか水分を多く含んでおり、板の裏に下駄のように雪がまとわりつき思わぬ負担を感じる。目印も全く掴めず、メンバーの間の距離を適度に空けて、顕著な地形の特徴がわかれば互いにコールすることにする。
緩やかに下り続けて出発して1時間強経った後、ようやくガスが晴れてくる。立っていた場所は見覚えのある笠羽谷右俣の源頭だった。

よし、これで帰れる。

あとは下に広がる尾根をトラバース気味に下っていけばよい。8:00、ようやく笠羽谷の右俣と左俣の分岐の橋に到着。その先の小屋までは林道が雪で埋まり斜面の一部と化しており時折緊張。小屋から白山中居神社までは70分のアルバイト。車には9:50到着。
帰りは温泉と地元のラーメンを楽しみ、17時前には京都着。

山行を終えて

野伏ヶ岳までつなげられなかったのは心残りだが、ガスで風雨の中現在位置がわからない状態で突っ込むのはあまりにもリスクが大きかった。
4月下旬の奥美濃であわよくば快適な春スキーを楽しむつもりでいたが、なかなか一筋縄には行かせてくれない。
北アルプスや頸城方面が気になり始める4月、来年も同じように石徹白に足を向けているのかもしれない。

行動中の写真

4月15日

 

銚子ヶ峰への稜線上。
黄砂のおかげで足元がわかった。

 

稜線から北にやや下った緩斜面で幕

4月16日

 

一晩で5cmほどの新雪。
冬に逆戻りしたようだった

 

幕を撤収

 

笠羽谷右俣源頭でガスが晴れる。
これで帰れる

 

笠羽谷二俣の分岐にある橋。雪はまだ深い

 

大杉分岐。昨日のトレース(右)と交わる

 

白山中居神社。すっかり春


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