京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL アサノ、SL カクタニ、フクザワ、ニシムラ、カノウ、ヤマグチ、ニシザワ(以上、京都雪稜クラブ) ヤナセ、シマ(以上、関西岩峰会) |
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期日 | 2005年7月9日(土) |
地域・山域 | 奈良県 大峰山系 池郷川 |
ルート | 池郷林道入口〜不動滝〜エコの滝〜ねじれの滝〜壊れた吊り橋 (詳細:遡行図を参照) |
山行形態 | 沢登り |
地形図 | 池原(1:25000図) |
22:00京都駅→23:00木津駅→2:00池原キャンプ場
6:00起床→6:50入渓点近くに移動→7:10出発→7:25不動滝9:20→新しい堰堤9:35→2mの滝10:00→10:45エコの滝12:40→13:10ネジレの滝→13:45つり橋跡(今回の遡行終了点)→14:20林道合流点→駐車場15:00→上北山温泉経由で帰京
紀伊半島の山中は林道が発達している。大峰もご多分に漏れず主な谷には林道が入り込んでいる。四ノ川は林道工事ですっかり荒れ果てたと聞く。林道は美しい谷を破壊する一方で私たちに車や自転車の利用を許してくれる。大峰のほとんどの谷が日帰りで行けるのは林道のお陰である。沢屋にとっての林道は心情的に複雑な存在である。池郷のゴルジュはそんな林道の下に横たわる。入下山の利便を考えると林道にありがたさを感じてしまう身勝手な自分がいる。
今回は池郷川を池原から入渓した。2回に分けて池郷下部ゴルジュを通り抜けようという魂胆だ。今回は途中のダム(地形図の堰堤マーク)まで。若手メンバーが集まってくれた。総勢9名、人数だけで見ると、池郷に入るには多過ぎるように思えるが、芦廼瀬で見た彼らの身のこなしと技術からすると無理を感じる要因は見当たらなかった。
雨は降っていなかった。前日から心配していたのだがツキがあった。7:10池郷川に入りしばらく平流を進む。最近雨が降っていなかったので穏やかな流れに思えた。谷は左に折れゴルジュの入り口が現われる。10年ぶりの再会である。威圧感たっぷりの入り口は以前と変わっていない。川中にひざまずいて水面に口をつけ水をいただく。何年来続けている私の儀式である。今日の山行の安全を川の神に祈り大釜に突っ込んだ。
ゴルジュの口に立ち奥をうかがう。5mの滝が先とはばむ。右岸のリッジにアサノがザイルを伸ばす。外傾しているがフリクションはよく効く。10mほど伸ばすとテラスとなる。岩角を支点にザイルを固定し後続にあずけた。眼前に不動滝がある。強烈に水流を噴出している。登ってきたヤナセ君と左岸の直登ラインを読む。懸垂下降で間近によればもっと見え方は変わるのだろうが、初見でルートを探せといわれれば、今いる右岸のブッシュ沿いに目が行くのは私だけではないだろう。不動滝の威圧感に負けることなく左岸の壁にルートをもとめたパイオニアに敬意を表したい。今日は人数も多いので右岸のブッシュ沿いにルートを求めることにした。ヤナセ君の表情に残念な気持ちがうかがえた。右岸ブッシュ沿いもいやらしいのでカクタニさんがザイルを伸ばす。不動滝上からヤナセ君トップで懸垂下降するが下が切れ込んでおり、切れ込みの先に滝の強烈な流れがある。10年前に来たときパートナーが水流に引き込まれプルージック登攀でやっとの思いで復帰したことを思い出す。ヤナセ君は木の根を利用して下降位置を調節し切れ込みをまたいで滝上に無事降り立った。後続は切れ込みの上で先行者に引張ってもらって降りた。全員が滝上に集まったころには雨はすでに本降りになっていた。
不動滝上の釜をへつると谷は大きく右へ曲がる。曲がったところに大きな砂防ダムができていた。10年前はわずかに工事開始を感じる程度だったが…。砂防ダムといえどさすがは池郷、強烈が水流に水中を進むことさえままならない。左岸の壁に取り付きへつりあがった。後続にはヤマグチ君がロープを出して引張り込んでいる。強烈な水流にかなり厳しそうだった。砂防ダムには階段のように作られた部分がありそこから登った。
砂防ダムの上はすっかり砂利に埋もれて見る影もない。しばらく平流を進むことになる。埋もれたゴルジュを通りぬけ1本左岸から明瞭な谷を確認すると谷はまたもとの姿を戻した。左岸に大岩壁が現われる。そこからしばらくすると大釜をもつ小滝がある。小滝とはいえ水流は激しい。カクタニさんがザイルを引いて泳ぎ込む。右岸に泳ぎあがりそこからダイブで水流の中を左岸に移った。水流口にホールドを拾って突破した。
この滝のあとすぐにエコの滝が現われる。以前の記憶をたどると、正面の壁のハングを人工登攀で越え弱点を縫って微妙なバランスクライムをしたことが脳裏に焼き付いている。ヤナセ君がザイルを引いて泳ぎ込んだ。フリークライミングで鍛えたヤナセ君。長身をいかして水面からハングを果敢にランジする。数度のトライでなんとフリーでハングを越えてしまった。後続は固定ロープをプルージック登攀で越えた。6月芦廼瀬川へ行ったときにプルージック登攀をみんなで練習しておいたのがさっそく役にたった。
ねじれの滝を右岸から巻き懸垂下降で谷に戻るころには雨はかなり強くなっていた。すでに山場は越えているので気持ちは落ち着いていた。やや水勢が増したように思う。みんなが下降するまでに先のルートを開くべくカクタニさんと先を急いだがいくらも行かないうちに眼前にダムが現われ、上を見ると壊れた吊橋があるではないか。今日の遡行はここまでである。13:45遡行終了。
次回はこの続きを楽しむとしよう。
池郷川に行く計画を初めて聞いたときは、それはどこ?といった感じで全く想像がつかなかった。調べていくうちにハングした滝とかがある、かなり手強そうなところだということが分かった。せっかくの機会なので是非行きたいと思ったものの行けるのかどうか分からなかった。とりあえず、アサノさんに聞いてみると参加オッケーとの返事をいただいたので参加させて頂くことにした。
そのうちに強そうなメンバー大勢で行くことが決まり楽しみにしていると、7月に入って梅雨本番になってしまい、いけるのかどうか微妙な感じのまま当日を迎えた。天気は相変わらず良くない。池原で見上げた空には星が見えたので希望をつなぐ。
朝6時に起床。天気は今にも降り出しそうな空だ。しかし幸いな事に降ってはいない、入渓出来る。入渓地点近くまで少し移動し、準備を整えて出発、すぐに入渓する。重機でならしてあるのか大きい岩もなく歩きやすい河原が続く。
こんなとこなのと意外に思っていると、それは唐突現れた。進行方向真横に巨大な岩の洞門が立っていて狭間から流れが出ている。ここが不動滝から続く連瀑帯の入り口らしい。なかなか凄い光景、いよいよ始まりだとわくわくする。川を渡って岩の間に入っていく。中の空間には釜を中心として薄黒く天井の高いドーム状の空間が広がっていてなんだか神秘的だ。
ドームを出て、3mの滝の手前のとゆ状のところの左の岩場を登って高まく。下の水流は多く速そうだ。ザイルを張ってもらい、プルージックで登るが結構悪い。慎重にいったつもりだがスリップしてしまう。何とか登り切ると水流は遙か下だ。一部ロープをフイックスしてもらって悪い高まきをすすみ、不動滝を過ぎたところから懸垂する。足場がギャップを超えたところにあるので引っ張り上げてもらう。滝の上から下を見下ろすとなかなかの迫力だ。さすが評判通りだなーと実感する。
ようやく日の当たる河原に出る。そして正面をみると新しい砂防ダムが‥。いままでいいところだったのでちょっと幻滅する。砂防ダムを巻くのも面倒だし。
また河原が続き、途中でカノウ君が立ち止まっている。カエルかいな?なんと鳥がうずくまっていた。カクタニさんによると雛鳥が飛ぶ練習中に落ちたのではないかとのことで、木の上の方からは親鳥か何かの鳴き声が聞こえる。写真を撮り近づくと危険と思ったのか少し飛んですぐに着地した。まあきっと羽が乾けば木の上まで飛べるに違いない。
ゴルジュ帯のところも水が少ないせいか泳ぐところが無かった。残念だ。大崩落帯を横目にみて2mの滝につく。泳いでカクタニさんが泳いで左岸にとりついて、流れをまたいで登る。ザイルで一人ずつ引っ張り上げる。水の中からはなかなか取り付きにくく、水流を渡るところもなかなか変化があっておもしろい。
つぎに5mの滝。直登は無理として、まだましに思える滝の右側も大分難しそうだ。足場は深い淵、下の方はハングしている、そこからの登りも悪そうだ。残置も無いようだ。こんなのどうやって登るんだ。と思いきやヤナセさんがとりついた。登るんすか!!なんどかトライをして時間をかけながらも着実に登っていった。ただすごいなあと思ってしまった。ザイルはセットされた。
しかし、どう登るんだろうか?セカンドのアサノさんはプルージック登攀で登っていった。なるほど。こういうときに使うのか!一人ずつ登っていく。私の番が来た。セットにうまいこといかず水の中で苦戦する、先週講習したところなのだが理解も準備も足らなかったようだ。フクザワさんに助けてもらってようやくセット完了。セットが出来れば普通に登れた。随分お待たせしてしまった。そうするうちに雨が激しくなってくる。若干増水して来たようでもある。
先を急ぐ。ねじれの滝は左側を高巻して懸垂で降りる。河原を歩きまもなく終了点。トポでは壊れた吊り橋があるとなっているが、台座だけしか残っていない。先には古い堰堤が見える。ここから先が中流になる。どんな景色が待っているのだろうか。いつかは行きたいものだ。今回は泳ぎが少なかったので往生際の悪い泳ぎ好きな連中はこれで最後とばかり淵に飛び込む。さんざん遊んで沢から離れる。
急坂を登って林道に着く。降り出した雨の中、林道を歩いて駐車場に着く。バケツをひっくり返したような土砂雨の降りの雨の中の撤収でフィナーレを迎える。
今までにない登攀要素のある沢でなかなか面白かったです。良いメンバーに恵まれ、楽しい沢でした。皆様ありがとうございました。