南アルプス 北岳バットレス(無雪期アルパインクライミング)

メンバー CL スズキタカハシヒカサ
期日 2005年9月2日(金)夜〜9月4日(日)
地域・山域 山梨県 南アルプス 北岳
山行形態 無雪期アルパインクライミング

行動記録

9/2(金)

2220京都駅出発〜

9/3(土)

330南アルプス市芦安駐車場(着)仮眠/430起床/510出発〜乗合タクシー〜610広河原630〜740二俣750〜822バットレス沢分岐830〜900bガリー取付き930〜1045第四尾根取付き1105(登攀開始)〜1425登攀終了点1445〜1504北岳山頂1520〜1540北岳肩の小屋(幕営)・・・就寝1850

9/4(日)

400起床/朝食/テント撤収/540(発)〜715二俣730〜925広河原(下山)1030(発)〜山梨交通バス〜1150芦安駐車場1230(発)―風呂・食事・・・1815京都 京阪五条前(解散)

報告と所感

タカハシ

漸く念願の北岳バットレスの登攀が叶った。私が最初にトライしたのは平成14年の7月、夏山事始の一つとして企画されたものだった。あれが、祟りの始まりであった。
過去2回充実感の薄いPHを繰り返してきたので、今回は、ハイキングではなくクライミングをしたかった。天気図を眺めていると、今回は少なくとも初日(3日土曜日)は何とか持ちそうだったので、期待を持って望んだ。
初日の一気登攀がスズキ君のタクティクス。とにかく、アプローチは一気呵成の登り。最初、凄い人数の先行集団が行っていたときは、どうなることやらと思ったが、上手く抜いて、敵の休憩時間よりも短く休憩を取るという、アイルトン・セナ(みなさんご存知?)並みの究極のF1作戦が奏効し、間一髪首の皮一枚で当日組の最初に、Bガリー登攀始点にとりつくことができた。
ここで、一安心。そこから2ピッチのクライミングと踏み跡歩きで四尾根取付き点へ到着。
改めて思うのは、こういう高所でのアルパインクライミングは取付きに登るまでのアプローチが一種の核心だ、ということである。とにかく、ここまでで「腹減った!」状態。当日私だけが、とかくよく行動食を食べていた。

ルートに取り付いてからは、本当に快適で楽しいクライミングであった。
岩もかっちりしていて、乾いているので、足の滑る心配も不要。ルート自体難しくも何ともない。マッチ箱のコル手前の垂壁も、何も心配はいらない。(垂壁といいつつも、傾斜していて、若干看板に偽りありではないか、と私は思う)
マッチ箱のコルを懸垂下降してからのカンテ・フェースは私がリードしたが、何の不安もなく快適に上れた。楽しかった。欲を言えば、ピラミッドフェースから別パーティが混入してこなければ、もっと楽しかった。が、これは人気ルートなので仕方がない。

登攀自体は3時間15分であったが、印象としては、あっという間に終わったように思う。今回は、時々ガスの晴れ間から景色が見える程度で、殆どガスに覆われて景色を楽しむことはできなかった。贅沢を言ってはまた、雨に祟られるかもしれないがまた来年やってきて、クライミングと景色を楽しみながら上りたい。

スズキ君、ヒカサさん、ありがとうございました。
また、よろしくお願いします。今度はピラミッドフェースかDガリー奥壁かな?

・・・・・
今年は、剱岳北方稜線といい奥穂西穂縦走といい、この北岳バットレスといい首の皮一枚で天候がつながっていいほうに転がって課題解決というパターンが続いている。この幸運をつなげていきたいものである。

ヒカサ

初アルパインクライミングになる、北岳バットレスに行った。
結果、後続の大人数パーティの存在が気になって、取り付きまでにかなりばて、行動食をまともにとらなかったせいで、岩ではかなり息があがって、リードをする前向きな気持ちにならなかった。
なので、たぶん一緒に行った二人より少しだけ、不完全燃焼かもしれない。
ってことでまた行く気にもなった。

夜は小屋に泊まってしまう軟弱な計画で軽量化を図ったため、シュラフとマットを省略したけど、運良くピークハントの榎本さんのテントに潜り込むことができてしまったので親切な榎本さんはシュラフを半分使わしてくれた。

寒い思いさせてごめんなさい。
マットはザックを敷いたらいらないことがわかったのは収穫。
けどそれくらい持っていける体力がほしい。
本によると星一つなのに・・・

バットレスを大樺沢から見上げて、どこがbガリーなのかよくわからず、降りてきてもやっぱりわからず。リーダーによると、写真はボーコンの頭から撮ってあって、現在地はかなり山の横からだからわからないはずだとのことで納得。
そんなこともわからず行ってしまって、今後どうなることやら。

帰りに大樺沢で、ボルダーの岩を見つけた。
次回はあそこでもちっと真剣に遊びたいな。

男性二人のくだらないギャグに救われたような疲れたような2日間だった。
リーダーの日頃の行いが、3週間で改善されたのか、わたしの善行の賜物か、お天気が持ってよかった。
あっという間に終わってしまってしまいましたが、楽しかったです。お世話になりました。
今回の一句は

北岳に 来ただけの 甲斐駒あり

でしたっけ?

スズキ

 夏合宿で登るはずだった北岳バットレス。結果は雨であえなく敗退。
 僕が入会した時から、雪稜では「北岳に来ただけ」という駄洒落がいつも口に出るほど、雨で敗退→ピークハントのみに転進、ということが繰り返されていた。もはや怨念としか言いようのない、呪われた岩壁である。

 関西から余裕を持って登りに行こうとすると、どうしても白根御池泊まりの2泊3日山行になってしまう。マイカー規制や、渋滞の可能性も考慮に入れると、快適に登ろうとすると仕方のないことだったが、前回の敗退で、2泊3日分の荷物を背負って御池小屋までアプローチすることに煩わしさを感じていた。
 
 土日のみでさくっと登るために、考えた結果が「登攀具とビバーク装備だけ持って初日に登ってしまい、肩の小屋で素泊まり」という、極めて正統的な登り方の軟弱バージョンだった。

 んで、うまく行きました。また、エノモトさんがピークハントのみで参加し、ひとり肩の小屋までテントを運び上げてくれたおかげで、結局二人はテント、二人はツェルト(榎本さんのストックとペグも拝借)と分かれて楽しく安上がりに夜を過ごすことが出来ました。感謝。軽い寝袋を貸してくれたニシザワくんにも感謝。

 登攀自体は、普通にフリーのリードが出来れば問題なし。
 にしても、四尾根取付き手前のcガリーにある赤ペンキのアプローチラインは、イマイチだと思う。
 我々はペンキマークを無視し、cガリーを横断してさらに踏み跡に入ってちょっとの所から、まっすぐ上に上がる踏み跡をたどって、ロープを出さずスムーズに取付きの大テラスに出られた。ロープを出したいなら、横断する踏み跡をさらにもう少し行けば、四尾根自体の下部リッジ(3級)が現れるので、そこを登るのが自然だと思う。

 個人的な事では、予想通り高度障害が出て、登攀終了後から翌朝ある程度降りるまでの間、ずっと頭痛と思考不良を抱えて苦しんだのは、反省の残るところです。これで雨が降ったり、他のメンバーがひどい高山病になったりする可能性も考えると、睡眠不足のまま一気に登ってそのまま上で泊まるのは、やや危険を伴うかもしれません。

 しかし今回も、天気にも恵まれ、面子にも恵まれました山行でした。

・・・・・
樹林の中の歩き。初見アプローチ。快適なクライミング。爽快なおやぢギャグ。ガスの切れ間に見える遥か下方。終了点。山頂での握手。先に待っている仲間。飯。ビバーク。高度障害。星空の静けさ。日の出。富士山。雲海。狭いテント。紅茶。稜線。休憩中のごろ寝。振り返る山頂。下山。アイスクリーム。温泉。

北岳の山行は、
僕にとっての「登山」がすべて詰まった、
とてもとてもいい山でした。

ありがとう。

 

北岳

 

第3ピッチ

 

Dガリー

 

最終ピッチ(1)

 

最終ピッチ(2)

 

北岳山頂

 

富士山

 

日の出

 

体操

 

甲斐駒ヶ岳

 

仙丈ヶ岳

 

ボルダー


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