南アルプス 北岳バットレス(無雪期アルパインクライミング)

メンバー ヒカサ、イナノ、タカハシ(ヒ)、ウエダ
期日 2006年8月4日〜6日
地域・山域 南アルプス 北岳バットレス
山行形態 無雪期アルパインクライミング

コースタイム

8月4日

21時15分京阪5条駅集合→21時35分京都東インター手前タカハシピックアップ→2時半芦安駐車場着 仮眠

8月5日

4時起床→5時10分発バス→6時半広河原→8時半二俣→9時半バットレス沢水補給→10時半bガリー取付着 装備準備・待機→10時55分bガリー登攀開始→12時半第4尾根取付→16時36分登攀終了→5時20分北岳ピーク→18時05分肩の小屋着

8月6日

3時過ぎ起床→4時44分出発→二俣→7時19分広河原小屋→7時55分発タクシー→9時頃芦安着→お風呂→15時半京都 京阪7条駅着

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装備

ポイント

軽量化を考えた(ヒカサ・イナノ組の場合)

各自

エアマット、シュラフ、シュラフカバー、防寒着1、レイン、行動食2日分・朝食 薬等、ギア、ハーネス、フラットシューズ、ザイル(8.5ミリ50m)、メット ストック1本、カメラ、水、ザック30L

共同

ツェルト1/2人用1、ガス小1、ガスヘッド1、個人コッフェル1、夜ご飯
嗜好品、ローペ1、救急セット、携帯1

反省

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報告と所感(ウエダ)

山ヤの端くれとして一度は登ってみたかった北岳バットレス・第4尾根。02年雨中のボッカピークハントとなった「北岳に来ただけ」山行以来4年越しでにやっと行くことができました。山は逃げないと言いますが、いつかはチャンスが巡ってくるものです。
お花畑と雪渓のアプローチ、青空にそそり立つ垂直の岸壁を越えて3000メートルのピークへ。途中からガスが出た以外は快適な登攀でした。
日頃フリーなどの練習をほとんどしていないのに、メンバーに加えていただいたことに感謝です。

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報告と所感(イナノ)

 2年前に2回バットレスへ行く機会があったが2回とも雨で登れず、中村平さんの名ゼリフ「北岳に来ただけ」になっていた。昨年の5月にした腰椎骨折で11月から復帰しフリーをいちから始めた。そして2月頃に2年前に流れたバットレスへヒカサさんとツルベで行くことに決め、それを目標にフリークライミングへ毎週のように一緒に行き、金毘羅、御在所前尾根御在所中尾根雪彦でアルパインの練習をした。
 7月になり、沢に行ったり旅行に行ったりして生岩に触ってなかったので、クラックス(室内ボルダー)に行って身体を調整した。アルパインは6月末に行った御在所中尾根ぶりだった。

8月4日

2時半頃芦安駐車場に着いた。既に第1〜5までは満車で下のほうの第6駐車場に車を止め、1時間半の仮眠をとった。

8月5日

4時起床。5時10分にバスと乗合タクシーが同時に出発する。もちろんタクシーのほうが早いので交渉するが既にいっぱい。仕方なしにバス乗り場へ移動。順番に並んでいる時に周りを見わたすとクライマーらしき人はあまりいなかった。立ってでも行くことにしてぎりぎり5時10分のバスに乗れた。(昨年行ったヒカサさん情報によると、バスは人数制限とかなく詰め込み方式でぎゅうぎゅうだったようだ。今年は人数制限をしてるようで、たとえ立ったとして床にザックをひき、座ることができたので快適だった。)
今回の一番の核心は「広河原から取付きまでだろう」と打ち合わせの時から話していた。人気ルートで時期的にもいいのできっとクライマーは多く、取付き地点で何時間も待たなければならないと予想していた。いかに早く取付きに着くことが出来るかが勝負だった。
6時半に広河原を出発。そこからは北岳が綺麗に見える。今からあそこへ行くのかぁと思い歩きだした。タカハシさんとウエダさんはやはり早い。前を歩いている人をどんどん抜かしていく。私とヒカサさんも頑張ってついていく。途中団体につかまってしまいペースがかなりダウンした。今日は調子があまりよくないなぁと感じていた。しばらくすると団体の方が休憩されるので先に行かせていただくことに。スピードが上がる。1時間半ほど歩き私達も初めて休憩することにした。このままではついていけなくなると思い、朝にキューピーコーワゴールド(薬:私とヒカサさんはフリーの前によく飲んでいる薬。一種の興奮剤のような気がする。)を一錠飲んだが、効いてない気がしてもう一錠飲むことにした。ヒカサさんはヴァームを飲んでいた。
団体が来る前に出発し、二俣で再度休憩をとってバットレス沢へ入っていった。バットレス沢で途中2回(下部・雪渓が残っていたのでBガリー大滝取付き手前)水を補給することができた。雪渓の解けた水でとても冷たくて美味しかった。10時半時頃bガリー大滝取付きにやっと到着した。先行パーティ1組とソロの方がいた。取付き地点の足場は悪く、落石に注意しながら準備して少し待機した。10時55分Bガリー登攀開始。
1ピッチ目ヒカサさんがリード。クラックがまっすぐのびていてホールドはガバ、スタンスは大きくて登りやすい。ザイル残り5メートルでコール。
2ピッチ目イナノリード。25メートルほどで広いテラスに到着。ここでいったんザイルを
片付けて踏跡沿いに進みcガリーを横断して第4尾根の取付きへ移動。左側の踏跡沿いに上部へ進むところを左へ行き過ぎてしまい間違えに気づき、上にのびる踏跡を確認して順調に進むことができた。(この頃タカハシ・ウエダ組は2ピッチ目の途中だった)Cガリーの横断前地点でタカハシ・ウエダ組を待ち、一緒にガリーを横断して踏跡の木の中を100メートルほど登り4尾根の取付きに着いた。
 4尾根には2箇所X−グレードのピッチ(1ピッチ目と5ピッチ目)があるので2人で分担
することにした。

1ピッチ目イナノリード

 下部のクラックが核心。左足にのりこんで1ピン目をとり、どうやっていくか少し悩み、右足をクラックに挟み込んで固定して登っていった。上部はスラブで快適。

2ピッチ目ヒカサリード

 少し悩んでいる様子で右往左往していたがトポどおり上部の草付を左側からまいて登っていった。

3ピッチ目イナノリード

 トポどおり岩は白くてクラック沿いに登る。楽しいルートだった。フォローのヒカサさんは「薬がきれかけや〜」といいながら登ってきた。

4ピッチ目イナノリード

 20メートルほどで第2コルに到着。途中、土踏まずがつってしまった。終了点にはハーケンが打ってあったがピナクルで支点を作った。

5ピッチ目ヒカサリード

 2個目の核心、三角形の睡壁。ハーケンが3枚ほど連打されている。それを超えるとリッジ。フォローの私はリッジのほうが緊張した。そして有名なマッチ箱へ。ここから見える景色は最高!!残置されているカラビナにセットして、ここから懸垂で6ピッチ目の取付きへ下りる。残置のスリングが怖い、「ここで切れて落ちたらしらんわ、あとは宜しく」といいながらヒカサさんはおりていった。「無事ついたでー」と聞こえたので続いておりた。

6ピッチ目イナノリード

 1ピン目を右上にあるリングボルトでとり、フェイスを登っていく。バランスがなかなか楽しい。終了点からふりかえると、マッチ箱にいる人や懸垂してる人やフォローで登ってくるヒカサさんが同時に見えてなんともいえない景色だった。

7ピッチ目ヒカサリード

 フェイスからリッジそして草付を超えてコール。下部のフェイスはスラブ、フリクションはよくきくがリードはやはり緊張する。ヒカサさんに何度も「ビレー頼むで〜」と言われた。ザイル残り3メートルでコールが聞こえた。

8ピッチ目イナノリード

最終ピッチ。快適なスラブを登っていく。ハイマツがでてきて登攀終了の雰囲気。ザイル無しでも登れると思うが最後まで付けて登った。終了地点は広いテラスになっていて、ピナクルで支点を作りフォローのヒカサさんが登ってくるのを待った。まだかまだかとザイルを引上げていきオレンジのザックが見え、彼女の顔が見えた。お互いとても嬉しくて歓声をあげ喜びあった。
ここで登攀具を片付けて北岳ピークへむかった。このピークまでの20分の登りが辛かっ た。そして北岳ピークの看板でお決まりの記念撮影をした。

総括

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報告と所感(ヒカサ)

北岳にイナノさんとつるべで行くことを目標に冬から準備開始。タカハシさんがサポートに入ってくださり、さらにウエダさんを迎えてメンバーが確定し、初めてリーダーをさせてもらうことになった。計画書、予定など、タカハシさんの丁寧な指導を受け準備が整った。
 前回と同じ予定で前夜発。朝、一歩遅れて乗り合いタクシーの席を逃し、バスの床に座り込んで1時間転寝し広河原へ。前回と違ってバスへの乗車列は整然と並び、係員も配置されていた。
 晴天の下、北岳を見上げ二俣に向けて出発。私はキューピー、アミノバイタル、ヴァームを内服し、アプローチに備えた。途中から大人数パーティに阻まれかなりスピードダウンを余儀なくされる。二俣の雪渓のクーラーで涼んだ後、大きな岩のあるバットレス沢に入る。bガリー大滝の下は雪渓が残り、そこで最後の水を飲めた。大滝の下には1パーティとソロの人がいて少し待つ。
 アプローチの2ピッチのあと、踏跡に入り、いきなり崖にぶち当たり先を見失い迷う。振り返り、上にのびる踏跡を目視し戻り、少し時間ロス。あー、もう忘れてるよー・・・ここらへんで雲が出てきた。雨降るなよー!ルンゼを登り横断バンドに到着。Cガリーをまたぎ、4尾根の下にロープを出しているパーティを確認。我々は手前の踏跡に入り、取り付きに出たら、2パーティを抜かすことができていた。ここまでは予定通りの時間。
 あー、後は登るだけだー!!!ハイテンションで登攀開始。1,2,3,4,5ピッチ交互にこなしここらへんでヤクが切れてきて疲れを自覚。寒くなってきてカッパを着込む。ビレーもダブルロープの一本が確認時に安環に入っていなかったりとだんだん集中力が低下してきている。あと少し、集中しなければ・・・と言い聞かせた。タカハシ・ウエダパーティはだんだん元気になってきている。さすがおっさん・・・ナイフリッジのリードは怖いと感じた。それでも展望も岩も楽しむこともでき、最後のピッチはうれしさのあまり走ってあがり、イナノさんと喜びを分かち合って握手した。
 頂上までお花を見ても無言で力を振り絞って歩き、北岳のてっぺんであほ写真大会を行い、肩の小屋到着が18時、おそ!!!壁に5時間かー・・・
 ツェルトの立て方をウエダさんに教えてもらって今晩のお城を作成。その後、遅い晩御飯を食べて就寝。翌日は、出張を控えるタカハシさんの帰京に合わせてさっさと下山。午後3時に帰京した。

総括

  1. 体力は去年よりまし。知ってたからかな・・・ちゃんと食べたし。
  2. 雪渓があり水が去年よりかなり豊富だった。
  3. 登攀はまだまだこれからだ。まず、支点がないときにハーケンがうてなければならない。dガリー奥壁に行くならカムで支点をとる練習もいる。それから壁に5時間いたということは、単純に考えて、1ピッチ30分弱かかっている。これでは14,15ピッチあるルートにはまだいけない。セカンドビレー準備にそれほど時間がかからなくなっているから、登攀自体を早める体力が不足か・・・男二人は体調不良でも早いもんなあ・・・
  4. ツエルトの立て方マスターできてラッキー。しかし結露が雨みたいに降ってきてわりと辛いものだった・・・
     何はともあれ、怪我をせず、今年最大の目標を達成して帰ってこれてほんとうによかった。わたし達の無理なお願いを受け入れてくれて体調不良を抱えて我慢してつきあってくださったタカハシさん、いろいろ気を配って下さって、たくさんフォローをしてくださったウエダさん、ありがとうございました。そして何より、一緒に目標を達成することができてうれしかったよー、イナノさん!!!ありがとうね。さー、次どこ目標にするかなー。
 

北岳全様

 

バックには鳳凰三山

 

バットレス沢をつめる

 

 

バットレス沢 あーしんどい

 

Bガリー 1ピッチ目 ヒカサリード

 

Bガリー 2ピッチ目終了点より

 

4尾根1ピッチ目

 

4尾根1ピッチ目 核心越えた!!

 

4尾根2ピッチ目 ヒカサリード1

 

4尾根3ピッチ目 白い岩のクラック イナノリード

 

4尾根4ピッチ目 イナノリード

 

4尾根4ピッチ目 フォロータカハシ

 

4尾根5ピッチ目 ヒカサリード2

 

マッチ箱にて

 

4尾根6ピッチ目

 

4尾根6ピッチ目 フォローヒカサ

 

4尾根7ピッチ目 ヒカサリード 緊張

 

4尾根7ピッチ目 枯れ草地点

 

4尾根7ピッチ目 ヒカサ確保

 

4尾根8ピッチ目 イナノリード

 

終了!! やったぁ!!

 

北岳ピーク

 

北岳ピーク イエェーイ!!

 

肩の小屋がみえた

 

朝日 全様

 

帰ってきました広河原


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